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ネット選挙、ソーシャルを活用できない候補者ばかり

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

まもなく折り返し地点に近づく参議院選挙戦。

ネット選挙に注目していても、いまひとつ盛り上がりに欠けているように感じる。

それは、ネット選挙に関する法律の問題ではなく、各候補者のソーシャルメディアの使い方に問題があるようだ。

候補者のほとんどが、選挙活動を、街頭に立ち演説することのみが、選挙活動と考えているようだ。

当然、ソーシャルメディア上でも、これから街頭演説を◯◯で行いますとか、

党首が◯◯時に◯◯へ応援へかけつけてくれます…といった、「リアルタイム情報」が中心となり流れている。

それは、優先順位が、【1】リアルな場の選挙活動 【2】ネットはリアルな場への誘因ツール

という判断が成り立っているのではないだろうか?

これは熱烈な支持者にとっては、有益な情報手段かもしれないが、たまたま、自分の選挙区で立候補している人が、どんな人かわからないのでフォローしてみたという人にとっては、価値のない情報でしかない。

ネット選挙の最大のメリットは、候補者が目前にいなくても、候補者が活動していない時間でも、その候補者のことを有権者が知ることができる点だ。それなのに、どこそこで街頭演説をするとつぶやかれても…まったく意味がない。

テレビの政見放送も連日、放送されているが、自分の選挙区の候補の政見放送を視聴するのは非常に難しい。そこで、youtubeなどでも政見放送を自分で勝手にやることは可能なのだから、もっとアップロードにチャレンジすべきだろう。自分の事務所でも、毎日選挙活動に感じたことをお話するだけでもいいだろう。毎日、疲れていてとてもそこまでの余裕はない…と考えるだろうが、優先順位が間違っている。

朝から夜まで、候補は街に出て手を振って、汗まみれになって、握手することによって、票が獲得できると信じている。しかし、有権者は、いざ投票する段階になると、冷静に候補の事を必ず思い浮かべる。

街頭で手をふってくれるけれども、選挙に行かない人は確実に半分以上はいる(投票率から推測だが)。しかし、候補者たちは応援してくれる人の顔を見ると安心できるから少しでも街頭に立ちたいと思う。

ただ、有権者は、街頭で見かけるよりも、ソーシャルメディアで見かける方が圧倒的に簡単だ。しかもソーシャルメディアでわざわざフォローする人は、投票行動を必ず行う人だ。当然、各候補者のことを知りたがっている。なぜ、その人たちに、もっと熱い自分のメッセージを届けないのだろうか?

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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