日本卓球界で、強いのにもかかわらず礼儀正しく謙虚と言えば張本智和が挙げられるが、世界にはその張本が足下にも及ばない”腰の低い”卓球選手がいる。

ブラジルのエース、ウーゴ・カルデラノだ。世界ランキングは8位(8月3日付)。182センチの長身ながら、そのレシーブの構えの低さは競技を可能にする理論上の限界に達している。これより低ければ彼の視界には卓球台の側面あるいは相手の下半身だけが見えることになる。

小学校低学年に卓球を始めるのがトップ選手になるための必須要件とも言える現代卓球において、カルデラノが本格的に卓球を始めたのはなんと14歳。あり得ない遅さだ。幼少期にはバレーボールや陸上もやっており、その運動能力は軽々と宙返りをこなすほど。

もちろん、この腰の低さは構えだけであり、いざボールがやってくれば普通の高さに修正される。一種のルーティンのようなものだ。

カルデラノ
カルデラノ写真:ロイター/アフロ

東京五輪2020では、韓国のエース、張禹珍をフルゲームの大激戦で破って見事ベスト8に入った。

そのカルデラノを準々決勝で破ったのがオフチャロフ(ドイツ)だ。

身長186センチのオフチャロフ
身長186センチのオフチャロフ写真:ロイター/アフロ

こちらは身長186センチだが、そのサービスの構えがこれまた低い。あたかも沈みゆく戦艦のようでさえあるが、ここからオフチャロフの大砲が火を吹く。

オフチャロフ(ドイツ)のサービス
オフチャロフ(ドイツ)のサービス写真:ロイター/アフロ

もちろん、カルデラノほどではないがレシーブの構えも低い。

サービスを出すカルデラノと構えるオフチャロフ(奥)
サービスを出すカルデラノと構えるオフチャロフ(奥)写真:ロイター/アフロ

競技領域が狭い卓球においても、リーチが長いことは大きな有利だ。しかしこれらの構えを見ると、有利なことばかりでもなさそうだ。彼らには卓球台は低すぎるのかもしれない。

いずれにしても、彼らがパリ五輪でも依然として日本の脅威であることは間違いない。