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愛犬家がいまでは保護猫を4匹飼育。飼い主を猫好きに変えたその理由とは?

石井万寿美まねき猫ホスピタル院長 獣医師
ぎんちゃん 撮影は筆者

Mさんは、猫のぎんちゃんの慢性腎不全の治療で、当院に通われています。以前は、犬しか飼っていなかったのですが、あるできごとから、すっかり猫好きになりました。

それも野良猫を保護して4匹も飼われています。Mさんは、なぜ、猫好きになったのかを見ていきましょう。

Mさんは、猫のことをあまり知らなかった

Mさんの家の隣が、畑になって野良猫が3匹の子猫を生みました。ほっておくと猫が増えるからどうしたものかとMさんは悩んでいました。捕獲ができれば、いいのだけれど、なにせ野良猫なので、そうそう簡単には懐かずMさんは様子を見ていました。

しかし、おかあさん猫は、子猫たちに、それほど人間は危険だと教えなかったのか、子猫たちはMさんに懐くようになりました。

キャットフードなどをあげて、手なずけて子猫の3匹は、保護猫としてTNR(TNRとは、「捕獲して(Trap)」して「不妊去勢手術(Neuter)」して「元の場所に戻す(Return)」の頭文字でとっています)することができました。

そんなことをしているうちに、ぎんちゃんのきょうだい猫は、Mさん家で飼われることになりました。

その一方で、ぎんちゃんのおかあさん猫は、なかなか捕獲ができず、その後、もう1回出産してやっと捕獲できておかあさん猫も不妊手術には成功しました。

しかし、おかあさん猫は、Mさんのところで完全室内飼いではなく、ときには、庭に出るように飼われていましたが、あまり触らさせてくれず、具合が悪くなってやっと触れるようになったときは、慢性腎不全でした。他の動物病院で入院したりして治療をしましたが、すぐ亡くなってしまいました。

Mさんは、愛犬家だったので犬はフィラリア症などもあり、病気をするなどの知識は持っていますたが、猫を家の中で飼うのは、初めてだったので、猫を飼い始めて慢性腎不全などの勉強をし始めました。

Mさんは、ぎんちゃんを含め後に生まれた猫も引き取り4匹と一緒に暮らし始めました。Mさんは、一緒に暮らすようになり、猫がこんなに愛すべき存在であることを知りました。

ぎんちゃんは、早期の慢性腎不全

袋形になったフリースに入るぎんちゃん 撮影は筆者
袋形になったフリースに入るぎんちゃん 撮影は筆者

Mさんは、ぎんちゃんのおかあさん猫を通して猫には慢性腎不全があり、そして、いまの治療では対症療法はあるけれど、完治しない病気であることを知っていたので、保護した猫たちの調子がおかしいなと感じたときは、すぐに来院しています。

ぎんちゃんは、多飲多尿などの症状はほとんど出ていませんでしたが、血液検査で早期の腎不全であることがわかりました。

ぎんちゃんの慢性腎臓病は、IRIS(国際獣医腎臓病研究グループ)が推奨している“IRIS腎臓病ステージング”によるステージ分類を行うとステージ2でした。

この腎不全のステージ分類は、血液検査によるCRE(クレアチニン)やSDMAの値、尿の状態、血圧の数値などを参考に行っています。

Mさんは、愛犬の散歩などもしながら、ぎんちゃんの治療に通っています。腎不全などは、体を冷やすとよくないので、写真のようにフリースを袋状にしたものでぎんちゃんを包んでその状態でキャリーケースに入れて来られています。

Mさんは、野良猫の保護猫活動を通して、いまでは家で4匹の猫と1匹の愛犬と暮らされています。

そして、SNSでは猫と犬の手作り食の様子やお庭で遊んでいる猫たちの様子をよく投稿されています。

Mさんは、野良猫のTNRをして世話しているうちにすっかり猫好きになったそうです。こんな風に地域の野良猫に心を寄せて、不妊手術をして飼ってくれる人が増えるといいですのに。

まねき猫ホスピタル院長 獣医師

大阪市生まれ。まねき猫ホスピタル院長、獣医師・作家。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は食事療法をしながらがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。「動物のお医者さんになりたい(コスモヒルズ)」シリーズ「ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日(青土社)」など著書多数。シニア犬と暮らしていた。

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