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旧型iPhone買い替えでパチンコ以上に儲かるシクミ

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

KNNポール神田です!

料金プランの説明メモ
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米アップルの新型スマートフォン「iPhone(アイフォーン)6」と「6プラス」をめぐり、携帯電話大手3社が展開している旧端末の下取りキャンペーンによる販売競争が過熱している。NTTドコモが他社で契約した端末を下取りの対象としたことで、競合2社も追随。春商戦で批判を浴びた現金還元施策に取って代わる施策で、再び批判の対象となりかねない事態となっている。

出典:過熱する旧型iPhone下取り合戦 現金還元回避…再び批判の対象に?

情報通信サービスの消費者保護について、総務省が25日に開いた有識者会合で委員からは、

「還元ポイントの分を負担している利用者がいることに変わりはない」「アイフォーン以外の利用者の料金に実質上積みされることがないように透明化を図ってほしい」などの声があがったという。

現在、旧型の下取りだけではなく、現行 iPhone5sの購入に関しても奇妙な還元ポイントで、一回線あたり約1万円ほど儲かるシクミがあるらしい。調査してみると、家族分のiPhone5Sを、携帯ショップごと毎日交換すれば月に116万円ちかく報酬ポイント分が儲かることがわかった。

MNP転がしで一回線あたり、9,740円の利益

ソフトバンクショップで iPhone5S を契約すると、「70,080円の端末が無料で、1万円のキャッシュバック」が行われていた。現在、使用中のiPhone5Sから、他社のiPhone5Sへ乗り換えることも可能だから、そのままiPhone5Sを使うよりもMNPした方が得になる場合がある(※各社キャンペーン時期によって金額が異なる)。

【端末】70,080円の端末無料で、1万円のキャッシュバック

【月額通信料金】8,000円=2,700円+300円+5,000円

【月額割引】▲810円=7,190円

【A.途中解約料金】10,260円

【B.短期解約料金】半年以内で解約の場合 20,000円

【中古端末】iPhone5s 30,000円 〜

実際に中古市場でのiPhone5sの買取価格は、3万6,000円〜6万円 

http://kakaku.com/item/J0000010209/kaitori/

そして、

【解約するための費用】A.10,260円+B.20,000円=30,260円

解約総費用 30,260円−キャッシュバック10,000円=20,260円

iPhone下取り価格 30,000−20,260円=9,740円

現行使用通信キャリアの解約料金との差額が利益

iPhone5s下取り30,000円以上なので、9,740円の利益となる。ショップの混み具合にもよるが、これならば、パチンコ屋でパチンコするよりも効率的ではないだろうか? 絶対に負けることもないだろう(笑)

たとえば、家族4回線でおこなえば、38,960円の利益となる。いや利益というと、税金がかかわってくるが、これは購買行動なので消費の上でのポイント還元と同じ意味だ。スマホの中古販売は利益となるが。誰かが家族の携帯をMNPを毎日し続けることが可能であれば、月に116万円もお金が浮くという珍ビジネスが発生する(笑)

携帯電話契約には、「90日ルール」というものもあるが、それを回避する方法もネットにはたくさん掲載されている

何も変更しないロイヤリティユーザーが結果として損をするシクミ

総務省の有識者会合でも議論されるように、これは、通信キャリアの複雑な「報酬ポイント」制度の問題だと思う。複雑な報酬ポイントをわたりあるくセドリが横行し、何年間も使い続けているロイヤリティユーザーが、結果として、そのセドリ業者を潤しているということに繋がっている。

報奨金やポイントで動く、移ろいやすい浮気性なユーザーの、営業獲得人数争いのために、通信料金が結果として安くならない環境が想定されるのだ。

光インターネット回線契約もおなじシクミ

ボクは光インターネット回線を1年ごとに見直すことによって、かなり安く調達することができている。何年もおとなしく契約している人は、ずっと損をしている。これは非常にもったいない話だ。確かに契約やキャッシュバックにクセがあるのが問題だが、約1日大変な思いをしても、十分に見返りのある金額だ。

価格.comのネット回線

http://kakaku.com/bb/ranking.asp?bb_lineTypeGroup=1001&bb_pref=13&bb_houseType=6002

2年後のキャシュバックが相当な金額となる。安い理由はいろいろあると思うが、キャンペーン割引額という、顧客獲得のためのキャンペーン費用が高額化している為だ。

光ファイバー契約で引越し代金が無料になるとか、家電量販店にいくと、その場で光インターネット回線やWiMAXを契約するだけで「5万円分」などの文字もよく見ることができる。結果として、よくよく価格を検討すると、回線業者から、目先のお金を借りているだけ(笑)という構図であったりする。

不毛な顧客獲得合戦の果てに…

営業系の強い会社であれば、常に目標数字を達成するために数字が求められている。四半期ごとの月末の土・日曜日などは、かなり無理なキャンペーンを行っているように見受けられる。

ネット業界、通信業界全体が、ノルマ達成のために、ロイヤリティユーザーをセドリユーザーに変えてしまっている。行き着く所は、質の悪い客を作るばかり。そして、損をするのは、常に、良心的で契約を変えない忠実なユーザー。

本来、企業が一番大切にすべきユーザーは、誰なのか?

顧客獲得合戦に金品だけではない、真摯な姿勢で、本当のブランド力、サービス力で対応できる企業になっていただきたい。

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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