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【NHL】新生ベガスの初試合は「2-6」で敗戦 日系人スズキも不発 でもヤマモトより新人賞に近い?

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
ベガス ゴールデンナイツにドラフト1巡目指名されたニック・スズキ(中央)(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 開幕が3週間後(現地時間)に迫ったNHLは、各チームでルーキー(資格を持つ選手)たちのキャンプが行われていますが、今季からNHLに加盟した ベガス ゴールデンナイツの若手選手たちが、ロサンゼルス キングスの若手選手との試合に挑みました。

▼注目度は地元のロサンゼルスよりベガス!

 試合が行われたのは、ロサンゼルス国際空港に程近いトヨタスポーツセンター。

 ご覧のとおり、普段はロサンゼルスが練習を行っているアリーナですが、この日の主役は、やはりベガスの選手たち。

 チーム創設以来、初めての試合とあって、ラスベガスをはじめ、各地からメディアやファンが詰め掛け、注目度の高さが垣間見られました。

▼若手選手最後のアピール

 主力選手も加わって行われるトレーニングキャンプ(チームによって名称が異なります)が間もなく始まるだけに、若手選手たちにとっては、文字どおり最後のアピールの場。

 この試合で活躍してトレーニングキャンプのメンバーに残り、その後のプレシーズンゲームでチャンスをつかんで、開幕ロースター入りを目指そうと、必死にパックを追う姿が見られました。

▼24歳のチェコ人FWが「ベガス初得点」を記録!

 なかでも最も大きなインパクトを与えたのは、ベガスの トーマス・ハイカ(FW・24歳)

 試合開始直後に、スピードを武器に相手ゴール前へ切り込み先制ゴールをゲット!「ベガス初得点」を記録しました !!

 チェコのエクストラリーグ(国内トップリーグ)のチームでプレーした父親を持つハイカは、19歳の時に対戦相手のロサンゼルスからドラフト指名を受けたものの、評価の低さ(6巡目・全体171位指名)などもあって、契約には至らず。

 その後、ヨーロッパのトップチームなどで腕を磨いたのに続き、昨季の世界選手権でチェコ代表の一員として活躍。

 プレーぶりを高く評価したベガスからオファーを受け、フリーエージェント契約を結びました。

 現地メディアの報道では、AHL(NHLの一つ下のリーグに相当)のアフィリエイトチームで開幕を迎えると見られていましたが、スピードとオフェンス力には定評があるだけに、開幕ロースター入りへ向け、大きなアピールとなったようです。

▼スズキは不発・・・

 一方、6月のNHLドラフトで、ベガスから1巡目(全体13位)で指名された日系人選手の ニック・スズキ(FW・18歳)は、サードラインのCFとして出場しましたが、目立った活躍はできず不発・・・。

 同じ日系人FWで、エドモントン オイラーズから1巡目指名を受け、早くも大きくアピールしている カイラー・ヤマモト(FW・18歳)とは対照的に、アピールすることはできませんでした。

▼でも新人賞に近いのは、ヤマモトよりスズキ!?

 プロとしての第一歩は差をつけられてしまったスズキですが、カルダートロフィー(最優秀新人賞)争いでは、ヤマモトより有利な状況にいると言えそうです。

 なぜなら、ヤマモトが指名されたエドモントンには、昨季のハートトロフィー(レギュラーシーズン)に輝いたキャプテンのコナー・マクデイビッド(FW・20歳)を筆頭に、20代の有力なFWがズラリ。

 

 しかも、11季ぶりにプレーオフ進出を果たした昨季に続いて、28季ぶりのスタンレーカップ獲得が至上命題とあって、実績のある選手の起用が、これまで以上に増えることが予想され、ルーキーがポジションをつかんで出場し続けるのは、容易ではありません。

 対してベガスは、「チームビルディング(チームの構築)が我々の最優先課題」だと、ジョージ・マクフィー GMが話しているように、目先の結果だけにこだわらず、数年先のチームづくりも視野に入れた選手起用が(他チームよりは)多くなりそう。

 それだけに、多くの出場機会が与えられる可能性があるスズキのほうが、ヤマモトよりも「カルダートロフィーに近い」と言えるでしょう。

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

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