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就活相談25・親はどの程度、就活にかかわる?

石渡嶺司大学ジャーナリスト

質問:うちの親は私の就活を応援したいと言ってくれています。それは嬉しいのですが、親の応援・介入ってそもそもどの程度、認められるものでしょうか?

就活と親の関係、よく話題になりますね。親向けの大卒就活の本も10冊以上刊行されていますし、ビジネス週刊誌などでも取り上げられています。

親と就活の関係については「応援はマル、介入はバツ」が私の考えです。

応援とは、資金援助と控えめなアドバイス。これはあっていいと思います。

バブル期の就活と違い、今は交通費など学生の負担が重い時代です。渡すのか、出世払いで返すのかはともかく、ある程度の金額の援助は必要でしょう。

アドバイスも学生側が求めてくるなら、必要と思います。ただし、このアドバイスを拡大解釈してしまう親って多いですね。それが介入になるわけで。

学生が親に聞いて有効なアドバイスとは、「職場(民間企業か公務員か無関係/自営業なら出入りの業者・取引相手など)の若手社員に対する不満、部下に求めたい資質」、これです。

親の就活の話を聞いたところで、古いから役に立ちません。その点、この話題なら、働いている親なら誰もが感じていることですし、具体例を含め、いくらでも話せるはず。

で、その悪い部分とは何だろう、と考えて、落とし穴を避けるように自身の就活にも反映すればいいのです。

あとはまあ、数はぐっと減るでしょうけど、親戚を含めた社会人紹介。

いや、志望企業か志望業界に該当する必要はありません。そこそこの企業(もしくは公務員)でそこそこのポジションにある30代以上なら誰でも可。

もちろん、志望企業・業界に近い人がいればその人が望ましいことは言うまでもありません。

で、聞くのは親と同じく「若手社員への不満、求める資質」。社会人と話すことに慣れる、という点では、いい手と思いますよ。

親戚が近くにいない、というなら、「職場の飲み会参加」。

親に頼んで職場の飲み会に連れていってもらうのです。

親の意外な顔を見られたり、飲み会のマナーなども教わることができます。

逆にやめた方がいい介入とは、「説明会の代理参加」「企業への連絡」「志望企業・内定先の選別」。

説明会の代理参加はたまに聞きますが、バカバカしいの一言。学生本人が参加しないと意味がありません。

企業への連絡も同様。内定辞退なども怖いから、という理由で親にさせる学生もいるそうですが、親にさせてどうする気だと小一時間説教したいところ。

志望企業・内定先の選別も危険ですね。特に専業主婦の母親。

企業・業界の見方がそもそもわかっていない、有名企業しか知らない、職業観が古すぎる、自分が入りたかった企業をゴリ押しする、などなど。

世間一般の見方を知る、という点では有効かもしれませんが、それ以外はあまり参考にはなりません。

女子学生の場合は、総合職という働き方が定着したのは1985年の男女雇用機会均等法以降ではなく、2000年前後から。つまり、定着してから20年経っていない働き方です。それを知らない母親が「一般職は入りやすそう」「営業なんて女の子には向いていない」と言い出すこともよくある話。

就活は学生がどこで働きたいか、が大事です。そのためのアドバイスはいいにしても、「こういう方が絶対に幸せだから」と決め付けるのは介入にすぎませんし、それは双方にとって不幸な結果を招きかねない、と私は考えます。

※『300円就活 面接編』(角川書店・オリジナル電子書籍)より引用

大学ジャーナリスト

1975年札幌生まれ。北嶺高校、東洋大学社会学部卒業。編集プロダクションなどを経て2003年から現職。扱うテーマは大学を含む教育、ならびに就職・キャリアなど。 大学・就活などで何かあればメディア出演が急増しやすい。 就活・高校生進路などで大学・短大や高校での講演も多い。 ボランティアベースで就活生のエントリーシート添削も実施中。 主な著書に『改訂版 大学の学部図鑑』(ソフトバンククリエイティブ/累計7万部)など累計33冊・66万部。 2024年7月に『夢も金もない高校生が知ると得する進路ガイド』を刊行予定。

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