進路相談21・実技のない芸術系学部の進学、メリット・デメリットは?
質問:実技がなくても入れる美大のメリット、デメリットはありますか?
実技がないと入りやすいことは確かです。
大体は現役入学者が多いはず。
実技のある美大、特に東京芸術大、武蔵野美術大、多摩美術大などは大体が1年間、美術系予備校に通ってから入学しています。
その1年を飛ばして入れるのはメリット。
一方、実技がなく、美術系予備校に通わなくても入れる、ということはそれだけ基礎が備わっていない学生が多数ということです。
4年間で追いつけばいいのですが、そうでないと、他の美大生に比べて一枚、二枚、落ちた作品しか作れない可能性が高くなります。
私がある美大のオープンキャンパスに見学に行ったときのこと。駅からその大学の学生とタクシーを乗り合わせていくことになりました。
道すがら話を聞くと、その美大は実技がなく、現役生ばかり。その学生も現役入学したのですが、あまりにも基礎がなく、その基礎不足が他の美大生に比べて負けていると感じたそうです。
それで、在学中に美術系予備校の夏季集中講義をわざわざ受けに行った帰りに私と遭遇した、という次第。
この基礎不足、という話は実技のある美大の関係者からよく聞くところです。
1年間の基礎教育を外部の美術系予備校に丸投げしているだけ、との批判もできますが、実技あり(美術系予備校に進学)というルートの方がより良いのかな、という印象を持っています。
仮に実技のない美大に進学する場合は実技のある美大生に比べて基礎がない、ということを強く意識してください。
私が会った美大生のように夏休みなどに集中講義を受けるのもいいでしょう。
※『時間と学費をムダにしない大学選び2016』(中央公論新社)より引用