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メンタリストDaiGo氏やサンシャイン池崎氏も! 「保護猫」を飼うにはどうすればいいの?

石井万寿美まねき猫ホスピタル院長 獣医師
(写真:アフロ)

メンタリストDaiGo氏やサンシャイン池崎氏は、保護猫を飼われています。彼らはSNSで猫の話をたくさん発信しています。猫好きには、たまりませんね。帰宅して、ツンデレの猫が部屋にいると思うと、家路を急ぐようになります。最近は、猫を家に迎える方法として、ペットショップ、ブリーダー、公園で保護する以外にも、保護猫を飼うという選択肢があることが知られつつあります。今回は、保護猫を飼うことの心構えや方法のお話を。

保護猫とペットショップの猫を迎えることの違い

殺処分される猫や保護している人に少しでもお役に立てば、と思い、保護猫を飼うことを決めたあなたは、講義を受けたり、身分証明書がいったりと、いろいろなことが必要になります。そのことを頭に置いて、行動しないとめげるかもしれません。

ペットショップは、極端な話、ウインドーに並んでいる子に「一目惚れ」したら、お金さえ出せば、すぐに連れて帰ることができます。一方、保護猫たちは、そのような衝動的な感情ですぐに自分の猫にすることはできないのです。猫と暮らすことは、「いのち」を迎えることです。その辺りのことをしっかりと考えてもらう仕組みになっています。それを頭に入れておいてもらうとスムーズに「保護猫」が自宅にやってきます。

なぜ、猫を飼うことを勉強しないといけないか

最近の猫は、飼い主の意識の向上、医療の発達で、長寿になりました。しかし、「一目惚れ」した猫でもがんや慢性腎不全になったりと病気をします。ただ可愛いだけではなく、「老い」や「病気」も全て引き受ける覚悟がないと、一緒に暮らせないのです。その子の命が終わるまで、傍らで見守る(終身飼育)ことは、当然のことです。決して、途中で、放棄したりしないでくださいね。「老い」さえも愛しいと思えるように願っています。以前、お酒のCMであったように「少し愛して、なが~く愛して」です。

そして、責任ある飼育で、周囲に迷惑をかけないことは、大切ですね。たとえば、避妊・去勢手術をしないで、放し飼いをされると、猫は猫算(一回の出産で、4頭前後、産み。年に2、3回妊娠するので)というぐあいに増えて、糞尿の問題で地域とトラブルになることもあります。「いのち」が粗末にされないように、しないといけないので、これらの手術は必ず要求されます。

どこに行けば、保護猫がいるの?

公的機関としては、各都道府県に動物愛護センターなどの施設があります。そこのサイトを見れば、いろんな子が載っています。それ以外にも民間で保護猫活動をしているところがたくさんあります。保護猫、里親募集中などで検索をかけると出てきます。

たとえば、いつでも里親募集中というサイトです。

どんな手続きがいるの?

各都道府県に動物愛護センター(地域によって、名前が違います)

書類を提出し、家庭訪問(飼育環境等によっては不要)、譲渡前講習会を受けてから、希望の猫をマッチングして譲渡してもらえます。

民間の保護猫施設

民間だから、簡単に譲渡してもらうというわけではありません。民間で保護猫活動をしている人は、当然、猫を「いのち」と考えているので、契約書にサインをすることになります。以下のような項目です。

・経済的に自立していて、終身飼育をしてもらう。

・他の人には、譲渡しない。

・動物実験に使わない。

・猫の場合の飼育環境は、完全室内飼いを求められることが多い。

・避妊・去勢手術をする(成猫になると、保護猫団体でされていることが多い)

・ワクチンや定期健康診断を受ける。

などにサインをして、身分証明書を確認して契約書を交わすことになります。

このような手続きをしてから、保護猫を飼うことが始まります。

誰でも譲渡してもらえるの?

