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Clubhouseの『空間オーディオ』はスピーカーよりも、オーディエンス・リッチな環境だった

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント
出典:Clubhouse

KNNポール神田です。

久しぶりに、『Clubhouse』 のアプリを立ち上げた。

このニュースを見たからだ…。

なんと、『空間オーディオ』に対応したという。

□米Clubhouseは8月29日(現地時間)、空間オーディオのサポートを発表した。これにより、ルーム内の話者の声がバーチャルな空間で立体的に聞こえるようになる。同日からiOSアプリでロールアウトし、Androidアプリでも“間もなく”提供するとしている。設定は無効にすることも可能。

https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2108/30/news070.html

上記のtwitterでも確認できるように、スピーカー陣の音の場所が明確に変化している…。これはおもしろそうだ!

しかし、空間オーディオの 仕組みが、よくわからない…。

twitterやfacebookで呼びかけてみた…

早速、『空間オーディオ』を体感するために、『Apple EarPods Pro』を用意して、『ルーム』を立ち上げてみて、参加者にスピーカーになってもらって確認した。しかし、あまり変化が見られなかった…。いや、まったく変化が見られない。

米国と違い、日本では、まだなのか?

一部のユーザーからの順次スタートなのか?

…などのClubhouse 特有の詳細を詳しく説明していないからユーザーが勝手にいろいろ憶測するという Clubhouseの噂のループ 現象となった…。

…とあるオーディエンスにいた人をスピーカーになってもらった時に、『空間オーディオすごいですねー!』と第一声をはなった瞬間、

スピーカーにいた人は、全員『???』な空気となった。

■スピーカー陣よりもオーディエンスの人のほうがリッチな環境となるClubhouse『空間オーディオ』の効果

『空間オーディオすごいですねー!』とは、いったい、どういう意味なのか?

そして、スピーカーになった瞬間、『あれ?、スピーカーでは空間オーディオが効いてないですね…』の一言で、オーディエンス側での効果が推測できた。

モデレーター権限を渡して、オーディエンス側にまわった時に、まさしく、スピーカー陣の『声』の『音場』が明確にわかるようになった。少し、天の声のように、はっきりと位置がわかるようになったのだ。

再び、スピーカー側に戻った時には、『空間オーディオ』とはなっていなかった。

スピーカー同士で話しているよりも、オーディエンスが聞いている音の方がリッチなのだ。

これは、メディアの歴史では小数派の状況だ。『送り手側』の環境よりも、『受けて側』の環境のほうがリッチな環境というケースは。

このメディア環境の逆転現象はこれからも多くなりそうだ。

YouTubeなどでも、8インチのスマートフォンひとつで配信されているが、こちら側は60インチの大画面のテレビで視聴していることも少なくなくなった。

映画も、編集はPCモニタで行われ、視聴者は大きなスクリーンの銀幕で鑑賞する。スクリーン試写で、見てはじめて気づくミスもあるという。

■スピーカーとオーディエンスの環境の差を明確にわけたClubhouse

Clubhouseのユニークなところは、ラジオ放送と同様に、パーソナリティーとリスナーが同じものを聞いているという妄想をうまく利用している点である。

今までのClubhouseの音質は、スピーカー側の方が圧倒的に良かった。そして、ZOOMなどでよくある同時に話した時に、音が濁るというコンフリクトが極端に少ない。そう、相手の話しに食い気味ではいっても、上りと下りの音声帯域がスムースになるように管理されているからだ。

それによって、スピーカー側は、あたかも同じ部屋の空気を共有しているような感覚で、より自然にあたかも同じ部屋にいるかのような感覚で話ができる。

一方、オーディエンス側には、聞いているだけなので、そんな高度な音質管理をすることが必要がなく、全部まとめて同じものを配信している。

時々、音楽を流されているスピーカーがいて感じるのが、テープスピードが時折、変わるようなシーンがある。

これは、配信でのディレイをうまく、間をつめてコントロールしているような細工をしている可能性がありそうだ。

それによって、大勢のスピーカー陣の会話を優先させながら、ルームの音質をカスタマイズし、それを気のつかないほどのディレイで、マスのオーディエンス側へ配信する。

これによって、オーディエンス向けの配信音声のみを、スピーカー側の音位ポジションを『空間オーディオ』でアサインしてから流せばよいのだ。

そう、考えると、『空間オーディオ』をスピーカー側でも対応するのは、かなりむずかしいような気がする。

スピーカーが心地よく話せるのと同様に、オーディエンスもそれぞれのスピーカーが空間オーディオで聞きやすくなったのは、かなりのアドバンテージといえよう。

スピーカー・プア、オーディエンス・リッチの環境はしばらく続きそうだ。

最新バージョンのClubhouseに更新すると、右上の自分のプロフィール画面に行き、右上の歯車アイコンをクリックすると、なかほどに、『Spatual Audio(空間オーディオ)』のチェックボックスがあるので確認してみてほしい。

出典:Clubhouse セッティング画面
出典:Clubhouse セッティング画面

■Clubhouse今回のリリース

## Sun, Aug 29

皆さん、こんにちは!ハッピーサンデー 素晴らしい週末をお過ごしでしょうか。今週のリリースでは、以下のような新機能があります。

**クラブハウスでの会話は、素晴らしいディナーやカクテルパーティーにいるようなものだと私たちはいつも言っています。そこでは、周りにいる素晴らしい人たちの声が聞こえ、新しい人が入ってきたり、面白いアイデアがあちこちから出てきたりします。

今日、私たちはクラブハウスの機能を強化し、空間オーディオ*という新しい技術を導入しました。これにより、素晴らしい部屋がさらに生き生きとしたものになります。空間オーディオでは、周りの人の声が3Dで聞こえます。これにより、体験がより生き生きとした人間味のあるものになり、微妙な空間的な合図のおかげで、誰が撮影しているのかを脳が追跡しやすくなります。

空間音声は、ヘッドホン(有線またはその他)との組み合わせで最適に機能します。本日より、すべての新規iOSユーザーの皆様にデフォルトの体験として徐々に提供を開始し、Androidも間もなく提供を開始する予定です。従来の方法で聴きたい場合は、設定でいつでも空間音声をオフにすることができます。

英語

https://joinclubhouse.notion.site/iOS-Release-Notes-acfb2f5d56cf4718b6486f5f670db6ad

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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