ゴーン氏を弁護する元東京地検特捜部長「拘置所の中の詳しいことは分からない」

外国特派員協会で記者会見する大鶴基成弁護士(写真:つのだよしお/アフロ)

会社法違反(特別背任)の疑いで逮捕・勾留されている日産前会長のカルロス・ゴーン容疑者。その弁護人を務める大鶴基成弁護士らが1月8日午後、東京・丸の内の外国特派員協会で記者会見した。国内外のメディアが数多くつめかけた会見は2時間近くに及んだ。

大鶴弁護士は元東京地検特捜部長で、堀江貴文氏などが有罪判決を受けたライブドア事件の捜査を指揮したことで知られる。そんな大鶴弁護士に対して、海外メディアの記者からは「日本の司法制度についてどう思うか」という質問も飛んだが、元特捜部長は強く批判することなく、淡々と答えていた。

大鶴弁護士「裁判所は検察の意見をよく聞くわけではない」

記者会見のモデレーターを務めたビデオニュース・ドットコム代表の神保哲生さんは「もともと特捜部長だったが、今回は弁護士として特捜部と対峙している。裁判所は検察の意見、特に特捜部の意見をよく聞くと言われているが、それについての意見はどうか」とたずねた。

元特捜部長らしいと言うべきか、大鶴弁護士は「裁判所が検察や特捜部の意見を聞くというのは、必ずしもそうではない」と否定したうえで、「裁判においては証拠がすべてで、証拠があれば有罪になり、証拠がなければ無罪になる」と冷静に述べた。

ただ、神保さんの指摘には正しい点もあるとして、「(容疑者や被告人の)保釈の運用について、第一回公判が開かれるまでは(裁判所の)令状部が保釈を認めるかどうかを決めるが、その決定については、もう少し弁護人の意見を聞いてほしい」と要望していた。

(神保さんの質問に対する回答・動画の39分42秒ごろから)

仏紙記者の質問「拘置所の中の状況は正しいか」

フランス紙・フィガロの記者からは、ゴーン容疑者の拘置所での処遇について質問が出た。

「元検察官として、今回は違う側で事件に関わっているが、拘置所の中では話すことも、立つこともできないなど聞く。拘置所の中の状況は正しい扱いなのか。それは本当の意味での正義なのか。コメントがあれば教えてほしい」

フィガロ特派員のレジス・アルノー記者は、東洋経済オンラインで<拘置所に入った「ゴーン」が過ごす異常な日常>という記事を書いている。その中でアルノー記者は、東京拘置所での勾留経験者である佐藤優氏に取材した内容として、次のように記している。

「最もつらいと思われるのは、居室内で一定の姿勢を保っていなければならないということだろう。布団に寝そべることも、その上に座ることも許されていない。1日中、座布団の上で特定の姿勢で座っていなくてはならないのである。佐藤氏によると、午後7時になると、部屋の電気が半分暗くなるが、ベッドに行くこともできなければ、本を読んだり、モノを書いたりすることもできない。話すことも許されていない」

出典:東洋経済オンライン

今回の「拘置所の中の状況は正しい扱いなのか。本当の意味での正義なのか」という質問は、この記述を受けてのものだろう。

ゴーン容疑者の弁護団の記者会見には多数の報道陣が参加した(撮影・亀松太郎)
ゴーン容疑者の弁護団の記者会見には多数の報道陣が参加した(撮影・亀松太郎)

弁護人の立ち会いが許されない取調べや長期間に及ぶ勾留など、日本の司法制度に対しては海外メディアから批判が出ている。そのような批判的な指摘に対して、大鶴弁護士がどうコメントするのか注目されたが、肩すかしのようなそっけない回答だった。

「拘置所の房の中でどういう行動が許されるのかは拘置所の規則で決まる。私も詳しいところは知らない。もしそれを変えていく必要があるのであれば、いろんな場で検討されていくべきだとは思うが、詳しいことは分からない。ただ、拘置所もたくさんの被収容者を預かっているので、統一的なルールを作っておかないと混乱が生じるのだろう」(大鶴弁護士)

(フィガロ記者の質問に対する回答・動画の1時間20分8秒ごろから)

こちらも元検察官らしいコメントといえそうだ。

別の記者の質問に答える中で、大鶴弁護士は「ゴーンさんは接見のとき、部屋が狭いとかベッドがきついとかいう話は弁護団にしていなかった」と説明していた。そのような事情も、大鶴弁護士の淡々とした回答に影響しているのかもしれない。