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猫は日照時間が長くなると発情・ベビーラッシュ到来 多頭飼育したら「届出」が必要?

石井万寿美まねき猫ホスピタル院長 獣医師
イメージ写真(写真:アフロ)

ペットショップに行けば、1年中子猫がいます。しかし、自然な環境で育てると雌猫の発情期は1月〜9月頃です。紅葉が始まってから年末ぐらいまでは、発情期ではないのです。

発情のピークは春(2月〜4月)と夏(6月〜8月)です(雌犬は、季節に関係なく約半年ごとに発情を迎えます)。

雌猫の発情は日の長さが影響する「長日繁殖動物」

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イメージ写真写真:イメージマート

雌猫は、日照時間が長くなると発情が訪れる「長日繁殖動物」です。長日繁殖動物は春に繁殖活動を開始するという特徴があります。そのため、猫の妊娠期間は、65日前後なので、桜が咲き始める頃になると野良猫の子猫が増えるのです。

長日繁殖動物が発情期を迎えるのは、1日の日照時間が14時間を超える頃からです。暖かくて食料が豊富な時期に育てるためといわれています。

人工の照明の下では、年中発情期の状態

雌猫は太陽の光だけに反応するわけではないのです。人工の照明でも発情期に影響を与えます。

猫のブリーダーは、この猫の習性を利用して、冬になると日照時間が短くなるので、人工の照明をつけて1年中、発情がきて子猫が産まれるようにしています。

室内飼いや夜間も明るいエリア(商店街や街中)に暮らしている雌猫は、季節に関係なく年3〜4回ほど発情するといわれています。

猫の多頭飼育は届出が必要?

この時期、太陽の下で暮らしている不妊治療をしていない野良猫は子猫を産むので、公園に行けばそのようにして生まれた子猫がいることがあります。そして、子猫を保護して家に連れて帰った場合、気をつけることがあります。

そのひとつが、多頭飼育をする際に届出が必要な場合があるということです。自治体によって6頭以上や10頭以上などと基準値が違っていますが、その数になると多頭飼育になるので、届出が必要とされています。

全ての自治体がその対象ではないので、住んでいる自治体のホームページなどで詳細を確認することが重要です。

近年、多頭飼育崩壊が問題になっています。孤独な高齢者が亡くあと、その住まいを訪れると頭飼育崩壊を起こしていて、遺された数十頭の猫を保護して譲渡するのがたいへんだったというニュースをよく目にします。

動物愛護センターで働いている知人は、センター内の動物を保護できるスペースには限りがあり、多頭飼育崩壊の猫を収容できないこともあると嘆いています。このようなことを防ぐためにも、多頭飼育の届出が必要な自治体があるのです。

届出が必要な自治体

イメージ写真
イメージ写真写真:イメージマート

届出が必要な自治体は以下です。

「都道府県」

茨城県  届出情報

埼玉県  届出情報

千葉県  届出情報

神奈川県 届出情報

石川県  届出情報

山梨県  届出情報

長野県  届出情報

岐阜県  届出情報

滋賀県  届出情報

大阪府  届出情報

鳥取県  届出情報

佐賀県  届出情報

「市町村」

新潟市  届出情報

名古屋市 届出情報

福岡市  届出情報

長崎市  届出情報

鹿児島市 届出情報

注意:筆者が調べたものですが、他の自治体もこのような届出が必要なところがあるかもしれません。住んでいる自治体のサイトを調べてください。

まとめ

多頭飼育対策ガイドライン 環境省 
多頭飼育対策ガイドライン 環境省 

多頭飼育は適正に飼養すれば、動物愛護管理法に触れる行為ではありません。

しかし、多頭飼育崩壊になれば、猫の世話が適正にできていないネグレクトになり、その場合は動物愛護管理法に違反する可能性があるのです。

多頭飼育が全て、崩壊するわけではありませんが、そのようになった場合、猫の数が膨大な場合があり、自治体が捕獲して譲渡するのことが多いので、多くの人手と時間がかかります。

そのため、多頭飼育崩壊が起こらないように、届出が必要な自治体があるのです。多頭飼育を幸せな環境で行うために、届出などの内容を理解し、遵守することをお勧めします。

多頭飼育崩壊は、上の図が示しているように、生活困窮、引きこもり、対人関係など多岐にわたる問題がその原因としてありますので、そう簡単に解決しないのです。猫の平均寿命は約15年なので、全ての猫を終生飼育できるか、考えて飼育してくださいね。

猫好きの飼い主にとって、数多くの猫に囲まれて生活するのは、楽しいかもしれませんが、猫の生活環境が悪化しないように、やはり不妊去勢手術は大切です。

まねき猫ホスピタル院長 獣医師

大阪市生まれ。まねき猫ホスピタル院長、獣医師・作家。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は食事療法をしながらがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。「動物のお医者さんになりたい(コスモヒルズ)」シリーズ「ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日(青土社)」など著書多数。シニア犬と暮らしていた。

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