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就活相談24・キャバ嬢経験は話しても大丈夫?

石渡嶺司大学ジャーナリスト

質問:3年生で航空業界志望です。学生時代に、キャバクラのバイトをしていました。この経験はそもそも就活で話さない方がいいでしょうか?

2014年に日本テレビ放送網・アナウンサー内定者の笹崎里菜さんが、クラブでのアルバイトを理由に内定取り消しとなりました。

笹崎さんは入社を求めて訴え、大きな話題となりました。結局、2015年1月に内定取り消しを取り消し、予定通り2015年4月に入社することで和解。

キャバクラやクラブ勤務がよく話題になりますが、微妙なところ。

というのも、結構いるんですよね。

取材すると、キャバクラ・クラブ勤務経験を就活でアピールする学生がほぼゼロ。

隠して内定まで至ったという例が圧倒的に多いです。

営業や接客を重視する企業からすれば、キャバクラ・クラブ勤務での経験が強い武器になることは確かです。

何しろ、年上の社会人と応対する経験が他の学生以上にあるわけですから。

しかし、問題はその経歴に対する誤解です。

性的な手段を使わずとも、取引先からは「あの子は元キャバ嬢だから多少のセクハラは許される」と勘違いされる可能性があります。

あるいは、セクハラをしないまでも、「そういうキャバ嬢のいる会社と取引をするなんて品位が落ちるからやめる」と言い出す取引先だってあるでしょう。

ばかばかしいですけど、キャバ嬢だった、というだけでそういう差別的に見る企業・社会人はあるわけです。

それから、社内も問題です。

「キャバ嬢だろうが何だろうが問題ない。過去はどうあれ、結果を出せ」との社風があって、社員もそれを共有しているような企業であればいいのですが、そうした企業はほとんどありません。

それよりも、元キャバ嬢とわかった瞬間に、「キャバ嬢だったから多少のことは許すんでしょ」と勘違いする男性社員、「キャバ嬢だからどんな手で営業成績を伸ばしたんだか」と陰口をたたく女性社員などが続出、というのがよくあるパターンです。

採用担当者はそうなる可能性を考えれば、人物評価が高くても落とそう、と考えるでしょうね。

特に金融機関をはじめ、堅いイメージのある企業は敬遠するはずです。わざわざ元キャバ嬢であることを話さなくても、雰囲気で判明すれば、どこかで落とすに違いありません。

一方、ITなど新興の業界で、かつ、営業重視の企業なら、雰囲気でわかったとしても、「だから何?」と構わず内定を出すでしょう。

志望されている航空業界は、どっちでしょうか……。

結果論から言えば、元キャバ嬢という方もいるようです。ただ、それをアピールして内定に至った、という話は聞きません。

まあ、どの業界を目指すにせよ、キャバクラ・クラブ勤務の話は言わないか、「居酒屋勤務」と言い張る方が無難ではあります。

それと、入社後について、キャバ嬢経験は親しい同僚などにも隠した方がよさそうですね。

それか、冷たく見られようが陰口をたたかれようが気にしない、というのであれば正面突破で行くか。まあ、その辺は内定後にでも考えてみてください。

※『300円就活 面接編』(角川書店・オリジナル電子書籍)より引用

大学ジャーナリスト

1975年札幌生まれ。北嶺高校、東洋大学社会学部卒業。編集プロダクションなどを経て2003年から現職。扱うテーマは大学を含む教育、ならびに就職・キャリアなど。 大学・就活などで何かあればメディア出演が急増しやすい。 就活・高校生進路などで大学・短大や高校での講演も多い。 ボランティアベースで就活生のエントリーシート添削も実施中。 主な著書に『改訂版 大学の学部図鑑』(ソフトバンククリエイティブ/累計7万部)など累計33冊・66万部。 2024年7月に『夢も金もない高校生が知ると得する進路ガイド』を刊行予定。

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