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アイスホッケーの最高峰・NHL創設100年目にして、史上最年少(19歳266日)のキャプテンが誕生

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
エドモントンオイラーズの新キャプテンに指名されたコナー・マクデイビッド(写真:ロイター/アフロ)

12年ぶりにワールドカップが開催されたため、今季のNHLのレギュラーシーズンは、昨季よりも5日遅れて、今月12日(現地時間)から始まります。

ワールドカップに出場した選手たちも所属チームに戻り、プレーシーズンゲームを戦いながら開幕へ備えていますが、エドモントン オイラーズから「新キャプテンの誕生」とのニュースが届きました。

新たにチームリーダーに任命されたのは、FWのコナー・マクデイビッド

数多くのメディアが集まり、注目度の高さが伝わってきますが、それもそのはず!

マクデイビッドは、「19歳266日」でキャプテン(正式なチームキャプテン)に就任。

創設100年目を迎えるNHLの歴史の中で、「史上最年少のキャプテン」が誕生したのです!!

▼ジュニアリーグ年間最優秀選手

カナダの主要なジュニアリーグ(WHL、OHL、QMJHL)の中で、最も優れた選手に与えられる「CHL年間最優秀選手賞」に選出されるなど、突出した存在だったマクデイビッドは、昨年のNHLドラフトで全体1位指名を受け、エドモントンの一員に。

トレーニングキャンプの時から、多くのメディアやファンに注目され、「カルダートロフィー(最優秀新人賞)受賞は間違いなし!」 と期待されました。

ところがケガに泣かされ、およそ半分の試合で欠場を強いられ、不本意なルーキーイヤーに・・・。

その鬱憤を晴らすかのように、NHLのレギュラーシーズン終了後、カナダ代表のメンバーとして世界選手権に出場し優勝に貢献。

さらに先日まで行われていたワールドカップでは、チーム・ノースアメリカ(=北米出身の23歳以下のオールスターチーム)の主力FWとして健在ぶりをアピールし、二度目の開幕を迎えます。

▼最もプレーオフから遠ざかっているエドモントン

マクデイビッドが所属するエドモントンは、ウェイン・グレツキーマーク・メシエら、ヤリ・クリら、後にアイスホッケー殿堂入りのメンバーに選出される名選手を揃え、1984年の初優勝を皮切りとして、7季の間に5度もチャンピオンに輝きました。

ところが、一転して近年は低迷が続き、2006年にファイナルまで勝ち進んだのを最後に、10年続けてプレーオフに勝ち進むことが、できずじまい。

エドモントンは、NHL全30チームの中で、最も長くプレーオフから遠ざかっているチームなのです。

▼史上4人目のティーンエイジャー キャプテン

このようなチーム事情を垣間見て、昨季から就任したピーター・シアレリGMは、まず選手の適正を見極めるのが先決とばかり、キャプテンを決めずに戦いましたが、結果は変わらず、ウエスタン カンファレンスの最下位。

そこでシアレリGMは、大幅なテコ入れが不可欠だと、19歳のマクデイビッドにキャプテンを託して、今季に臨みます。

NHLの長い歩みを振り返ると、これまで10代でキャプテンになった選手と、就任時の年齢は、

ビンセント・ルカバリエ(タンパベイ ライトニング)=19歳315日

シドニー・クロスビー(ピッツバーグ ペンギンズ)=19歳297日

ガブリエル・ランデスコグ(コロラド アバランチ)=19歳286日

というようにマクデイビッドを含めて、4人だけ。

しかもマクデイビッドは就任した時点での年齢は「19歳266日」とあって、「NHL史上最年少のキャプテン」の誕生となりました!

前述したとおり、ルーキーシーズンの半分しかプレーしていないマクデイビッドは、既に看板FWとなっていたルカバリエや、オールスターゲームにも出場していたクロスビー、カルダートロフィーを受賞したランデスコグの3人に比べると、NHLでの活躍度は大きく引けを取っているのは明らか。

しかし、それでもシアレリGMは、新たなホームアリーナで戦う節目の年に、文字どおりチームをリニューアルして、エドモントンの再興を目ろんでいるようです。

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

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