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【安倍元首相銃撃事件】「爆発物探知犬」を活用した要人警護について考える

石井万寿美まねき猫ホスピタル院長 獣医師
イメージ写真(写真:イメージマート)

全世界に衝撃を与えた安倍元首相銃撃事件。事件の全容解明に向けて捜査が進むなか、当日の警備体制に問題があったのではと議論を呼んでいます。

要人警護は、これからも重要になってきますし、難しいです。

爆発物探知犬の能力を活用すると、警備体制がより強化されると考えられます。ここでは爆発物探知犬について紹介します。

警備体制は不備だったのか?

女性自身は、以下のように伝えています。

「事件当日、7メートルの距離から撃たれた1発目は命中しなかったものの、5メートルの距離に近づいて発射した2発目が安倍元首相に命中し、結果的に命を奪いました。事件の前日に急遽演説が決まったことで、普段より警備計画の構築に時間がなかったとはいえ、1発目と2発目の間に約3秒の時間があいていたことや容疑者の接近を阻止できていないことなどから、警備体制の不備を指摘する声が相次いでいます」(全国紙・政治部記者)

SNSの時代なので、安倍元首相銃撃の動画が多く投稿されています。それを見て奈良県警とSPの人たちを批判する声が噴出しています。

この日本で、銃で狙われるということは、想定しにくかったようです。このような事件が起こった原因のひとつかもしれません。

しかし、今回のようなことが起これば、模倣犯が出てくるかもしれません。

爆発物探知犬がいる

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イメージ写真写真:イメージマート

筆者は、【爆発物探知犬・地雷探知犬】ウクライナ侵攻におけるパトロンくんの活躍とは?という記事を書きました。

ジャック・ラッセル・テリアのパトロンくんは、ウクライナで爆発物探知犬で、救急隊に参加し、これまでに90発以上の爆発物を発見したといわれています。このように犬の嗅覚は鋭いので、事前に爆発物のニオイがわかるのです。

この事件も銃の音ではなく、爆竹のような音だったそうなので、爆発物探知犬なら発見できたのではないでしょうか。

爆発物探知犬とは?

爆発物探知犬、チェルニヒウで活躍 ウクライナ侵攻

パトロンくんのような地雷探知犬は主に野外や自然の中で活躍しますが、爆発物探知犬は空港、建物、荷物、車両といった限られた場所から爆発する恐れのある物を探します。テロのときなども出動します。

犬の嗅覚は人間の数百倍から数百万倍以上も鋭いと言われています。こうした能力を使うのが、爆発物探知犬(地雷探知犬)です。

犬にとっては爆発物を探すことは、獲物を探す行為によく似ています。犬がもともと持っている「狩猟本能」を使って訓練します。「爆発物マーカー(軍用爆薬に混入させている物質)」を獲物に見立て探させるようにします。

空港でみかける麻薬探知犬は麻薬を、爆発物探知犬は爆発物マーカーを嗅ぎ分けて発見するように訓練した犬なのです。

このような使役犬の特徴は、人間が好きで、人間に喜んでもらいたいと思っていることです。犬が爆発物マーカーを見つけたときは、ほめてあげるように、訓練しています。

まとめ

NHKS WEB「安倍元首相銃撃事件 警察庁 警備検証チームのトップが現場視察」の記事では、視察した露木次長は以下のように話しています。

「責任者であり自分の目で現場の状況を確認しに来ました。関係者の聞き取りもやっているので、それらを照らし合わせながらきっちりと検証していきたい」と話しました。

また現場の状況については「360度開かれていて警護するうえでは難しい現場だと思う」としたうえで「われわれは与えられた条件で警護するのが仕事なので今後の警護の在り方を考えていきたい」と述べました。

人間の力には、限界があります。

犬は、狩猟本能があり獲物を探しあてるのを得意としています。そんな犬の力も借りて、警備することで、人間ではわからないことまで教えてくれます。

要人警護は、とてもストレスが多い現場ですが、犬が潤滑油になることもあります。

2019年のクリスマスの時期、買い物客で賑わうドイツ・ベルリンの市場に大型トラックが突っ込み、多数の死亡者と負傷者を出した「テロ事件」がありました。

その翌年、筆者がドイツに行ったときの市民のマラソン大会が開かれる日、厳重な警備体制の中、警察官と一緒にジャーマン・シェパードが働いていました。このような犬は、大型犬で威圧感もあるので、警備には向いていますね。

まねき猫ホスピタル院長 獣医師

大阪市生まれ。まねき猫ホスピタル院長、獣医師・作家。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は食事療法をしながらがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。「動物のお医者さんになりたい(コスモヒルズ)」シリーズ「ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日(青土社)」など著書多数。シニア犬と暮らしていた。

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