自然界には存在しない12月~2月生まれの猫 発情期を悪用するブリーダー

(写真:アフロ)

毎日、SNSでは猫が溢れていて、キラキラしています。スポットライトが当たれば、当たるほど、闇が深いことを意味します。「いいね」を押した猫は、ペットショップから来ているかもしれません。冬場に、明るく照らさせたショーケースに並んだ子猫がいると、胸が痛くなります。子猫が、遊郭で客引きをしているように見えるからです。猫は、本来、冬の日照時間と合わせて、暗いところで過ごす動物。猫の発情は、日照時間と関係があるからです。「あなたは何座ですか」と女子は、挨拶代わりに星座を尋ねます。人は1年中、生まれるので毎日誕生日があるという前提だからできる質問です。猫は元来、自然のままだと、3月から11月生まれしかいないのです。つまり12月から2月は子供が生まれない動物だったのです。現実は、子猫は、365日の間、ショートケーキのようにショーウインドーに並んでいます。今日は「猫の繁殖、悪徳ブリーダー」について考えましょう。

江戸(元禄)時代の猫の恋

「古池や 蛙(かわず)飛び込む 水の音」で有名な松尾芭蕉は、猫の俳句を詠んでいます。以下です。

「猫の恋やむとき閨(ねや)の朧月(おぼろづき)」

この句は(猫の発情期の声は、赤ちゃんが泣いているような声ですが、それが聞こえていましたが、いまはやんで、静かになっています。寝室に朧月が差し込んできて、何となく人恋しくなる春の夜です)というような意味です。

「朧月」も春の季語なのですが、「猫の恋」も春の季語なのです。猫って、一年中、発情中ではないの?という飼い主もいらっしゃると思います。それだと「猫の恋」は季語にならないです。江戸時代は、猫の発情は、春だけだったのです。なぜ、いまの時代の猫は、1年中発情しているか、次に考えましょう。

星占いできない猫の発情

人の月経周期は、約1か月なので、猫も同じ様に時間で刻んでいると思われているかもしれませんが、猫は季節繁殖動物で、一定の季節に繁殖活動を行う動物なのです。同じ季節繁殖動物は馬もです(後述しています)。

長日性季節繁殖動物と呼ばれて「日照時間」が長くなるとメス猫が発情するのです。

避妊手術をしていない猫を観察していると、わかると思いますが、月一度の発情でなく、何回も来ています。人のように、膣から血のような成分が排泄されないので、人には、発情がわかりにくいのです。以下です。

・懐く。

・クネクネする。

・懸命に家出を試みる。

・近寄ってくる。

・オス猫が寄ってくる。

飼い主には、わかりにくいですが、猫同士ではすぐわかるようです。

猫の発情の時期

日照時間が伸びた1月から9月ぐらいが、猫の発情期になるのです。猫の妊娠期間は、2か月少しなので、暖かい時期に子育てなのでいいのでしょうね。2か月の妊娠期間を経て、3月生まれから11月生まれるになるわけです。星座でいえば、牡羊座から蠍座で、射手座、やぎ座、水瓶座はいないはずなのです。でも現実問題、1年中、子猫は産まれています。

ではなぜ、一年中子猫がいるのかを考えます。

猫の発情期を「悪用」する繁殖業者

日照時間をコントロールすれば、猫は何回も発情を迎えて子猫を生むことができます。つまり年間を通して人為的に照明の光を長時間浴びせ、何度も発情が起こして、オス猫と交配した刺激で排卵する動物(交尾排卵動物、交尾の刺激で排卵する)なので子猫を産めるわけです。年に3回ぐらい産めます。

