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【北京オリンピック】NHLのコミッショナーは参加を否定!「なぜ夏のオリンピックでやらないんだ?」

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
平昌オリンピックの男子アイスホッケーはOARが金メダル!(写真:ロイター/アフロ)

 ピョンチャン(平昌)オリンピック男子アイスホッケー決勝戦が今日行われ、オーバータイムに及ぶ熱戦の末、OARが4-3のスコアでドイツを下し、金メダルを勝ち取りました。

▼MVPはコバルチャク

 国家主導の組織的なドーピングに対する制裁措置により、ロシアではなくOAR(オリンピック・アスリート・フロム・ロシア)の名前での参加となりましたが、開幕間近にソビエト連邦(当時)が崩壊し、急きょ「EUN」という名前の合同チーム(Unified Team)を結成し優勝したアルベールビル大会以来、26年ぶりの金メダルを獲得。

 大会最多タイとなる5得点を記録したイリヤ・コバルチャク(FW・34歳/スカ サンクトペテルブルグ)が、最優秀選手に選ばれました。

▼北京オリンピックも現役NHL選手不在!?

 OARが今大会最後の金メダルを勝ち取ったあと閉会式が行われ、ピョンチャンオリンピックは幕を下ろしましたが、それに先駆けて、NHLのゲイリー・ベットマンコミッショナーは、ボストンで開催されたスポーツアナリストの会議に出席した際、このような意向を口にしました。

「NHLの現役選手が、北京オリンピックに参加することはないだろう」

▼NHLは”一人勝ち”を目ろむ

 ベットマンコミッショナーの発言には、「ワールドカップ」の再開と、「チャイナゲームズ(中国での公式戦)」の開催を皮切りに、”一人勝ち”を目ろむNHLの狙いが込められているのは明らかです。

▼ベットマンコミッショナーの提案

 さらにベットマンコミッショナーは、前述した会議の際、オリンピックで最初にアイスホッケー競技が行われたのが、1920年にアントワープ(ベルギー)で開催された夏季大会だった事実を挙げ、国際オリンピック委員会に対し、

「どうして夏季大会で(アイスホッケーを)開催しないのか?」

との意見を伝えたことも明らかにしたそうです。

 ベットマンコミッショナーは、昨春にピョンチャンオリンピックへの現役NHL選手参加を認めない決定を下した際にも、国際オリンピック委員会や国際アイスホッケー連盟に対し、「レギュラーシーズンに影響を与えることなく、選手たちが出場できる」ことから「夏季オリンピックでのアイスホッケー競技開催を提案した」 と話していましたが、その考えに変わりはない模様です。

▼男子アイスホッケーが夏のオリンピックに!?

 ピョンチャンオリンピックでは、決勝戦でさえスタンドに空席が目立ったことが示すとおり、1998年の長野オリンピックから5大会続いたNHLのスター選手たちが戦う「ドリームチーム vs ドリームチーム」の対戦が見られなくなった影響は、少なくなかった模様・・・。

 果たして、男子アイスホッケーが夏のオリンピック競技になる日が、やってくるでしょうか?

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

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