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2月22日は「猫の日」ニャンコの科学的トレーニングって何? 動物行動学を使い、獣医師が解説

石井万寿美まねき猫ホスピタル院長 獣医師
(写真:イメージマート)

2月22日は猫の日です。猫は気ままで飼い主のいうことを聞かないと思っていませんか。

最近は、完全室内飼いの猫が増えてきているので、人間のいうことを理解できる子も結構います。

猫と幸せに暮らすために、動物行動学の観点から猫のトレーニングを見ていきましょう。

猫を科学的にトレーニングしよう

イメージ写真
イメージ写真写真:アフロ

動物行動学を踏まえて猫のトレーニングを解説します。

猫を飼っていると、動物病院に通院するときや、災害のときにケージに入れて避難するなどがあります。そのようなときに、慌てないために普段から慣らしておくことは大切です。

1、よい行動をしたときは、ほめる

猫をほめることは大切です。猫をほめるには、どうしたらいいのでしょうか。それは小さなおやつをあげることです。

どんなことでも、猫がよい行動をしたらおやつをあげて、それがよい行動であることをほめて教えましょう。

2、NGな行動は、注目しない、叱らない

猫が好ましくない行動をしたら、「ミーちゃん(猫の名前)ダメ」と呼んでいませんか。そのときは、関心を示さないことが大切です。

3、叱ったりおしおきをしない

いままでは好ましくない行動をしたときは、叱るのが定番でしたが、そのようなことは百害あって一利なしです。

叱ったりおしおきをしたりすると猫は神経質になったり、人間嫌いになったりする場合もあるので、要注意です。

4、NGな行動は経験させない、繰り返させい

猫がイタズラして困るもの、爪を立てられると困るものは、猫のいる部屋に置かないことです。

猫のなかには、ウールサッキングといって紐などを食べてしまう子がいます。そのような猫の場合は、紐や噛みそうなものを部屋に置かないようにしましょう。

猫に問題行動をさせないためには、予防が大切です。

5、仕事を作る、運動させる

本来猫は、狩りをして獲物を仕留める動物です。

室内飼いの猫は、もちろん狩りをしなくても毎日、食事が出てくるわけです。キャットタワーを設置したり、ネコじゃらしで遊んだりしてあげましょう。

6、練習しておく、慣らしておく

動物病院に行って、いきなり保定(体を動かないように固定すること)されたら、猫は嫌がります。そのため、普段の生活を通して、保定、タオルに包まれる(後で説明)、投薬などをごほうびをあげながら練習しておきましょう。

タオルで包む

撮影は筆者 ミューちゃん
撮影は筆者 ミューちゃん

猫は元気な子でもやはりワクチン接種に行ったりする必要があるので、動物病院に連れていきます。具合が悪いときに、動物病院に行くのを嫌がっていると命にかかわることもあります。

診察をしようとしたら、キャリーバッグから自ら出てきてくれる猫はあまりいません。そのような場合、キャリーバッグから引っ張り出すと猫の機嫌が悪くなるので、以下のようにしてみましょう。

1、キャリーバッグを開ける

撮影は筆者 ミューちゃん
撮影は筆者 ミューちゃん

できれば、上が開くキャリーバッグが理想です。

ここから、自分ですんなり出てくる猫も少ないですが、このようなケージが望ましいです。

2、タオルなどで覆う

撮影は筆者 ミューちゃん
撮影は筆者 ミューちゃん

動物病院のタオルやフリースでもいいですが、できればご自宅のものがいいです。それだと自分の家のニオイがついているので、安心できるからです。

上の写真のように、猫を覆ってあげてください。

3、声をかけながらタオルで包んで出す

撮影は筆者 ミューちゃん
撮影は筆者 ミューちゃん

上の写真のように、フリースで包むことを自宅で練習しておいてください。そうしてもらっていると、動物病院で同じようにしてもストレスが軽減されます。

猫には科学的根拠のあるトレーニングを

猫は、飼い主のいうことを聞かない動物だと思っている人も多いのではないでしょうか。

最近は、猫が身近にいるし、15年以上生きる子が多くなりました。そんな猫と暮らしていると、やはりお互いストレスにならないようにルールを決めておいた方がいいです。

猫にとって、何がよいことかを教える場合は、やはりごほうびです。

処方食を食べている猫も多くなっています。そんな子にごほうびをあげるのは、やはり処方食です。むやみに与えると太るので、1日量の中からごほうびにしてあげてください。

猫は気ままではなく、根気よく普段からトレーニングをしておくと、飼い主のことを理解してくれます。

まねき猫ホスピタル院長 獣医師

大阪市生まれ。まねき猫ホスピタル院長、獣医師・作家。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は食事療法をしながらがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。「動物のお医者さんになりたい(コスモヒルズ)」シリーズ「ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日(青土社)」など著書多数。シニア犬と暮らしていた。

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