Yahoo!ニュース

アマゾン『Echo Show』で見る『ユーチューブ』は、双方の壁を超えた!

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント
Amazon Echo Show を導入しビデオ通話中

KNNポール神田です

Amazonは10.1インチの大型ディスプレイを搭載したスマートスピーカー「Echo Show」を12月12日に発売した。

Echo ShowなどのEchoシリーズはAmazonオリジナルのスマートスピーカー。話しかけるだけで天気やニュースなどをチェックしたり、音楽を再生したり、家電を操作するなどの機能を利用できます。

Echo Showに搭載されているディスプレイは10.1インチで、解像度は1280×800ドット。本体サイズは246×174×107 mm。重量は1755g

出典:Amazon Echo Show 実機レビュー = スマートスピーカーの未来形だっ!!

2018年12月12日(水)ピンポーン!注文したことをすっかり忘れていた頃に、Amazon echo show が突然届いた…。さっそく、開封しセットアップ。すでにWi-Fi設定すればすぐに使える状態に…。しかし、あまり期待していない理由がそこにあった…。

何よりも驚くのが、ドでかいことだ。10.1インチのタブレットサイズだが、スピーカー部分がでかく重たい。しかし、そのサウンドの良さに驚く、特に低音がしっかりしている。これは普通に外部Bluetoothスピーカーとしても使いたくなるレベルだ。残念ながらその外部スピーカーにできる機能はない…。

■AmazonとGoogleの確執

YouTubeのPremium会員ならば『Echo Show』でYouTube Originals のテレビ映画作品も視聴可能だ 出典:筆者
YouTubeのPremium会員ならば『Echo Show』でYouTube Originals のテレビ映画作品も視聴可能だ 出典:筆者

筆者が『Echo Show』の予約を忘れるくらい期待が薄かった理由のひとつが、『YouTube Premium』の登場で広告なしでYouTubeが視聴できるようになったからだ。しかも、日本でも映画ドラマ作品の『YouTube Originals』が、視聴できるようになっている。そう、AmazonはスマートスピーカーのGoogle Home をAmazonのサイトで販売しないことで、Googleとの関係がこじれ、amazon製品に『YouTube』の提供をやめてしまっているからだ。最大の顧客満足を謳うAmazonがGoogle Homeを販売しないことは公約違反だと思う。そして、YouTubeが視聴できないようであれば、その代替手段として『Vimeo』を買収するなどの策を講じるべきだった。Amazon Prime Video が視聴できるが、それは YouTube とは違うタイトル型の作品ばかりだ。

■一番の驚きはブラウザでYouTubeが視聴できること

音声で「YouTube」を呼びかけるとブラウザでYouTubeが表示されるようになった 出典:筆者
音声で「YouTube」を呼びかけるとブラウザでYouTubeが表示されるようになった 出典:筆者

せっかくの10.1インチのディスプレイでもYouTubeが視聴できないのであればと思っていた…。しかしだ!設定でブラウザを『Amazon Silk』ブラウザと『Firefox』ブラウザを選択することができた!試しに、『Fire fox』のブラウザで 「youtube」をタイプし、検索すると、モバイル版のYouTubeが検索できた。検索エンジンはMicrosoftの『Bing』という徹底したGoogle排除体制だが、それでも広告なしの『YouTube Premium』のアカウントを連続視聴モードで選ぶと、YouTubeを連続視聴できるようになった。

ただし、フル画面での連続視聴は制限がかかり、ブラウズモードでの視聴となる。しかし、Amazon端末でも、ブラウザアプリからYouTubeを視聴できることが確認できただけでも、このEchoShowの活用度合いがかなり変わる。広告のはいらないYouTubeの自動再生マシンとして最適だ。もちろん、選択する動画によって好みを学習して動画の好みのマッチングの精度をあげてきてくれる。『Firefox』よりも『Amazon Silk』ブラウザのほうがサムネイル画像が若干だが大きいので見やすくなる。動画再生であれば、『Vimeo』の自動再生もオススメだ。クオリティの高い映像作品を視聴できる。そして、それらをブックマークしておけば、『Amazon Silk』を呼び出し、画面タッチで視聴開始も可能だ。そして、YouTube再生を希望する時には、EchoShowの名前のウェイクワードで、『Echo YouTubeを見せて』の音声ひとつで再生が開始される。ボリューム調整も音声で『音声、小さく』、『音声、おおきく』で対応してくれる。

■『EchoShow』の最大のメリットはテレビ電話だった!

