コロナ対策で存在感薄い菅官房長官、広報のプロが見た課題は

(写真:ロイター/アフロ)

 今年の3月6日に官房長官としての記者会見が3000回となった菅義偉氏。ぶっきらぼうな感じがある種一定の安定感として定着していますが、どうすれば官房長官としての表現力をもっと高めることができるでしょうか。各分野の専門家と共に菅官房長官の魅力と課題について解説します。

ポイントを押さえる力や安定感が魅力

 私が一目置いたのは、2013年1月に起きたアルジェリアでの日本人人質事件の時の対応でした。政府専用機を派遣するといった前例のない判断でしたが、頼もしいと感じました。危機時には、前例がどうとか、法的にできるできないといっていたら間に合わないからです。タイミングを外さないことが危機時には重要です。最初に菅官房長官の姿を見たときには、大変地味な印象でした。明るさに欠けるためポークスパーソンとしてはアピール力が弱いのではないかと感じましたが、アルジェリア人質事件での対応を見て、大事なポイントを外さない方だと思うようになりました。4月24日に日経新聞のインタビューも引き締まったきらりと光るコメントでした。

国の基本は自助、共助、公助だ。自分でできることはまず自分でやってみる。その次に、地域が共助で助け合う。それでもどうしようもなくなったら国が必ず責任をもって対応してくれると国民から信頼される国をつくるのが大事だ

 今回のコロナ対策では、菅官房長官の存在感が薄いことが、さまざまなタイミングのズレ、決断の迷走に影響しているように感じます。官房長官の活躍を期待したい。そこで、より魅力的になるような工夫をするにはどうすればよいか、勝手にアドバイスします。

目線を上げると雰囲気が変わる

 いつも淡々としており、感情を全く見せない、むしろ不機嫌な表情であることで、ある種の安定感は出しているのかもしれません。とはいえ、スポークスパーソンには安定感と共に明るさが必要です。どのような訓練をするとよりよくなるのでしょうか。定例会見からレビューします。

 壇上で体が左右に揺れる人は案外多いのですが、官房長官は体が揺れないので安定感があってよいと思います。体が揺れると不安定感を相手に与えてしまうので、揺れる癖がある人は揺れないように緊張をほぐしたり、重心の軸移動などの訓練が必要です。官房長官の話し方で一番気になるのは、目線です。いつも下目線なので、暗い印象を与えてしまいます。記者席もあまり見ません。記者が質問している時でさえ、記者の方を見ません。いえ、記者を指名する時ですから手だけであまり記者を見ません。。。回答原稿があるからそれを読んでいるのでしょうが、たとえ原稿があっても読んだ後、記者席を見る、記者の背後にいる国民を意識して、顔を上げて後ろにあるカメラの方を見る、といった動きがあるだけでも好感度が高まります。また、見てもちらっと見るだけですとせわしない感じとなりよい印象にはりません。ある程度の時間、数秒は見るようにするとアイコンタクトになり、好印象につながります。

 表情がいつも一緒であることも気になります。令和元号発表のおめでたい時であっても不機嫌そうでした。もう少し穏やかに微笑んでもよい場面でしたがやはりいつもと同じ無表情。表情と声の訓練を手掛けるボイストレーナーの山口和子さんは、菅官房長官について次のように述べています。「ユーチューブで見ると、見事に全て同じ表情でした。内容が違うのに全て同じ。人間味を感じないというか。温かみを感じないのです。近寄りがたい、壁がある感じがします。感情を抑えているようです。男性は感情を出してはいけないと思っている人が多いのかもしれません。というか、この年代の人は特にそうなのでしょう。もう少し本人らしさを出してもいいのではないでしょうか。その方が親近感を持つことができます」。さらに、「感情表現の養い方としては、ビジネス書以外の読書や映画鑑賞などを強くお勧めしたい。そして、感じた時にはそれを出してみるということをしてみてはどうかと思います。感情に蓋をしてしまうと、感情を表に出すことができなくなってしまいますから」。そういえば、日本人は感じたことをそのまま出すのは意外と苦手かもしれません。特に人と感性が違うと、おかしい、と言われるのでだんだん言えなくなります。私もこの記事を書く時、大勢の読者と違う感性だなと感じた時には、感じたままと書くことをためらいます。感情表現はある種のリスクと考える人も少なくないのかもしれませんが、リスクをとって思い切って感情表現するとそれはそれで何か突破できた達成感があります。

