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ノンスタ井上さんの愛犬がチョコを口に。飼い主の不注意で愛犬が“死の危険”にさらされる意外な食べ物は?

石井万寿美まねき猫ホスピタル院長 獣医師
イメージ写真(写真:アフロ)

お笑いコンビ「NON STYLE」の井上裕介さんがTwitterとブログに自身の不注意で、愛犬がチョコレートを食べてしまったことを明かし、病院に向かったことを報告しました。

このようなことは、臨床獣医師をしていると、日常によくあることなのです。飼い主のちょっとした不注意で愛犬が“死の危険”にさらされることもあります。今日は、意外と知られていないそんな食べ物を紹介します。

井上さんの愛犬のちょこちゃんが、チョコレートを食べた

井上さんは、もちろん犬がチョコレートを食べることはNGなことを知っていました。

井上さんのブログ『ナルシス ポジティブログ』によりますと、仕事を終えて、お風呂に、のんびり浸かって1日の疲れを取ってリビングに行くと、愛犬のちょこちゃんが、井上さんのカバンを漁ってチョコレートを食べていたそうです。

井上さんの名誉のために説明しておきますが、カバンのチャックもしっかり閉めて、高さ的にもちょこがちゃんが届かない位置にカバンを置いたそうです。

ちょこちゃんは、チョコレートを食べたけれど、大事にいたらなかったそうでよかったです。

なぜ、犬にチョコレートがよくないか?

イメージ写真
イメージ写真写真:アフロ

チョコレートは犬が喜んで食べますが、与えてはいけない食べ物です。

チョコレートにはカカオが入っているので、「テオブロミン」という物質が含まれています。人間は大丈夫ですが、犬はこのテオブロミンを体内で分解する能力が低いため、中毒を引き起こしてしまうこともあるのです。症状は以下です。

・下痢

・失禁

・落ち着きがなくなる

などですが、さらにひどくなると痙攣、頻脈などもあります。

なぜ、ちょこちゃんはチョコレートを漁ったか?

写真:イメージマート

人間は、視覚を使ってものごとを認知することが多いです。たとえば、チョコレートが部屋にあるかどうかは、よほどニオイがしないとわかりません。テーブルの上のチョコレートを見て、あることがわかるという感覚です。

その一方で、犬は嗅覚が優れた動物です。

視覚より嗅覚で認知することが多いのです。よく知られている例ですが、警察犬に多いジャーマンシェパードは、認知症になり行方不明になっている人を捜索するときに、その人の枕のニオイを嗅いで発見したりします。

もちろん、ちょこちゃんは、警察犬ではありませんが、井上さんのカバンの中にチョコレートが入っているぐらいは嗅覚ですぐにわかったのです。それで、井上さんがその場所にいないので、食べたということです。

最近は、室内飼いの犬や猫が増えているので、チョコレートを与えなくてもカバンや棚などにしまってあるものを盗み食いすることはよくあるのです。

飼い主のうっかりでこのようなことが起こると、愛犬を“死の危険”にさらします。

犬が食べると“死の危険”にさらされる飼い主がカバンに入れている意外な食べ物とは?

もちろん、犬に与えるつもりはないと思いますが、カバンやポケットに入れていることを忘れていると犬の命に関わるのは以下です。

・キシリトール入りのガム

写真:イメージマート

人間は大丈夫なキシリトールですが、犬がキシリトールを食べるとインスリンが大量、かつ、急激に分泌されて低血糖になり命の危険があります。なかには、肝臓に障害を引き起こしたりすることもあります。

カバンやポケットにキシリトール入りのガムが入っていると犬はニオイでわかるので、盗み食いされることもあるので、気をつけてください。

・ブトウ、干しブドウ入りのパン

干しブドウ入りのパンのイメージ写真
干しブドウ入りのパンのイメージ写真写真:イメージマート

最近、犬がブドウを食べると急性腎不全になる可能性があることがわかりました。

ブドウ中毒でペットの命が危険に? 留守中の管理を徹底して危険を回避にも書きましたが、アメリカの研究で、2001年に犬がブドウやレーズンを食べた後に、急性腎不全を発症した10例を発表したことから、このブドウ中毒が知られるようになりました。

日本では、2010年の『ブドウ摂取後に急性腎不全を発症して死亡した犬の1例』が日本小動物獣医学誌に掲載されました。

なぜそうなるのか、原因物質はまだはっきりとわかってはいませんが、科学の進歩とともに今後解明されるでしょう。

現時点では、臨床現場でブドウは犬や猫に食べさせてはいけないものと認識されています。

まとめ

写真:アフロ

犬と一緒に暮らすということは、命を預かることです。

飼い主が愛犬に与えるつもりではなくても、カバンやポケットの中を漁ったり、テーブルの上に乗っていろいろなものを盗み食いされることがあるのです。先日も職場で同僚に干しブドウ入りのパンをもらってカバンに入れていた飼い主がいました。その飼い主は、そのことを忘れていたら、愛犬に盗み食いされ、青ざめて来院されました。

人間は大丈夫だけれど、犬には命の危険があるものを犬のいる部屋におかないことです。このような知識を持っていると、犬の命を守ることができます。

犬は視覚より嗅覚が優れていることをよく覚えておいてください。飼い主がうちの子にはわからないだろうとチョコレートやキシリトール入りのガムをカバンの中に隠してもお見通しなのです。

まねき猫ホスピタル院長 獣医師

大阪市生まれ。まねき猫ホスピタル院長、獣医師・作家。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は食事療法をしながらがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。「動物のお医者さんになりたい(コスモヒルズ)」シリーズ「ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日(青土社)」など著書多数。シニア犬と暮らしていた。

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