Yahoo!ニュース

パリでは警察が買い物内容にダメ出しも、スーパーの入店規制、海外の事情は?

池田恵里フードジャーナリスト
パリでのスーパー入店 のDISTANCEの看板(パリ在住のIさん提供)

小池都知事が4月23日に臨時記者会見を行った。

これから大型連休を控えているものの、都内では新型コロナウイルスの感染者数は毎日100名以上の高水準のままであり、大型連休により、一層の拡大が懸念されているためだ。

小池都知事は「現時点(23日)では134名感染、亡くなった方は6名となった。大型連休を控え、命を守る、STAYHOME習慣、東京にいましょう」と強く呼びかけた。

人と人との接触を避けてほしいということで、東京都のポータルサイトを2020年4月24日15時から東京都のホームページ内に開設し、様々なコンテンツを作り、在宅の呼びかけを行うと言う。

東京でのスーパーの三密制限について

会見ではスーパーの店内についても専門有識者は新たなる3密として危惧してことから言及された。

実際、スーパーを見学して思うのは、三密が生じており、日本のスーパーの店舗内の通路は狭いため、より三密になりやすい。

床にはシールで1メートル間隔でシールが貼られ、レジに行くと感染を防ぐためにビニールシートで遮断がなされている。

関西のイカリスーパーでは、既に従業員、それぞれが手袋をはめ、対応している。

とはいえ、店舗内は家族連れも多く、やはり混雑しており、これは他のスーパーでも同様である。

スーパーの三密解消について

スーパーの三密問題は、業界団体からはスーパーは大小さまざまな坪数なので、一律に制限は難しいのではないかという声もあったそうだ。確かに日本の場合、これまでの政策を見ると偏った案(布マスク、お肉券など)が見受けられ、そのたびに不思議に思ったものだ。まずは現場(スーパー内)を幾つか見れば、その状況と相違があることは明らかである。

東京都では検討したうえで決めたことは

・買い物を3日に1回程度で済ませる

・1家族一人にしてほしい

臨時記者会見での質問から

23日の緊急記者会見で東京が出したスーパーにおける提案内容について、各記者の質問内容を抜粋し、フランスのパリ在住の学生であるKさん、そしてスコットランドのYさんにスーパーの状況についてインタビューをした。

買い物は3日に1回の根拠となるデーターはあるのか?どれぐらい減少するのか?(読売新聞記者)

回答

シミュレーションに関してはお願いであり、3日に一回だと3分の1という形であり、全体の8割減に対しての寄与度はわからない。

しかしターミナルなどの一定の効果があるということもあり、3日に1回とした。

スーパーではレジ係で働くのが怖いと言われ、お客様が相手なので言いづいづらい、さらにでどのように従業員を守っていくのか(フジテレビの質問抜粋)

回答

スーパーでは国の専門家会議でも三密は問題であると言われているが、店舗ごと、地域性も違うので、共通的に出来ること、

店舗ごとに出来ることを業界で連携しながらやっていく。既にやっていることを参考にしながらやっていきたい。

海外のスーパーでの買い物事情は

今回、インタビューを急遽応募したこともあり、2人の方にお願いした。

フランスのパリ在住の学生であるYさんとスコットランドのアバフォイルに住むKさんにインタビューした。

パリの買い物事情

Yさん「フランスでは、2月の末頃からスーパーが混雑していました。まずパスタ、保存食、卵などがなくなってきました。3月の半ばから外出制限がかかりました。大統領が自ら、スーパー、マスク工場を見学され、国民に寄り添っている姿を見て、国民一人一人が一致団結するようになったと思います」

レジではベルトコンベアーで商品が並び、会計が終わるとアルコールで従業員が除菌している。

そして手袋もしている。パリの人々は手袋、マスク、そして目からも感染すると言われているので、眼鏡をかけて外出する。家に戻り、買ったものはアルコールで除菌し、バッグもエコから紙に変わりつつあるという。前回のインタビューから変化していることがわかる。

ロスではエコバッグ禁止、仏ではワイン飲まなくなった コロナで各国のスーパー事情は?

買い物の中身が少ないと怒られる?

Yさん「外出自粛しているので、おのずと買い物が多くなります。たまに警察に呼び止められ、買い物袋の中身を見せないといけないことがあります。万が一、1個、もしくは2個しか入っていなかったら、もう少しまとめて買いなさいと注意を受けるんですよ。これは外出自粛制限のため、ある程度の量の買い物は必要でしょ、という考えからです」

