マレーシア選挙 、フェイクニュース逮捕者に、外務省外出注意喚起

クアラルンプール・モントキアラにて筆者撮影

【追記】2018年5月10日

野党連合が過半数を獲得するという結果となった。建国以来の政権交代で、まったく新しいマレーシアが始まるといっても過言ではない。野党連合による改革がどう影響するのかまったく未知数ではある。

(2018年5月)9日投票のマレーシア連邦議会下院(定数222)選挙は、マハティール元首相が率いる野党連合の希望連盟が過半数にあたる112議席を獲得した。1957年の独立以来、与党連合の支配が続いたマレーシアで初めて政権交代が起きる見通しとなった。

出典:マレーシア下院選、野党連合が過半数獲得初の政権交代へ

投票結果はこちらにも

http://ge14.says.com/

KNNポール神田です。

現在、クアラルンプール在住です。

フェイクニュースを流すと犯罪になるというマレーシアの法律が施行されてまだ3週間足らずですが、さっそく1人目の逮捕者が出ました。ガーディアンの記事によると、デンマーク人のサラ・サレム・サレ・スライマンは、逮捕され1万リンギット(約28万円)の罰金刑となりました。

この新しい法律「反フェイクニュース法2018」は、今月の初めにマレーシア国会で決議され、国王の承認を得て、4月11日に施行されています。この広く知られた法律に違反した者は、最高で6年実刑と50万リンギット(約1380万円)の罰金が課せられます。

この法律は、ナジブ・ラザク総理大臣の巨大汚職疑惑に関する報道を抑え込むためのものだと疑っている人は少なくありません。アメリカを含むいくつかの国では、総理と、政府系投資ファンドの数百万ドルにのぼる横領への彼の関与についての申し立てを受けて、捜査を行っています。

出典:マレーシアの反フェイクニュース法第1号違反者に1カ月の実刑判決

フェイクニュース法案は、選挙前にあっという間に成立してしまった。これによって、現政権にとって都合の悪い「1MDB問題」なども、この法案の対象となるのだ。ある意味、都合の良い言論統制に近いのかもしれない…。フェイクニュースをシェアしただけで犯罪として立件されるのもどこからがフェイクなのかの証明がむずかしそうだ。

外務省からのマレーシア総選挙(5月9日投票)に伴う注意喚起

日本の外務省はマレーシア総選挙と総選挙後の外出に関しての注意喚起をよびかけている。

9日の投票日、更には選挙結果次第では、10日(木)以降も日常生活に支障を来す事案等が発生する可能性もありますので、不要不急の外出を控えるとともに、選挙運動期間中も街頭でトラブルに巻き込まれることが無いよう、テレビ・ラジオ・インターネット等で現地情勢の情報を収集し、事件・事故に巻き込まれないように注意して下さい。

(現地公館連絡先)

○在マレーシア日本国大使館

住所:11, Persiaran Stonor, Off Jalan Tun Razak, 50450 Kuala Lumpur, Malaysia

電話:(03)2177-2600

ホームページ:http://www.my.emb-japan.go.jp/Japanese/index.htm

○在ペナン日本国総領事館

住所:28th Floor Menara BHL, 51 Jalan Sultan Ahmad Shah, 10050 Penang, Malaysia

電話:(04)226-3030

ホームページ:http://www.penang.my.emb-japan.go.jp/index_jp.htm

○在コタキナバル領事事務所

住所:No18,Jalan Aru, Tanjung Aru, 88100 Kota Kinabalu, Sabah, Malaysia

電話:(088)254-169

ホームページ:http://www.kotakinabalu.my.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html

出典:マレーシア総選挙(5月9日投票)に伴う注意喚起

本日5月9日(水)は、マレーシア建国以来の政権交代となるのか?

