Yahoo!ニュース

辞書から消える言葉…ピッチ、テレカ、MD、パソコン通信、携帯メール、着メロ

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

KNNポール神田です。

1961年製で、当年で61年目。

ネット流行語2022年が発表されている…が、ベスト10でひとつも知っている言葉がない…(泣)。『ジャンプ』関連ワードが約20個ランクインするなど、ネットトレンドを席巻しているという。

■ネット流行語100 2022全ランキング

1:ウタ

2:タコピーの原罪

3:モンキー・D・ルフィ

4:暴太郎戦隊ドンブラザーズ

5:ヨル・フォージャー

6:デリシャスパーティ◆プリキュア(◆=ハート)

7:ずんだもん

8:ゾーフィ

9:スレッタ・マーキュリー

10:アーニャ・フォージャー

https://news.yahoo.co.jp/articles/5ef4a3f1c70e4b4a945f8b16d92dee50b9c845d8

■辞書から消えるワードに、わからんが続出!

筆者がジャンプに関連するネット流行語が、一切わからないのと同様に、辞書から消えるワードにも、知らない、わからんが続出しているようだ。

『三省堂 国語辞典』が8年ぶりの改訂となり、「スッチー」「テレカ」「トラバーユ」「パソコン通信」「ピッチ」「プロフ」「MD」「携番」「伝言ダイヤル」など、約1100語が削除されることになった。

https://news.careerconnection.jp/news/128444/

『コギャル』『着メロ』『スッチー』『赤外線通信』

https://www.fnn.jp/articles/-/280957

■ネットとスマートフォンが駆逐していく言葉

ピッチ=PHS

テレカ=テレフォンカード

MD=ミニディスク

パソコン通信NIFTY-Serveなど

携帯メール=キャリアメール

着メロ=着信メロディ

…と聞いても何それ?という人が多いのも無理はない。

これらは、すべて、ネットとスマートフォンの登場によって消された言葉といっても過言ではない。

■辞書から消える言葉は、現在使われている言葉かどうかがポイントとなる…

https://www.fnn.jp/articles/-/280957

レコードやカセットテープ、CDは、使用されなくなったとしても、言葉としては登場する機会がまだ存在している。

しかし、『MD』などは、8年ぶりに改訂する辞書では言葉として、使われていないと判断された。

つまり8年間、ほとんど使われていない言葉は消えてしまっていく…。気になる人は、ウィキペディア等で調べて見よう。

むしろ、アナログの辞書を筆者は、数十年使っていない…。つまり今度は辞書も…?

18世紀からあったブリタニカの百科事典も『エンカルタ』に駆逐され『エンカルタ』は『ウィキペディア』に駆逐された…。

出典: 4knn.tv
出典: 4knn.tv

「ニューメディア浸透15年説」があるとすると、

パーソナルコンピュータの登場1984年から15年で「Encarta」の最盛期。そして、インターネットのWWW登場1993年から15年で「wikipedia」が最盛期に。するとソーシャルメディア登場を2005年とすると、次のフェイズは2020年くらいという計算になりそうだ。

https://4knn.tv/wikipedization/

■『MD』ってそもそも何ですか?

ソニーが開発した光ディスク記録方式の録音・再生媒体

MD(ミニディスク)』の規格は1991年平成3年。1992年平成4年に発売。カセットの簡易さとCD品質のランダムアクセスということで、一気に普及するが、媒体として『フラッシュメモリ』の『メモリースティック(1997年)』『SDメモリーカード(1999年)』が登場し、『MD』は衰退していく…。そして『iPod』が2001年10月23日に登場する。今からすでに21年も前となってしまった。

 メディアのストレージの歴史で考えると、録画専用というメディアは意外に短命で終わる。『CD(コンパクトディスク)1982年』はいまだに販売が続いている。誕生40周年だ。録音ができないから続いているのだ。

エジソンの蓄音機も最初は遺言などを残すための録音機で立体的な、錫箔円筒式蓄音機『フォノグラフ(1877年)』を発明したが、『ベルリナー』が再生専用でフラットな円盤による蓄音機『グラモフォン(1887年)』にしたことによって、『A面B面』。回転を落とした『LP盤(ロングプレイ)』など。原盤のスタンパーで、量産できることで『レコード』は音楽再生フォーマットとして普及を続けた。ドーナツ盤と呼ばれる真ん中の穴は、飲食店での『ジュークボックス』で都度課金としての新たなビジネスも生む。同時に、レコードは『音楽の出版権』以外のありとあらゆる複雑な『権利(ライツ)』も生み出した。

音楽や映像を楽しむためのパッケージに採用されたメディアの人生は長いが、録音や録画のためだけのメディアは、次世代のテクノロジーが登場すると終焉してしまう性格を持ち合わせているようだ。

現在のスマートフォンやサブスクも、パッケージで提供されるメディアとユーザーが自由に書き換えできるメディアが混在している。

『ニュース』も一次ソースのニュースとコメントで議論されているのがフォーマットとなりつつある。

8年後の2030年には、どうなっているだろうか?

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

神田敏晶の最近の記事