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5歳と3歳の兄弟がトイプードルを取り合い死なせてしまった...子どもがいる家庭が守るべき5つの飼い方

石井万寿美まねき猫ホスピタル院長 獣医師
イメージ写真(写真:アフロ)

トイプードルの子犬が、5歳と3歳の兄弟がいる家庭で飼われていました。兄弟はその犬が大好きだったので抱っこしたくて仕方がありませんでした。

お兄ちゃんも弟も子犬を抱っこしたくて、大声で兄弟ゲンカが始まってしまい、なんと子犬を落としてしまったのです。その子犬は打ちどころが悪かったのか、死んでしまって、火葬をするために行ったお寺の住職さんのお話を婦人公論.jpが伝えています。

この記事のコメントを見ると「子どもとペットの関わり方」について多くの投稿があります。今日は、小さな子ども(小学生以下の子ども)がいる家庭で、どのようにすればペットの事故がなく暮らしていけるかを考えていきましょう。

小さな子どもがいる家庭でペットを迎える場合に守るべき5つ飼い方

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イメージ写真写真:アフロ

この婦人公論.jpの記事を読んでいると、愛犬が死んでしまったことについて子どもも親も後悔しています。子犬や子猫を飼うことについて、知識を持っていないとこのような事故が起こってしまう可能性があります。小さな子どものいる家庭は以下の5つを守ってください。

1、小さな子どもはあまり触らない

筆者の病院では、生後1年に満たない子犬や子猫は免疫力も弱いので、小さな子どもの場合はケージやサークルの外から見るだけで、あまり触れないようにと注意しています。

この記事の場合は、落としたことによって死んでしまったのですが、抱っこなどで触り過ぎると弱る原因になります。小さな子どもがペットを触っているときは、親が傍らでしっかり見ていましょう。

子どもにすれば、子犬や子猫はかわいい存在なので、近くに置いておきたいです。その接し方を知らないので過度に触ってしまうものです。親が子犬や子猫の抱っこの仕方などを教えてあげましょう。

トイプードルやポメラニアンやチワワなどの1キロもない子犬は、骨が脆いので抱っこして床などに乱暴に置いたりすると骨折することもあるのです。

犬や猫を迎えるときは、親がこのようなことを子どもにしっかり教えることが大切です。子犬や子猫は元気なように見えて、急に具合が悪くなることもあります。ペットショップやブリーダーは、小さな子どもがいる家庭には、このような知識を理解してもらってから販売してもらいたいです。

2、睡眠時間はたっぷり

家にかわいい子犬や子猫がやってくると、子どもはとにかく触りたくなります。

しかし「寝る子は育つ」と言われているように、子犬や子猫は睡眠をしっかりとることも大切です。十分な睡眠時間があれば免疫力が保たれ病気になりにくいです。

その一方で、ずっと触られていると睡眠が不足になり免疫力が落ちて、病気になりやすくなる子もいるのです。ケージやサークルの外から、子犬や子猫を静かに眺めるようにしておいてあげてください。

3、ペットをプレゼントにしない

誕生日やクリスマスに子犬や子猫をプレゼントにすることがありますが、それはやめておいた方がいいですね。

ペットはものではなく生きているものです。犬や子は、いまや約15年生きるので、じっくり時間をかけて検討し、責任を持って終生飼育できるかどうか見極めましょう。

子どもはペットを飼ってもらいたいので、ペットの世話をすると言いますが、本当に世話ができるかどうか、話し合ってから飼い始めましょう。

4、シャンプーをし過ぎない

いままで動物を飼っていなかった空間に子犬や子猫がやってくると、多少は動物のニオイがします。それが気になり、毎週のようにシャンプーをする家庭がありました。

犬や猫は、人間のように汗をかけないので、それほど汚れないのです。肛門の周りの毛を短くカットするなどしておけば大丈夫です。そして、こまめにブラッシングしておくといいですね。

シャンプーをし過ぎると皮膚から必要な脂質が取れて皮膚病になったり、体力が弱ったりするので注意が必要です。

5、ヒゲを切らない

猫のヒゲは生きていくのに必要です。猫のヒゲの役割は、狭いところを通るとき、ヒゲから伝わる刺激で周りの情報を感じ、障害物があればヒゲの先が触れることで分かり障害物をよけることができます。他には、平衡感覚の維持に使われています。

犬も最近では、ヒゲにはそのような作用があると言われているので、ヒゲは切らない方がいいと言われています。

筆者の動物病院に来る飼い主の子どもが、子猫のヒゲがなぜか気にいらず全てのヒゲをカットしてしまいました。その子猫は落ち着きがなくなって来院しました。親は「子猫と子どもだけにしていたら、子どもが猫のヒゲをカットしたらダメだとは知らず、このようにやってしまった」とこぼしていました。

まとめ

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イメージ写真写真:アフロ

SNSを見ると、「子どもと一緒にベッドで寝ている様子」「ベビーベッドで赤ちゃんが泣くと犬が親に教えにいく動画」などが多くあります。

そのような投稿を見ると、子どもとペットと一緒に暮らしたいと思う気持ちはよく理解できます。

その一方で、ペットを飼うと世話をする必要があります。水とフードだけ用意すればいいというものでなく、飼うスペースがある、時間的な余裕があるなどの条件があります。

そして上述したように、子どもとトラブルが起きないように注意する必要があります。このようなことに気をつけてもらえれば、ペットがいる暮らしは、子どもにとっても動物の持つ温かみを知ることができるよい環境です。ペットは命あるものなので、子どもとじっくり考えてから飼い始めてください。

まねき猫ホスピタル院長 獣医師

大阪市生まれ。まねき猫ホスピタル院長、獣医師・作家。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は食事療法をしながらがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。「動物のお医者さんになりたい(コスモヒルズ)」シリーズ「ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日(青土社)」など著書多数。シニア犬と暮らしていた。

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