日本の現状はというと、大手スーパーマーケットでは店舗が混雑していることからヘルプが必要で本部の人まで駆り出され、本社には人がいない状況である。

スーパーでは各社、懸命に人を上手に回しながら、やっているが顧客が一気に入店するとたちまち回らない状態が続いている。

「もう疲労がたまって限界です」という声も聞かれる。

ライフコーポレーションでは社員に今回のコロナにおける緊急特別感謝金として、総額3億支給された。

フランスでも大手スーパーマーケットであるAUCHANが従業員で一人あたり1000ユーロを65000人の従業員に支給した。

AUCHAN 従業員に1000ユーロ支給

パリのデリバリーについて

通販、郵便は遅延していることから、生鮮の買い物はスーパーとなる。

本来、外食をしない国民性と買い物も週1回が多い為、あまり混乱は今のところないようだ。

Facebookで情報を共有するスコットランドのKさん

スコットランドのアバフォイルに住むKさんからも話を聞いた。

Kさん「人口800人ほどのAberfoyle(アバフォイル)という小さな村ですが、通常は湖やトレッキングなど観光客の沢山訪れる村です。しかし、村に一軒だけあるスーパーと精肉店、ガソリンスタンド、調剤薬局以外は閉まっています。

村のスーパーでの人数制限はありませんが、店内は可能な限り一方通行になっています。ドアも出入り口を別にしています。全てのレジは透明のついたてを取り付け、店員と客の安全を守っています。営業時間は通常、朝7時から夜10時までですが、閉店時間を早めています」

イギリスに比べ、スコットランドは人口が少ないこともあり感染者が少ないと言われる。そして閉鎖になって5週目になっている。

閉鎖になって当初の死亡者は10人にも満たなかった。しかし急激に増加しており、閉鎖から1週間後には死亡者100人、23日(取材日)死亡者は1120名となっているとのこと。

Kさんの近所のスーパーCOOP(Kさん撮影)
Kさんの近所のスーパーCOOP(Kさん撮影)

Kさん「村のスーパーでさえこれだけ徹底していますが、Stirling(スターリング)のまちの大型スーパーTesco などでは一度に入店するグループ数を制限しており、入口にガードマンが立って、一組出ると次の一組に入店の指示を出します。外にもある程度まで2m間隔でテープが貼ってあり、駐車場にまで長蛇の列です。

また別のスーパーLidlでは出入り口付近にカート用の消毒スプレーとペーパータオル、ハンド用のジェルが備え付けてあり、入店時にも出店時にも使用できるようになっていました。

大型スーパーでは、一方通行は難しいようですが、何処の店内でも客同士も接触がないように、商品の前で立ち止まっている人がいたら待ったり、反対側に周っていったりしてそれぞれが気をくばっています」

日本の場合、通路が狭いこともあり、一方通行にすることはスーパーによってはかなり厳しいと思う。

そして興味深かったことは、スコットランドではアバフォイルのみならず、各地域でFacebookのコミュニテイーがあり、それぞれの地域の個人が立ち上げ、個人管理されている。人が多い場合、注意がFacebookであげられ、それにより入店制限されるようになったという。

Kさん「他国との大きな違いはマスクも手袋もしていない。鼻と口を隠すというのは恥ずかしい行為であると思われています」

Kさん「買い物後は、消毒したほうが良いですとFacebookで書かれていて、それでアルコールで拭いてから冷蔵庫に入れています」

Facebookで店舗内における問題、人との接触で問題点があれば、FaceBookでそれを皆で解決するという。

また余った食材があれば、「あのスーパーではこれが余っていて無料だよ」といった投稿があり、それが非常に助かると言われる。

Kさん「一人住まいの方は量が多い場合、Facebookでおすそ分けといったことも載せられており、皆で協力して食材を分けています」

Kさん「町に買い物に行く方から必要があれば、買い物をしますよといった内容もFacebookであげられています。中にはきつい文章があり、その場合はFacebookの管理者から少し優しい口調でといった注意もされます」

買い物については、今はKさんは無職でシングルマザーであるため、フードバンクを活用し、非常に助かっているという。

各人に自覚を持った行動が求められる

今回、実際、他国に住む方々のインタビューを通し、改めて一人一人の自覚が何よりも必要と思え、団結していくことがいかに大切であるかを感じた。そして現場で働いている人々、スーパーの現場が実際、どのような状況に陥っているのかを把握し、その上で入店制限が従業員に負荷にならないことを望みたい。

フードジャーナリスト

神戸女学院大学音楽学部ピアノ科卒、同研究科修了。その後、演奏活動,並びに神戸女学院大学講師として10年間指導。料理コンクールに多数、入選・特選し、それを機に31歳の時、社会人1年生として、フリーで料理界に入る。スタート当初は社会経験がなかったこと、素人だったこともあり、なかなか仕事に繋がらなかった。その後、ようやく大手惣菜チェーン、スーパー、ファミリーレストランなどの商品開発を手掛け、現在、食品業界で各社、顧問契約を交わしている。執筆は、中食・外食専門雑誌の連載など多数。業界を超え、あらゆる角度から、足での情報、現場を知ることに心がけている。フードサービス学会、商品開発・管理学会会員

池田恵里の最近の記事