建国以来の政権交代となるのか? 出典:公開情報をもとに筆者作成
建国以来の政権交代となるのか? 出典:公開情報をもとに筆者作成

マレーシアの下院選挙(222名を争い2332人が出馬)が本日、2018年5月9日(水曜日)の平日に行われる…。なぜ平日なのかというと、都市部に働く人が地元で投票させない為とも言われるほど選挙率を下げる行為とも言われる。

米国大統領の火曜日の「スーパー・チューズデー」選挙とは違う理由だったようだ。しかし、今回の選挙、平日の選挙日をなんと元マハティール首相率いる、野党連合の「希望連盟(PH)」らは平日に反対し、祝日にしてしまった。しかも希望連盟(PH)が与党となると、明日以降、木曜日、金曜日も休みにするという超短期的なオプション政策まで打ち出している。

現、ナジブ政権の与党は古き良き昭和の頃の良くも悪くも『自民党』のように見えて仕方がない。そう現在の与党は、1957年以来のマレーシア建国以来、61年間ずっと政権を担ってきているからだ。そして、マハティール元首相も与党の4代首相だった(2代党首はナジブ首相の父のラザク首相)。当時、ナジブ首相は、マハティール政権の閣僚の1人であった。そして、マハティールが、ナジブ首相率いる国民戦線(BN)から脱退し、2016年よりマレーシア統一プリブミ党(PPBM)を率いている。現在の下院の議席数は222議席で、与党が133議席(59%)で野党が89議席(40%)であるが、前回の投票率では与党が47%野党が52%と非常に拮抗している。

そして、今回、ナジブ首相率いる与党の国民戦線(BN)陣営は膨大な選挙資金を頼りにマレーシアを青旗で覆い尽くす。そして、現マハティール党首は92歳である。野党陣営が勝利すると世界最高齢の首相が誕生することとなる。

そして、今回、第三番目の党として、「マレーシア・イスラム党(PAS)」が野党連合から独立して単独で150人の候補者を擁立している。

日本の政党にたとえてみるとわかりやすいマレーシア選挙戦

今回の選挙は、ナジブ首相のある意味、古き昭和時代の金権政治の自民党に、総裁経験者であり、「ルックイースト政策」でマレーシアに寄与してきたマハティール首相が反旗をひるがえした最後のチャンスである。…といっても御年92歳だ。日本で例えると、小泉純一郎元首相が野党の党首になるようなものだ。政局状態で例えると、2017年の「希望の党」で失言しなかった小池百合子代表みたいな空気感でもある。今までのしがらみをもたない移民中華系などの支援も強い。

野党連合から独立した、「マレーシア・イスラム党(PAS)」は、イスラムの教えを石杖としている。さしずめ、排除された民進党議員たちによるさながら立憲民主党のようにも見える。

与党が進めてきた「ブミプトラ政策」という名の現地の「土地の子」マレー人優遇施策もすでに中華の華人系が25%を占める国家マレーシアにとっては、もはや人種差別的な政策に映っている側面も存在する。

多民族国家マレーシアの選択

今回のマレーシアの国政選挙は上院に当たる元老院が国王や州議会の選任に対し、下院にあたる代議院は国民が自ら選べる民主的選挙である。いろんな意味で、多国籍国家ならではの、人民と宗教に対してのあり方が問われる選挙となることだろう。1957年以来の政権交代で92歳のマハティール首相が再度誕生する可能性もある。

現地のテレビの放送を見ても、情報はマレー語が大半で、英語で伝わるニュースから情勢を選挙権のない外国人としては見守るしかない。

インターネットやスマホが普及していても、外国人にとっては、まったく選挙時は蚊帳の外である。日本の選挙の時も在留外国人にとっては日本語がわからないと何が起きているのかもわかりにくいだろう。選挙権の有無と情報の有無は別問題だ。せめて英語でも、ニュートラルにこの動向は報道してほしいものだ。それが多民族国家の生きる道でもある。

マレーシアは、連邦立憲君主制の国家で元首は13州内での持ち回りの5年周期の国王であり、行政の長が首相に当たる。現在のマレーシアで一番影響を与えているのが、中華系民族だ。ローカルチャイニーズを始め、イスラム教徒ではない彼らが経済の主役であることに間違いはない。ブミプトラでマレー人を優遇し、習近平の「一帯一路」を支持する現政権の与党が選ばれるのか? または92歳の元首相が率いる野党が選ばれるのか?

2020年に先進国入りを宣言しているマレーシアにとって、重大な選択だ。