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【NHL】ドラフト1巡目で指名された身長173cmの日系人選手・ヤマモトが大きくアピール!

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
シアレリGM(右)よりも小さなドラフト1巡目指名の日系人選手カイラー・ヤマモト(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

昨季のスタンレーカップ ファイナルが終了してから、まだ1か月も経っていませんが、NHLの各チームは既に新たなシーズンへ動き始めています。

今月1日(現地時間)からは、FA権を持つ選手と所属チーム以外との契約が解禁になり、主力選手の移籍が多く見られた一方で、契約満了を待たずに「年俸およそ40億円で8年間」という超大型契約を結んだ コナー・マクデイビッド(エドモントン オイラーズ FW・20歳)のような選手も見られ、話題となっています。

▼若手選手の生き残りキャンプ

そんなスーパースターのニュースを見て、大きな夢を抱いているのが若手選手たち。

毎年この時期(6月下旬から7月上旬)は、各チームが「プロスペクト キャンプ」「デベロップメント キャンプ」などの名称で、若手選手たちを集めたキャンプを開催します。

NHLデビューを飾りながら、まだレギュラーを確約されていない選手や、アフィリエイトのマイナーチームの選手、さらにドラフト指名を受けながらNHL契約に至っていない選手など、多くの若手選手を集めてキャンプを行い、ヘッドコーチらが各選手を評価。お眼鏡にかなえば、9月に行われる「ルーキーキャンプ」に招集。

さらに、ルーキーキャンプでも高い評価を受けると、ようやくレギュラー選手たちが参加する「トレーニングキャンプ」のメンバーに名を連ね、プレシーズンゲームなどで認められた者だけが、開幕ロースターに選ばれます。

このような道のりの第一歩とあって、若手選手たちには、「生き残りを懸けたキャンプ」になるのです!

▼アピールは氷上だけではない

そうは言っても、必ずしも氷上のパフォーマンスだけで、選手たちがアピールするわけではないようです。

ほとんどが10代の若手選手とあって、キャンプの期間中に、オンとオフを使い分け、多くのチームがアイスホッケー以外のメニューも取り入れています。

たとえば、エドモントン オイラーズは、ホームタウンから西へ向かったジャスパーで、「デベロップメント キャンプ」を開催しましたが、期間中には、こんなトレーニング(?)も

ゴルフの「ドライビング コンテスト」

止まっているボールを、しっかり飛ばせないようでは、アイスホッケーの試合中に、動いているパックをスティックで叩けないぞ! という意図で取り入れたメニュー??? ではないようで、アイスホッケーのスキルばかりを見定めるのではなく、グループ内でのリーダーシップぶりなど、様々な観点から選手を分析する意図もあるとのこと。

ちなみにエドモントンは、過去には「クッキング コンテスト」を実施。昨季の MVP に輝いた マクデイビッドも、ルーキーシーズンにコック姿を披露したこともありました。

▼身長173cmの日系人が大きくアピール

しかし選手たちにとって、一番のアピールは、やはり氷上でのプレーに他なりません。

キャンプに参加した35選手が、エドモントンの黄金期を支えた名選手にあやかって 「チーム・グレツキー」 と、「チーム・メシエ」に分かれて試合を行いましたが、最も輝いていたのが、6月のドラフトで1巡目(全体22番目)指名を受けた、日系人選手のカイラー・ヤマモト(FW・18歳)

前後半制(通常は20分のピリオドを3回戦う)の特別ルールでしたが、ヤマモトは全9得点のうち、3得点に絡む大活躍(1ゴール2アシスト)で大きくアピールしました! (ハイライト動画は ↓ こちら。ヤマモトは青#56)

▼自信を垣間見せたヤマモト

試合後に、トッド・マクレラン ヘッドコーチから、トロフィーを受け取ったヤマモトは、「エドモントンには、素晴らしいコーチがたくさんいるので、全てを学んでいきたい」と謙虚なコメントを口にしました。

しかし、その言葉に続いて、キャンプに参加してから、初めて組んだばかりの選手とのコンビネーションプレーにも冴えを見せたことを、メディアに問われると、「お互いのプレースタイルを理解できれば、もっといいプレーができるはず。(ジュニアリーグでプレーし始めた頃は)年上の選手とプレーするのに最初は戸惑ったけれど、ほどなくして慣れることができた」と自信を垣間見せていたそうです。

先月のNHLドラフトで1巡目に指名を受けた31人のうち、最も小さい(身長173cm)ヤマモトは、大きな自信を胸に秘め、秋のキャンプを迎えるに違いありません。

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

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