歩幅を広げれば颯爽として見える

 目線を上げることで歩き方も変わると指摘しているのが、ウォーキングディレクターの鷹松香奈子さんです。「東北出身者らしい真面目な雰囲気はあります。私が気になるのはとぼとぼ歩きです。目線下がって歩幅も狭く猫背になってしまっています。颯爽とした歩きにすることで覇気が出てきます。歩幅を広くすることで、自然と顔が上がり表情も明るくなり与える印象が変わります。コツは、軸足で上半身をぐいぐい前に進めていくのです。呼吸や脈拍など自分の身体のリズムに合わせ、ゆったりと歩くと安定感も出てきます。海外の方々は表現力が豊か。負けないためにも渡り合うためにも表現力を磨くことは大切ではないでしょうか」。

 女性の8割は「姿勢がよい」ことを重視するという結果も出ています。(2020年3月25日配信原稿参照)加齢と共に重力が体も目線も下に下がっていきます。目線を下げる癖を直し、目線を上げるだけでも堂々とした印象に変わるのではないでしょうか。

9:1の分け目をやめて短めのオールバックに

 もう一点気になるのが髪型です。スタイリストの高野いせこさんは、「まずは、あの9:1の分けを止めることからです。それだけでだいぶ印象が変わります。分け目を作らないようにすることがポイントです。横分けにするくらいなら短髪にしてオールバックにする。9:1にしているから年齢が高く見えておじいちゃんのようになってしまうのです。分け目をなくせば、若々しさを出すことができます。また、シャツのネックサイズが合っていないから貧相に見えてしまいます。サイズの合ったシャツ、スーツにすることできりっとした覇気のある雰囲気を出すことができます」と激励の言葉を述べました。実は私も高野さんのアドバイスで分け目をなくす努力を毎日しています。分け目をなくすとふわっとして若々しく見えると本当に実感したからです。これは絶対おすすめです。ちょっとしたコツでもっと覇気があって若く見せることはできますので諦めないでほしいと思います。

菅官房長官の好感度向上委員会(勝手にメディアトレーニング2)*

*撮影、編集は、日本リスクマネジャー&コンサルタント協会(2020年2月7日)

【トレーニングコンテンツ】

ビジネススーツの種類と基本的な着こなし

スーツ、髪型、眼鏡など全体的なスタイルづくりのコツ

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メンズの歩き方注意点

とぼとぼ歩きを颯爽とさせるには

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滑舌トレーニング

はっきりと発音するための簡単なトレーニング

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【番組出演】

鷹松香奈子(たかまつ・かなこ)氏略歴

ウォーキングディレクター

東京都出身。女子美術短期大学卒業。1982年からモデルエージェンシーに所属し、パリコレクション、東京コレクションのほか、著名ブランドのモデルとして活躍。1992年からモデルウォーキングインストラクターとして、ホテルや百貨店、証券会社、携帯電話会社などで歩き方や立ち居振る舞いなどの研修を手がける。2001年、四つのコンセプトをもとにした活動を開始。現在、TK-plus代表として指導者育成にも力を注ぐ。2015年から外見リスクマネジメントのパートナー講師。

山口和子(やまぐち・かずこ)氏略歴

ボイストレーナー

東京都出身。劇団昴演劇学校専攻科卒業後、劇団新人会に所属。俳優として、全国の学校公演やおやこ劇場公演、映画出演、企業研修用DVDなどに出演。演劇経験をもとに、パブリックスピーチトレーナーとして発声や話し方のインストラクションを開始し、メディアトレーニングに参画。2006年から研修会社に所属し、多数の企業での接遇やロールプレイング研修に携わる。2018年から株式会社エス・グルーヴ(TSIホールディングス)所属。

【コメント協力】

高野いせこ(たかの・いせこ)氏略歴

スタイリスト

北海道出身。フェリス女学院大学を卒業し、CMスタイリストに師事した後に独立。タレントの関根勤氏、故中村勘三郎氏の専属スタイリスト。長嶋一茂氏のCMも一手に手掛けている。1998年頃からは、一般企業にも目を向け、エグゼクティブのための服装演出「ビジュアルアイデンティティ」を提唱。以来、企業経営者へのコンサルティングや研修も行う。2014年からは、女性管理職・女性リーダー向けの服装アドバイスにも力を入れる。

<参考サイト>

ウィキペディア 菅義偉

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8F%85%E7%BE%A9%E5%81%89