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【NHL】レギュラーシーズンも中国で開催へ! チャイナシフトが進めば世界中のファンが大歓迎!?

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
深センで行われたチャイナゲームス第1戦(Courtesy:@NHLFlames)

 NHLが中国で開催するチャイナゲームス(プレシーズンゲーム)が、今季も開催されました。

▼NBAに遅れてNHLは昨季から中国進出

 北米メジャースポーツの中国進出は、NBAが大きく先行していますが、NHLも昨季から中国へ舵を切りました。

 リーグに先んじて、ロサンゼルス キングスや、バンクーバー カナックスなど、西海岸の都市をホームタウンにするチームや、共同オーナーに中国系の人物がいる ニューヨーク アイランダーズなどが、子供を対象にしたホッケー教室を独自に実施。

【参照記事】(筆者オフィシャルサイトへのリンク)

NHL Eyes Chinese Hockey's Potential

 しかし、NHL(&一部のチーム)の主要スポンサーに業績が好調な中国企業が加わったのが大きな転換期に。

 ヨーロッパ屈指のビッグリーグ KHLが、先んじて中国にチームを新設し加盟させたことも影響し、NHLでも「中国マネーを取り込め!」と勢いづき、アジアに熱視線を送るようになったのです。

▼はじめの熱視線は日本へ!

 覚えていらっしゃる方も多いでしょうが、NHLがアジアに舵を切った際、最初のターゲットは「日本」でした。

 一年前にも紹介したとおり、「長野オリンピック」の開催を控えたシーズンの幕開けとなる1997年秋を皮切りに、翌1998年、さらに2000年と、「NHL公式開幕戦」を2試合ずつ開催。

 残念ながら、初年度以外はスタンドに空席が目立ち、2000年を最後に日本から撤退してしまいました。

▼熱視線の行き先は中国へ

 その後、ヨーロッパで公式戦を行うことはあったものの、NHLがアジアに視線を送ることはありませんでした。

 しかし、前述した中国企業との関係もあり、昨季から「チャイナゲームス」が行われるようになり、NHLのゲーリー・ベットマン コミッショナーは、「今後8年間に中国で6回以上、チャイナゲームス(=中国での公式戦)を開催する」と公言しました。

 そうは言っても、NHLもまだ本腰を入れるぞ! とまではいかない様子。

 初めて実施した昨季に続いて今季のチャイナゲームスも、日本で行った時の公式戦ではなく、プレシーズンゲームの開催にとどまりました。

▼今季の舞台は深センと北京

 昨季の「チャイナゲームス」は、中国を代表する二大ビッグシティの上海と北京で開催しましたが、上海での試合が外気温の影響を受け、アイスコンディションが悪かったことなどが考慮され、深セン北京が舞台に!

 また訪中チームも昨季から一新され、カルガリー フレイムス ボストン ブルーインズとなり、昨日(現地時間)の第1戦は深センで行われました。

 シュートアウト(サッカーのPK戦に相当)まで及ぶ接戦の末、ボストンが勝利。

 初めて観戦するファンが多かったにもかかわらず、試合が終盤に入ると、スタンドからの歓声が大きくなっていったそうです。

▼来年は重慶で開催

 とはいえ中国でのNHL人気は、お世辞にも高いとは言えません。

 しかし、ベッドマン コミッショナーは、「中国のスポーツマーケットの成長を考えれば、レギュラーシーズンの試合(=公式戦)の開催も、検討しなければならないだろう」と話し、日本に続くアジアでの公式戦開催を視野に入れている様子。

 さらに続いて、「来季のチャイナゲームズは、重慶で開催する予定だ」とのプランを明かしたそうです。

▼チャイナシフトが進むと世界中のファンが喜ぶ知らせも!?

 このように、NHLのチャイナシフトは、これからさらに加速していきそうな雲行きです。

 こんなニュースを目にすると、日本のホッケーファンの方は、「おもしろくないなぁ」と、つぶやきたくなってしまうかも !?

 でも、この話が現実となれば、日本はもちろん、世界中のホッケーファンが喜ぶ知らせが届くことになりそう!

 その知らせとは、2022年2月4日に開幕する(予定)北京オリンピックに関することです。

▼オリンピックに現役NHL選手が戻ってくる!?

 今年2月に韓国で行われた「ピョンチャン(平昌)オリンピック」の男子アイスホッケーは、現役選手のオリンピック出場を認めず、5大会続いたオリンピックブレイク(レギュラーシーズン中断期間)を設けられませんでした。

 そのため、世界のトップスターたちが、祖国のプライドを懸けて戦う姿は見られず・・・。

 しかし、前述してきたとおり、このままNHLのチャイナシフトが進めば、「北京オリンピック」を軽視することができなくなり、オリンピックブレイクを再び設けて、2大会ぶりに祖国のプライドを懸けたスター軍団同士の激しい戦いが見られそう!

 NBA選手の大半がアメリカ出身の男子バスケットボールと違って、NHLには北米やヨーロッパ各国から、スター選手たちが集まっているとあって、「ドリームチーム vs ドリームチーム」の戦いを、数多く見ることができるのが魅力!!

 こんなシナリオが現実となるのであれば、世界中のホッケーファンから、「NHLのチャイナシフトは大歓迎!」との声が聞こえてきそうです。

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

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