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マイナポイント第2弾は、最大2万円ではなく、手堅く7,500円×2回の還元ではない付与を狙え!

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント
出典:PayPay

KNNポール神田です。

1兆8,000億円の予算をかけたマイナポイントの第2弾が開催中であるが、国民にこの『ポイント』の意味がどれだけ理解されているのかが、かなり疑問である。

■最大20,000円分のマイナポイントがもらえる…まずは1万5,000円をもらおう!7,500円×2回のポイント還元ではなく、ポイントの付与!

マイナポイント第1弾は、2万円を決済サービスにチャージすると、5,000円分のポイントが還元されるというキャンペーンであった。

つまり、現金2万円をチャージで『PayPay』などのポイントに移動するとマイナポイントとして、25% 5,000円分のポイントの還元が即日になされるというものだったのだ。第1弾は『原資』となる2万円が必要だった。もしくは支払いで2万円となると30日後にポイント付与というもの。つまり、75%(1万5,000円の消費)という『原資』が必要だった。

■2万円の原資を必要としないポイント付与の第2弾!

しかし、今回の第2弾は『原資』をまったく必要としないヒモづけだけのポイント付与である点がよく知られていない。

第一弾でしくみがめんどうくさいと思って敬遠した人も今回は、手元にそろえて確認してみてほしい。

用意するもの

1.『マイナンバーカード』

2.『4桁の数字』(利用者証明用電子証明書のパスワード)

3.『マイナポイント』アプリ

4.『銀行口座の口座番号』

これだけで、あとは、ポイントが付与される先を選択すればよい。

紐付けするのは『健康保険証』と『公金受け取り口座』のふたつ

7,500円が2回、1万5,000円分のポイントが還元ではなく、ポイントが付与されるキャンペーンなので。1時間くらいは、集中してやってみるべきだ。

1万5,000円分のポイントが付与されてから、余った現金を『原資』としてためておき、2万円ができれば、チャージすれば5,000円のポイント還元ももらえる。

まずは、7,500円の健康保険証と、7,500円の公金受け取り口座の紐付けでポイントを付与してもらおう。

■何が何でも2022年年末までに国民全員に『マイナンバーカード』普及という無理ゲー

今回の予算は、第1弾の2,500億円の約7倍の1兆8,000億円のポイント付与となる。

PayPayユーザーは4年で5,000万人を超え、マイナンバーカードユーザーは6年で約6000万人に達する。あと、半年で、60000万人はさすがに無理だ。

PayPayは100億円あげちゃうキャンペーン×2回だったが、マイナポイントはその約100倍の規模だ。1.8兆円あげちゃうキャンペーンといっても過言ではない。

まずは目標設定に無理があり、プロモーションもわかりにくい。PayPayなどからの画面遷移も、マイナポイントでこの先なにをしてよいのかがわからなくなるからだ。

せめて、『受け付けさせていただきました。明日以降に再度ご確認くださいませ。』の表記くらいはほしいところだ。

決済事業者も手数料がはいるので、このプロモーションには各社が積極的だ。しかし、マイナポイント側のアプリにサービス精神が稀有なのが、最大の課題だ。

■0歳の子供にも、ひとりづつ個別の決済サービスが必要!

子供がいる家庭で、一番やらねばならないことは、家族用のマイナンバー登録だ。

ゼロ歳児から『マイナンバーカード』は作れるが、子供ひとりづつ専用の決済アプリを登録しなければならない。

これが非常に面倒だ。しかし、一人あたり最大2万円なので、親御さんとしてはここはがんばっていただきたい。

当然0歳児にも郵便局や銀行口座が必要となる。

このあたりも、誕生した瞬間に銀行口座もマイナンバーと紐付けで作れるようにすべきだろう。

そして、銀行口座には本人を証明するためのマイナンバーカードと親の名ナンバーカードがあれば作りやすい。

そういった、本人の証明に使えるという便利な場面をもっと増やしていくべきだろう。

ただし、未成年の子供の決済アプリを登録するのに、親の名義で登録するので、そのあたりも今後は新たな問題や詐欺も登場する可能性がある。

『子供手当て』や『児童手当』など活躍できる場面は無限にあるからだ。

『便利さ=複雑さ』では意味がなく、本来は『便利さ=シンプル』にしないといけないのだ。

■河野デジタル大臣に『邪道』と言わせた『ポイント還元』

□マイナンバーカードの普及事業「マイナポイント」に関し「ポイントはありがたいが、若干邪道なところがある」と指摘した。普及には「便利さを示さないといけない」とも述べ、運転免許証との一体化など、カードの使い道拡大に取り組む考えを示した。

https://news.yahoo.co.jp/articles/07862ef787ba8c47a180a78a28274dca3b5b50b4

まさにそのとおりだ。便利さがないのにポイント還元や付与と言われてもメリットが少ない。

また、運転免許証と一体化すると言っても、10〜20代の運転免許保有者は、20年前から655万人も減少している。保険証や運転免許、公金受け取りヒモづけにポイントをつけても、メリットを感じない人も多いだろう。

むしろ、デジタル庁での『ワクチン証明』をマイナンバーとヒモづけ。陽性になった場合は、『保健所』『HerSys』『COCOA』『自宅療養配食サービス』などとも連携すべきだ。『ワクチン接種券番号』から『PCR検査番号』など、さらに『生命保険』の請求にもマイナンバーひとつで完結できれば、使わない意味の方がわからなくなる。

全員に普及を目標とするのではなく、ヒモづけする人が便利となり、ヒモづけしたくない人はしないで便利さが供与されないとすればよいのではないだろうか?

便利さで、結果としてマイナンバーカードが選ばれなければならない。

マイナンバーカードがあることによって不利益を被るこの現状を早急に解決しないことには、お金をばらまけど普及しない。

住民票の移動の場合、マイナンバーカードがあるとさらに時間を待たされる不具合も発生していた。

マイナンバーカードで不便になっては本末転倒だ。

マイナンバーカードをお持ちの方、上記時間に加え、30分〜60分お時間がかかります

出典:沖縄県名護市役所
出典:沖縄県名護市役所

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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