ビデオ通話の状態画面が大きいので会話しやすい 出典:筆者
ビデオ通話の状態画面が大きいので会話しやすい 出典:筆者

『EchoShow』での最大のエクスペリエンスは、ビデオ通話だった。『Echo Spot』でも同様にスマートフォンのAlexaアプリから、ビデオ通話で呼び出すことができたが、圧倒的に10.1インチの液晶で話すビデオ通話は快適だ。

しかも、外出時に家の状況をモニタリングできるので、リビングなどに設置しておけば家にいる家族に対して、外出時のスマホアプリから話しかけることができる。ペットの様子も確認できるだろう。『EchoShow』の大画面で外にいる家族と通話できるのは、昔みたSF映画の世界のテレビ電話の世界がようやく実現した気分だ。

『EchoSpot』でのビデオ通話 さすがに小さい… 出典:筆者
『EchoSpot』でのビデオ通話 さすがに小さい… 出典:筆者

そう、『EchoSpot』でも、同様のビデオ通話が可能となったが、外出側からは同じような家に見えても、かけられた側の画面サイズは圧倒的に『EchoShow』のほうが大きく会話が弾む。

室内の様子はしばらくモヤでぼかされている 出典:筆者
室内の様子はしばらくモヤでぼかされている 出典:筆者

また、些細なUIではあるが、かけられた側の映像は、すぐにスマホの相手側に流ない。まずアプリをかけてきた相手側の映像がこちらに流れ、こちらの映像にはモヤがかかってしばし流れている。その時に、観られてはまずい状況であれば、そのモヤがかかっている間にビデオのオフボタンを押すか、『Echo Show』の角度を変えるなんて対応もできる。このあたりのプライバシーの価値観はとても重要なことだ。しかし、ビデオオフにするとか角度を変える時点で「?」となるだろう。そう、やましい心あたりがある人には、画面でビデオ通話のできる『EchoShow』や『EchoSpot』はオススメできない。

■GoogleとAmazon スマートスピーカーは、どちらのほうが良いのか?

Amazon Musicによる歌詞つきのシャッフル再生
Amazon Musicによる歌詞つきのシャッフル再生

『スマートスピーカー』は、想像以上に使えるガジェットだと思う。タイマーやアラームとしても、天気や温度、ニュース読み上げ端末として…。

『EchoShow』の利点は大画面でベッドサイドのオルタナティブなテレビとしても使えることだ。机の横で視聴するためのセカンド端末としては、巨大で邪魔だが…。音楽つきのビデオを再生したり、Amazon Musicの歌詞つき端末、テレビニュース端末としても重宝する。

音声ニュースでもタイトルはディスプレイに表示される
音声ニュースでもタイトルはディスプレイに表示される

なによりも、画面のあるスマートスピーカーで選ぶとすると、『Echo Show』はオーディオ装置としてのスピーカーの精度。そして、10.1インチの動画視聴にも軍配が上がる。『Echo Show(27,980円)』は『EchoSpot(14,980円)』の2倍近い値段であるが、『Echo Show』を選んでも損はないと筆者は思う。WI-FI対応の高音質ステレオ端末だと思えばよいのだ。『Radiko』のラジオを聞くだけでも音質が良いので価格差分以上の満足度は高い。『フラッシュニュース』を見ている限り、まるでコマーシャルの流れないテレビのニュースを見ている感覚となる。『Echo Show』は、『EchoSpot』よりもエンタメ要素が強い製品だ。『EchoSpot』は目覚まし時計にもなるし、ベッドサイドにおいてもまったく邪魔になならない。使用用途でしっかりと選ぶべきだろう。

また、『Google home』や『Google home mini』であれば、現在は半額となっている安価な『Google home mini(¥6,480今なら¥3,240)』をオススメしたい。残念ながら、Googleは画面付き端末が販売されていないので、YouTube Premium やYouTube Musicの本領発揮とはいかない。しかしながら、Google home miniは、Amazon端末と併用しながら家庭の中でもキッチンなどと、使い分けしても惜しくない価格だろう。日進月歩の『スマートスピーカー』。スマートフォンと同様に、我が家のメディアの中心の位置を、24時間全録テレビと競いあいを始めている。

残念ながらヒトには24時間しかなく、目と耳も2つづつしか持ち合わせていない。いずれはどちらかに軍配を上げる日がやってくることだろう。

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

神田敏晶の最近の記事