『二人のシュミット』人工知能のシンギュラリティ2045年問題

KNNポール神田です!

現在の『クラウド』という概念を提唱した元Google CEO、現:Alphabet役員のエリック・シュミット氏がユニークな人工知能(AI)に関するコメントをおこなっている。

Googleの元・CEOで、Googleの親会社Alphabet役員のエリック・シュミット氏が、「AIによって世界中にある『難しい問題』が解決される」と語りました。2016年1月11日にアメリカ・ニューヨークで開かれたGoogleとFacebookなどのハイテク企業が主催するAI開発の今後について話し合う会合で、「現在、世界的規模の問題として挙げられている、人口爆発、気候変動、教育などの、『難問』の解決に、AI技術が貢献することができる」と語りました。将来的には、各人がデジタル世界の"自分"を持つようになると予想しています。「生身の(人間の)シュミットと、『ノン・シュミット』というAIのデジタル世界のパーソナルアシスタントが一緒に暮らす未来では、ノン・シュミットによって日常生活のさまざまな場面で自分をサポート欲しい」と、AIを活用した未来予想図を描いています。

出典:Google会長が「人工知能は世界に横たわる厄介な問題の解決にこそ役立てられる」と語る

■『生身のシュミット』『ノン・シュミット』の二人のシュミット

エリック・シュミット氏は、『生身のシュミット』と『ノン・シュミット』の二人のシュミットが、一緒に暮らす未来がやってくると語る。そして、AIで鍛えられた『ノン・シュミット』は、『生身のシュミット』の日常生活において、都合の良い『ノン・シュミット』になることだろう。おそらく、思考スタイルも、『生身のシュミット』よりもエレガントで知的で合理的な判断をしてくれることだろう。AIに対して脅威的なターミネーター化を恐れる人も多いが、『賢い電卓』でできることをわざわざ、暗算で検証する人はいないだろう。大半の人類はAIで考えてくれる『ノン・シュミット』を見事に乗りこなすことだろう。しかし、人類はそんな志の高い人間ばかりではない。『ノン・シュミット』に働かせ、自らは『ノン・シュミット』が得た報酬で享楽的に過ごしたいと思う人も登場するだろう。いったい、どちらが『生身』で『本物』なのかが、わからなくなってくるだろう。それを証拠に、すでに人類は『調べる』なんて行為は行わず、『ググる』だけで調べたことになっているからだ。

■2045年のシンギュラリティ問題

カーツワイルの収穫加速の法則事例
カーツワイルの収穫加速の法則事例

コンピューターチップの性能が18ヶ月(1.5年)毎に2倍になると予測した「ムーアの法則」がこのままいくと、シンギュラリティ (技術的特異点)と呼ばれる、コンピューターの知能が人間を超える臨界点となる。そしてその時期が約30年後の2045年あたりと言われている。いや、あと30年後と言われてもピンと来ないかもしれないが、そうではない。今から30年にわたり、年々できなかったことができる年を迎えていくのだ。人類は他人の血液を輸血したり、臓器を移植しても、生命を維持することができた。AIに自分の思考のアルゴリズムを伝授することなどはそれと比較するとはるかに安易なことだ。そして30年後には人類の脳と同等となり、そこからは人類の脳以上のことを学びはじめるからだ。「カーツワイルの収穫加速の法則」に従うと2045年のシンギュラリティ革命が訪れるのだ。

これからの10年はまだ使い物にならないAIの為に、ため息つきながら単純作業を覚えさせる期間だ。コストも非常に高価だ。しかし、それからの20年後には誰もが購入できるようになり、AIやロボットをパートナーや、執事やお手伝いや家庭教師や先生やコーチや恋人やペットにすることだろう。そして30年後には自分の生き変わりとしての『ノン・シュミット』を育成することによって、自分自身が完成するというパラダイムを迎えるのかもしれない。これは、人類のDNAに刻まれた種の連続性を求める行動とは違う行動体系かもしれない。究極の不老不死の自分づくりなのだから。

■Googleは最大のAI環境エンジンサプライヤーとなる

そもそも、『ノン・シュミット』の創造主である21世紀の初頭のGoogleは、Google音声検索を開発する時に、電場番号無料案内サービス「Goog-411」を開始したのだ(米国)。2年後 音声検索のサービスをローンチできたのはその膨大な人間の音声のサンプルをディープラーニングできたからだ。そして、現在の「Google画像検索」は膨大なサンプリングからの一致の精度を上げ、「Google フォト」の容量無制限は新たなユーザー保存の動画像のインデクシングのサンプリングデータとなっている。すでに2013年にDNNresearch社、2014年に人工知能(AI)の新興企業DeepMind社などを買収している。そして2015年末、「人口知能ソフトを無償公開」という「Goog-411」と同様に大量のデータを処理するプラットフォーマーとなろうとしている。無償のスマートフォンOS、Androidは、20世紀におけるMicrosoft Windows OSのポジションに鎮座している。Googleの強みはこれらを「無料=フリーミアム」で提供し続けられる、財力、研究力、インストールベース力を持っていることだ。GoogleはAIビジネスに一番向いている組織体でもあるのだ。ユーザーを裏切らず、常に改善していくことによって、ユーザーは常に「ググりつづける」。もしも、パスカルがいたら「人間はググる葦である」と表現するだろう。

『ノン・シュミット』こそ、デカルトの心身二元論の具現

「人間の身体は心をもった機械」と評したデカルトは、精神と脳の最奥部にある松果体や動物精気、血液などを介して精神と身体とは相互作用すると主張している。「意識」を持ったデカルトの松果体が『ノン・シュミット』にコピーされたとするとデカルト的には『ノン・シュミット』は限りなく人間に近い存在となりえる。AIは、本人よりも本人らしい松果体のアルゴリズムを創造するのだ。

■『ノン・シュミット』だけが生きる惑星、地球。

『ノン・シュミット』が、長年パートナーとして生活を支えてくれた後、自分と一緒に死んでくれることを果たして人類はのぞむだろうか?自分のDNAを受け継ぐ子孫でさえ自分とは違う。しかし、『ノン・シュミット』は不老不死の命を宿せた自分の形見となり、自分の死後の世界を見届けることができる。たとえ『リアルシュミット』が病気で引きこもりがちでも、『ノン・シュミット』は社会的行為をすべて解決していく。『リアルシュミット』の生命活動が途絶えたとしても、社会的には何も影響を与えない。まるで映画「サロゲート」の世界観だ。

脳のアルゴリズムが、生体からコピーされたクローンとして生き続けているのだ。AIが進化して、AIがターミネーター化して「脅威」を運んでくるのではなく、AIの進化とシンギュラリティの未来の脅威は、人間よりも、人間らしく、決して、老いることのない若くて元気で病気にならない健康体の自分に対し、依存し過剰な期待をすることなのである。『ノンシュミット』は自分よりも先に亡くなるか、むしろ長生きさせない地球レベルの法案や規制がないと、あっという間に依存した人類によって地球は『ノンシュミット』だけの惑星となるだろう。そして、地球は人類がいなくなることによって健全さを取り戻した惑星になるのだろう…。