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【NHL】地元に戻ったナッシュビルが快勝!でもホームゲームが続くのに第4戦はアドバンテージがない!?

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
今季からナッシュビルに移籍し8季目で初めてのファイナルを戦っているP.K.スバン(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

今季のNHLのチャンピオンを決めるスタンレーカップファイナルは、ピッツバーグで行われた第1戦と第2戦を終え、昨夜(現地時間)から、ナッシュビル プレデターズのホーム・ブリヂストンアリーナに舞台を移して、第3戦が行われました。

▼大活躍中のルーキーが先制ゴール

地元に戻って元気づいたナッシュビルは、序盤から何度もチャンスが巡ってきましたが、身長194cmの長身GKマット・マリー(23歳)の好セーブの前に、なかなか得点できず・・・。

対するピッツバーグは、第1戦と第2戦で大活躍したルーキーFWのジェイク ・グェンツェル(22歳)が、3戦連続得点となる先制ゴールをゲット!

舞台が移っても、ピッツバーグが主導権を握り続けるかと思われました。

▼ノックアウトされた守護神が奮起!

ところが、ピッツバーグに渡ってしまいそうな主導権を引き寄せたのが、ナッシュビルのGKペカ・リネ(34歳)でした。

第1戦に敗れ、続く第2戦も4失点して、試合途中に交代を命じられてしまった守護神は、「お前が我々のチームの屋台骨であるのは変わらないぞ!」と、ピーター・ラビオレット ヘッドコーチに言われて発奮。

第2ピリオド以降は、完璧な守りを披露して、22本のシュートを全てセーブ。

最も勝利に貢献した選手だと評価され、ファーストスターに選ばれました。

▼リネに負けじとチームメイトも奮起!

守護神の働きに奮起したチームメイトの姿も見逃せません。

モントリオールカナディアンズからトレードされ、8季目で初めてのファイナルを戦っているDFのP.K.スバン(#76 タイトル写真の選手/28歳)が、オレがシュートを止めてやる!と体を張ったプレーに終始。(かえってGKリネの邪魔をしてしまっているようにも見えますが・・・)

その甲斐あって、ピッツバーグが誇るFWの二枚看板のシドニー・クロスビー(29歳)、エフゲニ・モルキン(30歳)両選手が、2006年秋からチームメイトになって以来、プレーオフの試合で初めて二人揃ってシュート数「0」に終わりました。

▼ミュージックシティの盛り上がりは最高潮に!

このように、ピッツバーグで行われた2試合と打って変わって、ナッシュビルの選手が奮起したのは、「ミュージックシティ」の別名を持つホームタウンのファンの力が大きかったのは明らか。

普段のダウンタウンエリアの賑わいぶりは、国内の大都市には到底及びませんが、レギュラーシーズンの終盤以降、ホームゲームの開催日には続々と人が集まるようになりました。

その数はプレーオフを勝ち進むごとに、どんどん増えていき、初めてのスタンレーカップファイナルに臨むとあって、盛り上がりは最高潮に!

(画面中央のメインストリートの左奥にある白い円盤のような屋根の建物が、試合会場のブリヂストンアリーナ)

参考までに、地元警察の発表によると、昨夜の試合に合わせ、ブリヂストンアリーナ界隈には、5万人を超す人が集まったそうです。

▼最強のホームアドバンテージ!

ミュージックシティと呼ばれるナッシュビルのファンの声援が武器となって、今季のプレーオフでのナッシュビルの成績は、

ホームゲーム「8勝1敗」ロードゲーム「5勝5敗」

というように、ブリヂストンアリーナで敗れたのは、オーバータイムでアナハイムダックスに競り負けた1試合だけ(カンファレンスファイナル第4戦)。

最強のホームアドバンテージが、ナッシュビルの原動力になってきただけに、ブリヂストンアリーナで戦う明日の第4戦も白星を手にして、対戦成績を五分に戻したいところです。

▼第4戦にホームアドバンテージはない !?

しかし、ナッシュビルにとって、ありがたくないデータが・・・。

それは、NHLのプレーオフが「ベストオブ7(4勝先勝方式)」になって以来、これまでの試合ごとの勝敗を比較すると、第1戦から第3戦と、第5戦から第7戦までは、全てホームチームの勝率が上回っているのに対し、第4戦だけ「勝率4割8分9厘(413勝432敗)」と、ビジターチームが勝ち越していることです。

過去の勝敗を見る限り、「ホームアドバンテージがない第4戦」に挑むナッシュビルは、ミュージックシティのファンに勝利をプレゼントして、対戦成績を五分に戻すことができるでしょうか?

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

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