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進路相談10・工学部進学だけど、片道2時間でも自宅通学で大丈夫?

石渡嶺司大学ジャーナリスト

進路相談10:自宅から2時間かかる国立大工学部に進学予定です。自宅から通うか、それとも大学周辺でアパートを借りるか、寮に入るか、いずれかを検討しています。親は自宅から通えば自動車教習所の費用と車をプレゼントする、と言ってくれているのですが。石渡さんのアドバイスをお願いします。

中学のとき、寮生活(1年のみ)で当時はうんざり、今思えばいい思い出の石渡です。

さて、国立大工学部に進学予定とのこと、おめでとうございます。

自宅、というかご実家ですね。そこから片道2時間…。

親御さんからすれば、アパート・寮にかかる費用を考えれば、自動車教習所と車の費用の方が安い、ということでしょう。

あるいは、我が子と離れがたい、という思いもお持ちかもしれません。

しかし、工学部であれば、片道2時間の通学距離は論外。

30分圏内がいいところです。

つまり、片道2時間圏内のあなたについては、アパートないし寮生活を強くお勧めします。

ポイントは工学部。学科が土木・建築にしろ、化学にしろ、電気工学にしろ、どの学科にしても、実験・実習が大変です。

機械工学だと製図、化学だと合成実験など、いずれも時間がかかり深夜に及ぶことも珍しくありません。

卒業研究に入れば、それはそれで大変(男子学生は卒業研究が大変すぎて彼女がいても別れる、というジンクスのある大学研究室もあるとかないとか)。

片道2時間、まあ、車で飛ばして1.5時間としても朝9時の講義に間に合うためには7時30分前には自宅を出発。

大学での実験・実習が21時ごろに終わったとして(もっと遅くなる日ももちろんあります)。

そのあとにご飯を食べて帰宅すれば深夜の0時…。

いくら、いい車を買ってくれるとしても、どこかで交通事故を起こしかねないハードスケジュールですね。

もちろん、1人暮らしであれ、寮生活であれ、様々なリスクがあります。

しかし、工学部の実験・実習にかかる時間とその疲れから通学中に起こしかねない交通事故のリスクを考えれば、アパートないし寮での生活の方がはるかに安全、と考えます。

※『時間と学費をムダにしない大学選び2016』(中央公論新社)より引用

大学ジャーナリスト

1975年札幌生まれ。北嶺高校、東洋大学社会学部卒業。編集プロダクションなどを経て2003年から現職。扱うテーマは大学を含む教育、ならびに就職・キャリアなど。 大学・就活などで何かあればメディア出演が急増しやすい。 就活・高校生進路などで大学・短大や高校での講演も多い。 ボランティアベースで就活生のエントリーシート添削も実施中。 主な著書に『改訂版 大学の学部図鑑』(ソフトバンククリエイティブ/累計7万部)など累計33冊・66万部。 2024年7月に『夢も金もない高校生が知ると得する進路ガイド』を刊行予定。

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