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フレンチブルやパグなど“鼻の短いペット”の飼育禁止を検討(オランダ)。その背景と問題点とは?

石井万寿美まねき猫ホスピタル院長 獣医師
イメージ写真(写真:アフロ)

2021年2月にロサンゼルスの路上で、レディー・ガガさんの愛犬のフレンチブルドッグが誘拐されました。そのとき、日本や欧米諸国で人気の犬種であるフレンチブルドッグが注目されました。

オランダで鼻が短すぎる犬(短頭種犬)のひとつであるフレンチブルドッグなどが、うまく呼吸ができず健康に害を引き起こすことが問題になっています。そのため、オランダ政府は、これらの特徴のあるペットの所有や宣伝を禁止する法律の改正案を検討している、とロイターは伝えています。

鼻が短すぎるペットの飼育禁止を検討 オランダ 何が問題なの?

ロイター 鼻が短すぎるペットの飼育禁止を検討、フレンチブルドッグなど対象の可能性 オランダ

上の動画で、ロイターが伝えていることは、フレンチブルドッグのアビーちゃんは、散歩中に息苦しくなるそうです。つまり、散歩中に呼吸困難になるのです。その理由は、人間が顔の短い犬を作り出したので、口腔内が狭く、舌がほとんどを占めているためです。これでは空気が上手く入ってこないためなのです。そのため、アビーちゃんは、手術をし成功しました。

人間が、鼻が短くてくしゃっとした顔の犬がかわいいと思い、作り出しました。具体的に犬種は以下です。

・フレンチブルドッグ

・ブルドッグ

・パグ

・ボクサー

・チャウチャウ

・狆(チン)

などです。これらの犬は、鼻が長いミニチュアダックスフンドやシェパードに比べて、健康的に問題を引き起こす可能性が高いのです。

呼吸困難以外の他の4つの健康上の問題とは?

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イメージ写真写真:アフロ

1、温度調節が困難

短頭種犬は体温調節が苦手で、暑さや寒さに敏感です。

特に、暑い日に、熱中症になりやすい犬種です。外気温が高いときに、散歩させて呼吸困難になり、病院に運ばれてくる犬に、この短頭種犬が多いです。筆者の動物病院に運び込まれたのは、夏に散歩中に、ボール遊びしていたブルドッグでした。

これらの犬種は、他の犬種より過度の運動や高温環境では、熱中症や呼吸困難が生じるリスクが高いです。

逆に、寒冷な気候下では体温を保つことが難しく、凍傷や低体温症にかかる可能性があります。

2、眼の問題

短頭種犬は、浅い眼窩(がんか)や突出した眼球を持っている傾向があります。これにより、散歩中に、眼球が木や草などがささるなどして外傷になり炎症、乾燥、角膜潰瘍(かくまくかいよう)などの眼の問題が起こる可能性が高まります。

3、皮膚感染症

フレンチブルドッグなどの顔は、しわが多くあります。鼻の長いミニチュアダックスフンドなどは、顔にしわがありません。しわがあると、そこに分泌物などがたまりやすく皮膚感染症が発生しやすくなります。

しわのところが、赤くなり炎症を起こしている子が多くいます。かゆみを伴うことが多いので、顔を掻く子が多くいて、2次感染して化膿して皮膚炎を起こすリスクが高くなります。

4、歯の問題

短頭種犬は、口の形状や歯列の特性により、歯の異常や歯周病のリスクが高まります。不正咬合、歯の密着不良、歯石の蓄積などが一般的な問題です。

短頭種犬のケアと健康管理とは?

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イメージ写真写真:アフロ

いま、短頭種犬を飼っている人は、以下のことに気をつけてください。

□呼吸困難と体温上昇の対策

暑い日の散歩は、なるべくひかえましょう。

暑い場所での活動は避け、外気温が十分下がってから散歩をさせましょう。そのときは、首に保冷剤を巻き付ける、水に浸すと涼しくなるなどの服を着せるのもいいです。散歩中にも、こまめに冷水などをあげましょう。

□眼の健康維持

外傷を防ぐために、草むらに行くときは、目に刺さる位置に木々などがないか、注意してください。定期的な目の検査と清潔な保持が必要です。眼球の乾燥を防ぐために、目薬や保湿剤の使用を検討することもあります。

□皮膚の管理

しわの間や折り重なった部分の清潔を保ち、適切な乾燥を促すことで感染症のリスクを減らすことができます。

感染症の予防には、皮膚の清潔な保持と適切なシャンプーや保湿ケアが重要です。

□歯のケア

定期的な歯石の除去や歯のクリーニングが重要です。また、適切な咀嚼刺激や適切な歯磨きの習慣を育むことも必要です。定期的な歯科検査を受け、歯の異常を早期に発見しましょう。

□体重の管理

短頭種犬は肥満になりやすい傾向がありますので、バランスの取れた食事を与え、適切な体重管理を行いましょう。肥満になると、呼吸の問題も出てきますので、肥満にさせないようにしましょう。

まとめ

写真:イメージマート

以上が、短頭種犬の主な健康上の問題点についての解説です。短頭種犬は、他の犬より、病気が多いことを知識として持っておいてください。

オランダでは、フレンチブルドッグなどの短頭種犬の法規制をしようか、という動きがあります。日本では、そのようなことはまだありません。

それでも、他の犬より健康上の問題があることを知って、獣医師との定期的な健康チェックや適切なケアを行い、短頭種犬の幸福な生活をサポートしてください。注意して飼ってください。

まねき猫ホスピタル院長 獣医師

大阪市生まれ。まねき猫ホスピタル院長、獣医師・作家。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は食事療法をしながらがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。「動物のお医者さんになりたい(コスモヒルズ)」シリーズ「ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日(青土社)」など著書多数。シニア犬と暮らしていた。

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