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【NHL】レギュラーシーズン終了。明後日からプレーオフが始まる前に、知っておきたい「5つの数字」

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
NHL史上最年少キャプテンとなったエドモントンオイラーズのコナー・マクデイビッド(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

昨年10月12日(現地時間)から続いていたNHLのレギュラーシーズンは、昨夜をもって全1230試合を戦い終えました。

カンファレンス クォーターファイナル(以下1stラウンド)のスケジュールも発表され、ホッケーファンの視線は、明後日から始まるスタンレーカップ(チャンピオンチームへ渡されるトロフィー)を目指しての戦いへ向けられています。

そこでプレーオフが始まる前に、知っておきたい「5つの数字」を紹介しましょう。

▼「5年連続」

アナハイム ダックスが、今季もパシフィック ディビジョン(ウエスタン カンファレンスの7チームが所属)のトップとなり、「5年連続のディビジョン チャンピオン」に輝きましたが、これはNHLの歴史の中でも「史上5位タイ」となる記録。

2007年以来2度目の優勝を狙うのはもちろん、ケベック ノルディックスと(移転後の)コロラド アバランチ が持つ「9年連続ディビジョン チャンピオン」のNHL記録に、どこまで迫まれるかも注目されます。

▼「史上3番目」

今季の開幕前に、NHL史上最年少(19歳266日)でキャプテンに就任したエドモントン オイラーズのコナー ・マクデイビッド

今季のレギュラーシーズンでプレーした全888選手(プレーヤーのみ。GKは除く)の中で、最も多いポイント(ゴールとアシストの合計)をマークして、アートロストロフィー(最多ポイント)を獲得。

「20歳7か月と27日」でアートロストロフィーを獲得したのは、「19歳8か月」で受賞した シドニー ・クロスビー(ピッツバーグ ペンギンズ=)と、2位の ウェイン・グレツキー(エドモントン オイラーズ=記録達成当時の所属)に続いて、「史上3番目の若さ」

2006年以来のプレーオフ進出となるエドモントンは、若きチームリーダーのプレーがカギになりそうです。

▼「18億4000万円」

若きチームリーダーとは対照的に、実績十分な守護神の対戦が注目されるのは、「モントリオール カナディアンズ vs ニューヨーク レンジャーズ」のシリーズ。

今季の対戦こそ、モントリオールが3戦全勝ながら、過去のプレーオフでの対戦成績は、レンジャーズの「8勝」に対し、モントリオールが「7勝」だけに、接戦を予想する声も聞かれます。

そんな両チームのストロングポイントは、「絶対的守備神」の存在。

どちらもベジナトロフィー(最優秀GK賞)に輝いた経歴を持つ、キャリー・プライス(モントリオール)と、ヘンリク ・ランドクウィスト(レンジャーズ)が、ゴールを守るだけに、ロースコアの試合が多くなりそうですが、ちなみに両選手の今季の年俸を見てみると、

プライス「700万USドル(およそ7億8000万円)」

ランドクウィスト「950万USドル(およそ10億6000万円)」(全GKで最高額)

二人の守備神を合わせて「年俸18億4000万円の戦い!」は、どらちに軍配が上がるでしょうか。

▼「20年ぶり」

プレーオフに勝ち上がった16チーム(東西両カンファレンスの上位8チーム)の中で、カナダをホームタウンとするチームは、実に「5チーム」

昨季はカナダの7チームが、揃いも揃ってレギュラーシーズンで敗退したのとは対照的に、ホッケー大国だと自負してやまないカナダのファンは、プレーオフを楽しむことができそう。しかも、1stラウンドの組み合わせを見ると、カナダのチームの対戦相手は、全てアメリカをホームタウンとするチーム。

5つものカナダのチームがプレーオフに勝ち上がりながら、1stラウンドでの直接対決がないのは、「20年ぶり」のこと。

(1stラウンドで全滅してしまう危険性もありますが)カナダのファンは、1993年以来のチャンピオンチームの誕生を! 

さらには、モントリオールとカルガリー フレイムスが顔を合わせた1989年以来の「カナダのチーム vs カナダのチーム」が激突するファイナル への期待が、高まっているに違いありません。

▼「31杯」

久々にプレーオフを戦うチームがある一方で、昨季まで25季続けて(労使交渉が決裂しロックアウトによってシーズンキャンセルとなった年を除く)プレーオフに進出していた デトロイト レッドウィングスは、レギュラーシーズン敗退が決定。

折しも今季は、1982年からオーナーとしてチームを支え続けて来た マイク・イリッチ 氏が亡くなり、その上、37季もの長きにわたって、ホームゲームを戦ってきたジョールイスアリーナのラストシーズンを、勝利で締めくくることはできませんでした。

残念な結果となったものの、昨夜は多くのファンと歴代の名選手らが集まり、ジョールイスアリーナに別れを告げました。

ところで、昨夜の試合では、デトロイトの選手がゴールを決めた直後に、ある物がスタンドから投げ入れられました。

ファンが投げ込んだ物の正体は、「タコ」!

なぜタコが投げ入れられたかと言うと、かつてNHLのプレーオフが2つのラウンドで争われ、8勝すればチャンピオンになれた時代に、デトロイトのファンが、優勝に必要な白星の数とかけて、足が8本あるタコを投げ込んだところから、いつしかジョールイスアリーナでのプレーオフの “恒例行事” に。

しかし、昨夜の試合に先駆けて、アメリカのPETA(動物への倫理的扱いを求める人々の会)から、「タコを投げ入れないように求める」との訴えをしましたが・・・、「31杯のタコ」が、スタンドから投げ入れられました。

デトロイトのファンにとっては、忘れることのできないセレモニーだったようです。

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

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