どのような人でも譲渡してもらえるとは、限りません。各団体によって違います。

・60歳以上だと譲渡してもらえない。

・留守がちのところも難しい。

・小さい子どもがいるところもよくない

など、いろんな条件があがっています。でも、以前と比べて、愛護団体はたくさんあります。自分の考えと似ているところを見つけて、譲渡してもらうのがいいですね。

私たちの病院には、愛護団体の人も来られていますが、「この子を渡すかどうか、やはりその人の人間性です」といわれていました。細かい条件ではなく、長年、この活動をしていると、そういう勘も働くそうです。あなたが、本当に「保護猫」を飼いたいと思うと、最近は相性のいい猫が見つかる可能が増えました。

トライアル期間(お試し期間)とは?

猫は、性別、年齢、によって、性格が違います。里親さんのところに行って、生活に合うかどうかという相性を見る期間が、トライアル期間です。

そして、いままでわからなかったけれど、猫アルレギーを持っている飼い主もいますので、そのときは、「トライアル期間」が終了して、猫の保護団体に戻すことになります。または、先住猫を飼っている場合は、その猫との相性を見たりします。保護団体が、この家では猫を飼うのは問題があると判断すると、譲渡を取り消すこともあります。

譲渡の料金はいるの?

里親になって譲渡されるときに、料金が発生するケースとそうじゃない場合もあります。ノミの駆除代や登録料などいるところもあります。それらは、譲り受ける前に、しっかり確認してください。

いまの保護猫

獣医師の間では、以前は、もし犬や猫を譲渡する場合は、出来るだけ高い料金をつけ渡した方がいいといわれていました。人間は、悲しいことに、高いお金を払った方が大切にする生き物だったのです。無料だと、ついつい粗末にしている風景を何度も見てきました。たとえば、血統書付きの犬には、フィラリアの予防薬を飲ませて、もらったミックス犬はしないとか。血統書の猫には、高級な缶詰めをあげるけれど、外で保護した子は、スーパーで売っている安価なものにするとか。

いまや時代は流れて、令和になり、「いのち」をお金で買わない、そして、その子には、わが子同様に愛情を注いでいる飼い主がいます。

大福ちゃん

大福ちゃん インスタ daifukunosippoより
大福ちゃん インスタ daifukunosippoより

私の病院には、意識の高い飼い主が多く、保護猫、保護犬の子は割合にいます。今日、ご紹介するのは、保護猫の大福ちゃん。鼻腔内リンパ腫の治療で来院されています。子猫で譲渡されたわけではなく、保護団体から、あと数ヶ月で3才になるという成猫でした。その上、下部に尿路疾患になりやすい体質もありました。以前に怪我もしていて、足にその跡もしっかり残っていますが、それでもおっとりしたこの猫が、愛おしく自宅で完全室内飼いをされています。飼い主は「大福の年齢も体質も傷痕も全く気になりませんでした」とのことでした。

そんな大福ちゃんでしたが、他院で健康診断も定期的に受けていましたが、鼻腔内リンパ腫にかかり、大学病院で放射線治療までされています。その後、私たちの病院に来られていますが、発症してから、1年以上が過ぎて、この4月で2年になり、このまま寛解が続けば、完治の予定です。毎日、ご自宅で丸山ワクチンを注射されたり、サプリメントを飲ませたりと「ただ可愛がるだけの毎日では無くなりましたが、それを含めても大福との生活はとても楽しいものです」といわれています。

まとめ

サンシャイン池崎氏が、SNSで猫を「うおおおおおおおおおおおーーーい!!!!! それ俺のダウーン!!!どきやがれコノヤロー!!!まあでもそこまで外から寒くないから今日は許してやるよ!!暖房もつけたろか!」などという、悪口にみせかけた愛情で愛猫2匹の愛らしい画像を投稿しています。そして、メンタリストDaiGo氏は、猫の保護団体に多額の寄付をしています。著名人が、このようなことをすれば、みなさんが、「保護猫」に関心を持つようになります。動物を迎えようと思ったときに、保護猫、保護犬という選択肢がみなさんにあるようになっていくのでしょう。

猫との関係が、可愛がる気持ちから、愛情、そして「生命」に対しての尊敬に変わり、「なが~く愛して」欲しいですね。

まねき猫ホスピタル院長 獣医師

大阪市生まれ。まねき猫ホスピタル院長、獣医師・作家。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は食事療法をしながらがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。「動物のお医者さんになりたい(コスモヒルズ)」シリーズ「ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日(青土社)」など著書多数。シニア犬と暮らしていた。

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