保護した子猫の病気がまさかの感染、飼い主も病院通いにした「犯人」とは?
そろそろ、子猫が誕生するシーズンです。以前、書いた通り、一般的に猫が誕生するのは3月から11月(自然界には存在しない12月〜2月生まれの猫 発情期を悪用するブリーダー)です。
朝、道ばたで子猫が元気なくウロウロしていたので、もし帰りにいたら、心配だから保護しようと思っていませんか? でも、保護した子猫の病気が感染してしまうケースがあります。せっかくその子の命を救いたいのに、飼い主まで病気になったら、たいへんです。
いったい病気をもたらす犯人は? 防ぐ手立ては? 実は、子猫をよく観察すればそのヒントはあるはずなのです。どのようなことを注意してケアをすればいいか、今日は、一緒に謎解きをしながら 考えましょう。
保護した子猫の病気を治すため…大学生が治療費のために卒業旅行も諦めて病院通い
という事件が起こりました。簡単に要約すると、心優しい大学生が子猫を2匹拾いました。その子たちには真菌がいて、そして飼い主の大学生にまで感染してしまい、卒業旅行まで行けなかったという顛末です。
犯人は真菌ですが、この事件は、防ぐことはできなかったのでしょうか?
一緒に事件解決のために謎解きをしていきましょう。
目ヤニと鼻水でぐっしょりと濡れ、ピンク色の地肌が露わになる
子猫を保護したときの謎解きのキーワードは以下です。
・目ヤニがある。
・鼻水が出ている。
・ピンク色の地肌が露わになる
です。これらから、私たちは猫の情報がわかります。
目ヤニ、鼻水があるということは、推測するに、猫ウイルス性鼻気管炎、猫カリシウイルス感染症(猫風邪)になっている可能性が高いです(これらは猫-猫間では、うつりますが、猫-人間ではうつりません)。
これらにかかるということは、この猫は、免疫力が弱い。母猫のミルクをちゃんと飲んでいない可能性があります。免疫が正しく働くためには、栄養価の高い食事、保温などが大切です。
ピンク色の地肌が露わになる場合は、皮膚病を患っていることを意味します。全部というわけではないのですが、臨床経験上、このような免疫力が弱い子猫は、真菌になっている可能性が高いです。
真菌は、猫にはもちろん人間にもうつる菌で、しつこいのが特徴
飼い主との関係での謎解きのキーワードは、真菌です。
真菌は人に感染します。筆者は、数千頭以上の真菌のペットを治療していますが、いままで真菌にかかったことがありません。
真菌にかかりやすい人
・慢性疾患を持っている。
・アトピー性皮膚炎を持っている人
・高齢の人
・子ども
などです。真菌は、飼い主にうつるので、特に上記の人は注意してください。
真菌にかかったペットのケア
・毛を刈り、患部を清潔に保ちましょう。
・患部をポビドンヨード(イソジンなど)液で消毒。
・患部に真菌の薬を塗布。
真菌にかかった子の飼い主の注意点
・一緒に寝ない(濃厚な接触はしない)。
・その子を触ったら、手をよく洗う。
・手を拭くときは、使い捨てのペーパータオルを使う。
・手をポビドンヨード(イソジンなど)液で消毒。
このようなことを知って、子猫の世話をすると、このような事故は防げると思います。
まとめ
子猫を保護したとき、よく観察して、目ヤニ、鼻水が出ている場合は、免疫力が下がっていると推測しましょう。
免疫力があがる治療も並行してもらいましょう。そして、子猫のピンクの地肌が見えている場合は、真菌のことが多く、科学的な知識に基づいたケアをすると飼い主に感染する可能性は低くなります。
この謎解きのキーワードは、目ヤニ、鼻水、ピンクの地肌が露わになるだったのです。このことから、子猫の健康状態を推測すれば、子猫を保護しても飼い主に感染することは、まれです。科学的な知識をバージョンアップしておくことは、大切ですね。