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ペットショップで「子タヌキが売られている」と話題に。ペットとして飼うことはできる?

石井万寿美まねき猫ホスピタル院長 獣医師
イメージ写真(写真:アフロ)

まいどなニュースで、タヌキの赤ちゃんが売られているペットショップがあり、店員から「犬みたいに懐くし犬みたいに飼える」と言われたと伝えています。

今日は、タヌキをペットとして飼うことができるのか?を見ていきましょう。

タヌキはペットとして飼えるの?

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イメージ写真写真:アフロ

筆者は、旅行先で夜にタヌキの親子がウロウロしているのを見たことがあります。まるまるしてかわいかったです。

動物が好きな人なら、一瞬、タヌキを見て飼ってみたいな、と考えるかもしれません。

しかし、タヌキは野生動物ですので、飼うことは難しいです。残念ながら、野生のタヌキは「鳥獣保護法」に認められている動物であるので、野生の成獣をそのまま飼育はできません。

タヌキは鳥獣保護法が認めている動物

鳥獣保護法とは、正式名称を「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」と言います。タヌキは、イノシシ、ヒグマ、アライグマなどと同じように、狩猟が認められている動物です。

もし、タヌキが弱っていて(元気なときは難しいです)捕獲もしくは保護した場合には、一時的に飼育することが可能です。保護したタヌキを飼育する場合は、各自治体にある「生涯飼養許可」を申請すれば、飼うことはできます。

どんなタヌキを保護してしまうか?

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イメージ写真写真:アフロ

知人の家で、野生のタヌキが庭に出没するようになり、しばらくすると、毛が抜けているということがありました。「子どものタヌキの毛が抜けているのだけれど、これはなにかしら」と知人から、尋ねられました。

この病気は、ダニの一種であるヒゼンダニによって引き起こされる、疥癬症(かいせんしょう)という皮膚病に感染しているものと思われます。

感染した場合、痒みによる脱毛や皮膚の状態の悪化により、体温調節が行えずに衰弱したり化膿したりして、後に命にかかわることがあります。

その一方で、犬や猫が、タヌキに接触して疥癬症になっても動物病院で駆除薬を処方してもらうと、完治します。

疥癬症は、人にも犬や猫にも感染しますので、そのようなタヌキを見たら、素手で触らない方がいいです。

行政は、タヌキの保護をしてくれませんが、このような疥癬症の子を回収してくれるところがあります。たとえば、東京都では、疥癬症が拡大することを防止ために、この病気に感染している野生動物は、回収してくれます。

タヌキを保護しても簡単に飼えない

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タヌキは雑食性なのでなんでも食べます。栄養バランスを考えると「ドッグフード」がいいと言われていますが、犬と同じでいいわけではありません。生餌として、ミルワームやコオロギを与えるといいです。

寿命が、10年以上あり、適切な環境であれば16年生きることもあります。そう考えると終生飼養は難しいですね。タヌキは、独特なニオイもありますので、一般的な家庭ではそう簡単に飼育できません。

タヌキは野生動物なので、疥癬症などで保護して完治して野生に戻そうとしても、一度、人間に餌をもらっていると、人の食べ物の味を覚えてしまいます。

人に食べ物をねだるようになり、ときには人に襲いかかってくることもあります。人とのトラブルを起こすようになると、駆除されてしまう場合もあります。

このようなことを考えると、野生動物であるタヌキは、飼育しないで、自然のままの状態でいることが一番の幸せです。

まねき猫ホスピタル院長 獣医師

大阪市生まれ。まねき猫ホスピタル院長、獣医師・作家。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は食事療法をしながらがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。「動物のお医者さんになりたい(コスモヒルズ)」シリーズ「ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日(青土社)」など著書多数。シニア犬と暮らしていた。

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