Yahoo!ニュース

進路相談21・実技のない芸術系学部の進学、メリット・デメリットは?

石渡嶺司大学ジャーナリスト

質問:実技がなくても入れる美大のメリット、デメリットはありますか?

実技がないと入りやすいことは確かです。

大体は現役入学者が多いはず。

実技のある美大、特に東京芸術大、武蔵野美術大、多摩美術大などは大体が1年間、美術系予備校に通ってから入学しています。

その1年を飛ばして入れるのはメリット。

一方、実技がなく、美術系予備校に通わなくても入れる、ということはそれだけ基礎が備わっていない学生が多数ということです。

4年間で追いつけばいいのですが、そうでないと、他の美大生に比べて一枚、二枚、落ちた作品しか作れない可能性が高くなります。

私がある美大のオープンキャンパスに見学に行ったときのこと。駅からその大学の学生とタクシーを乗り合わせていくことになりました。

道すがら話を聞くと、その美大は実技がなく、現役生ばかり。その学生も現役入学したのですが、あまりにも基礎がなく、その基礎不足が他の美大生に比べて負けていると感じたそうです。

それで、在学中に美術系予備校の夏季集中講義をわざわざ受けに行った帰りに私と遭遇した、という次第。

この基礎不足、という話は実技のある美大の関係者からよく聞くところです。

1年間の基礎教育を外部の美術系予備校に丸投げしているだけ、との批判もできますが、実技あり(美術系予備校に進学)というルートの方がより良いのかな、という印象を持っています。

仮に実技のない美大に進学する場合は実技のある美大生に比べて基礎がない、ということを強く意識してください。

私が会った美大生のように夏休みなどに集中講義を受けるのもいいでしょう。

※『時間と学費をムダにしない大学選び2016』(中央公論新社)より引用

大学ジャーナリスト

1975年札幌生まれ。北嶺高校、東洋大学社会学部卒業。編集プロダクションなどを経て2003年から現職。扱うテーマは大学を含む教育、ならびに就職・キャリアなど。 大学・就活などで何かあればメディア出演が急増しやすい。 就活・高校生進路などで大学・短大や高校での講演も多い。 ボランティアベースで就活生のエントリーシート添削も実施中。 主な著書に『改訂版 大学の学部図鑑』(ソフトバンククリエイティブ/累計7万部)など累計33冊・66万部。 2024年7月に『夢も金もない高校生が知ると得する進路ガイド』を刊行予定。

教育・人事関係者が知っておきたい関連記事スクラップ帳

税込550円/月初月無料投稿頻度:月10回程度(不定期)

この有料記事は2つのコンテンツに分かれます。【関連記事スクラップ】全国紙6紙朝刊から、関連記事をスクラップ。日によって解説を加筆します。更新は休刊日以外毎日を予定。【お題だけ勝手に貰って解説】新聞等の就活相談・教育相談記事などからお題をそれぞれ人事担当者向け・教育担当者向けに背景などを解説していきます。月2~4回程度を予定。それぞれ、大学・教育・就活・キャリア取材歴19年の著者がお届けします。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

石渡嶺司の最近の記事