市税の負担額は運営費の25.4%?

大阪市立大・大阪府立大統合問題シリーズ4回目。

大阪都否決で大阪市立大・大阪府立大はどうなる?

大阪都否決で大阪市立大・大阪府立大はどうなる?その2~大学統合事例・経済効果・地理条件から考える

大阪都否決で大阪市立大・大阪府立大はどうなる?その3~統合のための条件って何だ?

前回では、公立大の運営費は地方交付税が充てられていて、自治体の負担はそれほどない、仮に統合で大阪市立大を潰しても、その分の地方交付税が減額されるだけなのでは、と指摘しました。

さて、その後、この統合問題シリーズ記事をよくリツイートしてくれる、大学統合を考える大阪市大・府大学生の会 @ocuopu_students  で、こんな投稿を発見。

5月29日

投票2日前に橋下から届いた質問返答、逃げの返答 http://blog.goo.ne.jp/1848yama/e/f66b2dd78ed0556f0105c204f7624bb5 …

リンク先をたどっていくと、山上俊夫さんという元高校教員(たぶん大阪在住)の方のブログへ。

大阪都構想の住民説明会・タウンミーティングに参加、質問を用紙に書いて提出したところ、投票2日前に返事が来たとのこと。

大阪府立大学と大阪市立大学の間の二重行政のムダについて。府大・市大の運営費の80~90%が国からの交付金で賄われており、府税・市税からはそれぞれ8・5%、25・4%にすぎず、両大学への府市民税の投入は合計しても首都大学東京(旧都立大学)の半分に過ぎない。この事実の確認をまずお願いしたい。そのうえで、府大・市大については、二重行政のムダは存在しないと考えますがいかがでしょうか。

→ ≪答え≫「また、『府大・市大については二重行政の無駄は存在しないのではないか』につきましては、繰り返しになりますが、二重行政とは、広域機能をもつ府と市が、狭い府域の中でそれぞれサービス提供を行い、大阪都市圏全体として最適となっていない状態と考えております。したがって、どちらか一方の施設を廃止するだけということではありません。具体的には、大学はさらなる少子化に伴う学生数の減少により、大学間の競争が激化する中、両大学の強みを活かし、大阪の成長・発展に貢献できる大学をめざす観点から、統合に向けた取り組みが必要と考えております。」

この返答に対して、ブログ主の山上さんは、

「おい、ごまかすなよ。逃げるな」

とお怒りですが、確かにそうですね。

なお、ブログ中に出てくる、

「府大・市大の運営費の80~90%が国からの交付金で賄われており、府税・市税からはそれぞれ8・5%、25・4%にすぎず~」

という部分ですが、日本科学者会議大阪支部の声明

と同じです。

プロパガンダ?の大阪市データの小さい注釈

では、大阪市立大や大阪市のデータにこのデータがあるか、と言えばありませんでした。

大阪市の「『大阪市の財政の現状』について(平成24年9月)」には、

「現状と課題」というところで、愚痴、もとい、市外居住者の利用が多い、という項目があり、そこに大阪市立大が並んでいます。

平成23年度の市立大学入学者のうち、大阪市内居住者は16.8%、市外83.2%。

この比率の横に「市立大学の整備・運営」の費用として、118億円と記載されています。

そして、注釈で、「市立大学は交付金等」と小さく書かれています。

これ、大阪都構想推進のいいプロパガンダですし、大学運営に詳しい関係者以外だと、そりゃあ、勘違いはするでしょう。

市立大は域外出身者が多くて、基礎自治体の仕事ではない、118億円もかけて何をやっているんだ、これぞ二重行政の象徴、大学統合に反対するのは既得権益の権化…

えーと、あと何あったっけ?

ま、とりあえずこれくらいにしておきますか。

ざっくりと試算してみた

しかし、前回の記事にも書きましたが、交付金とは国からの地方交付金であり、公立大学を運営する自治体には、その分が別に出ます。

日本科学者会議大阪支部のデータを当てはまれば、平成23年度の118億円のうち、市税の負担額は29.5億円になります。

残りは国から。

仮に、統合により、市立大を潰しても、市税負担額以外の交付金はその分が減額されるだけです。

つまり、市立大を潰して節約できる費用は、市税負担額である、約30億円だけです。

整備・運営費用の118億円がそのまま、別の支出に回せる、というわけではありません。

しかも、大学統合ということは、市立大の定員がそっくりゼロになる、ということはまずないでしょう。

リストラしまくったとしても、せいぜい半分程度がいいところ。

その分は、相変わらず、大阪市(あ、統合していれば大阪都でしたっけ?)が支出することになります。

となると、約30億円の半分、15億円。

これが統合により、節約できる額です。

しかも、統合した場合、グローバルキャンパスを作るとのこと。

大阪市内中心部に、新キャンパスを作るとして、ビルキャンパスでも、さて、いくらかかることやら。

下手すれば、節約できるどころか、グローバルキャンパス建設の分、マイナスになるのではないでしょうか。

推進派は注釈・交付金の意味が分かっていない?

推進派のお一人、米重克洋さんのTwitterには、

引用されたが、大学に回すカネがあったら東京や他政令市に比べて劣る小・中学校の義務教育(これこそ基礎自治体の仕事)に回せ、というのが前稿から一貫した記事の趣旨なのに、全然理解されてない。

とありました。

まあ、おそらく、大阪市データや推進派の出す「運営費118億円」というところと、二重行政批判のところを見て、

「大学は二重行政の象徴、しかも118億円も使っている、統合すれば、これがまるまる節約できて他に使えるじゃないか」

と思い込んだのでしょう。

しかし、小さく書かれた「交付金等」の意味には気づかなかった。

これが議論のすれ違いの元と思われます。

さて、ここまでの議論を整理します。

・大阪市立大の整備・運営費用(平成24年度)は118億円

・整備・運営費用のうち大半は国からの交付金

・日本科学者会議大阪支部の声明によると、大阪市税の負担は25.4%

・大学を統合しても、国からの交付金は減額されるだけで、別の費用に回せるわけではない

・統合後、仮に旧・大阪市立大の定員を半分にしたとしても、市税負担額がゼロになるわけではない

・統合後、大阪市の市税負担額は推定で15億円程度。統合で節約し、他の経費に割り振れる額も15億円程度

・グローバルキャンパスを新設すれば、建設費次第で大幅なマイナスになる可能性が高い

・大阪市立大が現状維持だった場合、経済効果は推定で少なく見ても150億円

まとめますと、

「大阪市立大と大阪府立大を統合することで、節約できる額は15億円程度。グローバルキャンパス新設の費用を考えれば、プラスマイナスゼロ、あるいは大幅な赤字になるかもしれない。現状維持のままでは、年150億円の経済効果があるが、それがゼロになったとしても、二重行政の象徴は潰すべき」

これが、統合推進派の主張、ということになるのでしょうか。

「二重行政の解消」

これは私も実現されるべきものと考えます。

しかし、その象徴が大阪市立大というのはどうなんでしょうか。

それでも、統合した方がいい、ということであれば、

・大阪市立大の運営で国の交付金を除いた大阪市税の投入額はいくらか?

・統合で節約できる費用はいくらになるのか?

・統合による経済効果と現状維持の経済効果はどちらが上か?

是非、そのあたりのことを明らかにしていただければと思います。

今のところ、推進派の方の主張は、統合によって、小中学校の充実のために振り分けると言いながら、実は振り分ける額がほとんどないか、全くない(むしろ、余計な経費がかかる)かのどちらか、としか思えません。

大いなる矛盾、と思うのですが、反論をお待ちしております。