この猫の性周期を悪用したブリーダーは、人工的に照明を長く浴びせて(1日8時間以下だと発情が来ないので、12時間以上の光を浴びせる)、年に何度も繁殖させているのです。人気の猫種は「高値で売れるうちに」繁殖の回数を増やします。母猫の体は、ボロボロになっていきます。母猫が、ずっと哺乳をしていると、次の発情が来ないので、最低限の日数で子猫を放します。こうなると、まだ母親のぬくもりが欲しい子猫の精神面にも影響をきたします(ウールサッキング)。血統書付きの猫で、12月から2月生まれの子、いて座、やぎ座、水瓶座の子は、このような問題を孕んでいるわけなのです。もちろん、良質なブリーダーは、年に1回しか繁殖させません。

猫の遺伝性疾患

このように悪徳ブリーダーによって、多発情を人工的に起こされて、多く子猫を産まされているわけですが、猫にも遺伝的疾患があります。

・赤血球ピルビン酸キナーゼ(PK)欠損症

 貧血になります。効果的な治療法がないため、4歳ぐらいで亡くなる子が多い。血液検査でわかります。

 (なりやすい猫種)ソマリ、アビシニアン、シンガプーラー

・多発性嚢胞腎(PKD)

 左右の腎臓に嚢胞ができます。初期は無症状で、だんだんと腎不全の症状がでます。血液検査や画像診断でわかります。

 (なりやすい猫種)ペルシャ、スコティシュフォールド、アメリカンショートヘア

・骨軟骨形成不全症

 四肢に骨瘤ができて、足をひきずって歩きます。

 (なりやすい猫種)スコティシュフォールド

このような猫の遺伝子検査もしっかりして繁殖をしてもらいたいものです。

星占いできない馬の発情

猫と同じ仲間は、馬です。

馬も季節繁殖動物で、日が長くなると、発情を迎えるのです。大学時代、サラブレッドの実習に行きたい学生は「絶対に春に行くな」という鉄則がありました。それは、春が出産のシーズンで忙しく、学生に教える時間などないからです。サラブレッドは、何千万円もする高価な動物なので、よくわかっていない獣医学生が来ると足手まといだからです。

馬の発情期は春で、妊娠期間は、340日で約1年です。だから春に交配して、春に生まれるので、誕生日は春になります。JRAの発表によりますと、サラブレッドの誕生日は、3月、4月が一番多く、そして、7月から12月までは、(外国産馬を除いて)誕生月の馬はいません(2017年1月23日現在)。

馬は猫のように悪徳ブリーダーが人工的に照明をつけて、1年中、発情期をさせていることはないので、夏生まれのサラブレッドがいないのです。

おまけ 星占いができる犬の発情

犬は、毎日、生まれることができる動物(星占いができる)です。猫や馬のように、季節繁殖動物ではなく、性成熟すると、約半年に1回、発情がきます。猫と違い、交尾をしなくても自然に排卵します。

まとめ

猫を飼っていると、ついつい人と同じと考えがちですが、このように動物の種によって性周期は違うのです。種によって、それぞれの都合というものがあるのです。猫は人と暮らして、一年中不夜城な空間で、暮らすことを強いられています。避妊手術をしていない猫は、日照時間が長くなるので、いつでも生まれることは可能です。

消費者であるあなたが、ペットショップで子猫を飼った結果、1年中、蛍光灯を12時間以上浴びて、キトンミル(子猫を産ますために、メス猫を子猫を産む機械のように繁殖させる意味)みたいな飼い方をしているブリーダーを生む状況になっていることを知って欲しい。猫をこのように使うとボロボロになり、病気になります。猫がブームということは、ペットショップで衝動買いに走り、安易な飼育放棄になりやすく、猫の殺処分は、依然として高く42,784頭(2017年度、全国自治体 環境省調べ)です。

JRAのサラブレッドのように、春~秋生まれの子猫しかいないようになりますように。人の都合で、人工的に妊娠、出産を強いられる母猫が少しでも減りますように。ペットショップで、子猫を求めることは、愛護の精神から反していていることが、もっと浸透しますように。一般の飼い主に、これらのことをしっかり理解して、猫と楽しく時間を共にしていただきたいものです。