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トルコ大地震でメキシコ軍から派遣された救助犬が「殉職」。プロテオはどんな犬だったか?

石井万寿美まねき猫ホスピタル院長 獣医師
イメージ写真(写真:イメージマート)

時事通信は、【メキシコ市AFP時事】メキシコのサンドバル国防相は、大地震が起きたトルコに派遣した救助犬・プロテオが、がれきの下での捜索活動中に殉職したことを伝えました。

人命救助のために、命を捧げてくれたプロテオに感謝します。

救助犬・プロテオってどんな犬?

トルコ大地震 “198時間ぶり”兄弟を救出…メキシコ軍の救助犬“殉職” 捜索活動中【知っておきたい!】(2023年2月15日) ANNnewsCH

生存者の捜索活動中に殉職した救助犬・プロテオは、ジャーマンシェパードでした。プロテオと任務に就いていた救助隊員は「いつも強く一生懸命で、決してあきらめない犬だった。これからもずっと忘れない」と語りました。このようなことから、プロテオは大型で、賢くて忍耐力のある犬だったのです。

一般的に救助犬は、災害現場で働くことが多いので、肉体的にも精神的にもタフに教育されています。足場が悪いところはもちろん、ビルの倒壊などで急に大きな音がしても怯えることなく、冷静にいられるような犬です。

そして、海外で災害が起きると飛行機に乗ってすぐにかけつけて捜索活動をするので、本当に体力がある犬です。その理由は、人命救助は「発災後72時間が勝負」とされているので、時間との勝負のなか捜索活動をするためです。

そんな訓練されたプロテオでも命を落としてしまったので、トルコ地震の現場は、足場が悪く過酷なところだったことを物語っています。

プロテオを偲んで、トルコ軍はツイッターの公式アカウントで「英雄的な任務遂行に感謝する」と追悼しました。

メキシコでの救助犬とは?

メキシコ大使館 @EmbamexJP より

メキシコでは、日本より救助犬は人気があるようです。

2017年にメキシコでは首都メキシコ市などで数百人の犠牲者が出た地震がありました。その地震で救助犬が何人もの被災者の命を救い、「悲劇に直面した国の回復力の象徴となった」と報じられました。

メキシコではフリーダは特に人気で英雄のようです。上のTwitterにあるように、専用の犬用ブーツとゴーグルをつけて捜索にあたったラブラドルレトリバーのフリーダです。

フリーダは、2019年に引退し、2022年に死にました。その後、メキシコ市の海軍本部近くにフリーダをたたえる等身大の像ができたそうです。

救助犬と地震

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イメージ写真写真:イメージマート

毎日、日本でも見る犬ですが、彼らは人間より優れた嗅覚を持っています。そのうえ、犬の特徴として人間の傍らで一緒に仕事をするのが好きというのがあります。

そのような理由から、トルコ大地震で、メキシコ政府は7日、救助犬を少なくとも16匹トルコに派遣しました。救助犬は多くのメキシコ人に愛されており、エブラルド外相は「彼らのミッションは命を救うことだ」とTwitterに投稿しました。

被災地にいる人たちは、救助犬が、自分の命をかえりみず懸命に捜索活動する姿を見て元気づけられることでしょう。

犬が好きな人は、プロテオの活動を見て、トルコ大地震に関心を持っていただけたのではないでしょうか。

Yahoo!は、トルコ地震緊急支援募金(Yahoo!基金)の口座を開設しています。以下のサイトなので、ご関心のある方は、よろしくお願いいたします。

トルコ地震 緊急支援募金(Yahoo!基金)

https://donation.yahoo.co.jp/detail/1630054

まねき猫ホスピタル院長 獣医師

大阪市生まれ。まねき猫ホスピタル院長、獣医師・作家。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は食事療法をしながらがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。「動物のお医者さんになりたい(コスモヒルズ)」シリーズ「ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日(青土社)」など著書多数。シニア犬と暮らしていた。

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