素直な味の惣菜、テイステイングマーケット、福島屋秋葉原店

TASTING MARKETと大きく掲げる「福島屋秋葉原店」

都心での出店 新しいスーパーの在り方

羽村市中心に展開しているスーパー福島屋。スーパー、業務用、花屋、そしてブッフェレストランなどを含め10店舗経営し年商約52億と言われている。さて六本木店出店の後、秋葉原に昨年12月20日にオープンした。秋葉原という立地での出店に大いに興味を抱き、来店することにした。そして福島屋と言えば、スーパーで嘗てからメデイアなどで紹介される話題店である。

TASTING MARkET 惣菜が肝

このスーパーの大きな特徴として、会長自らが全国の調味料、素材を足で運び、選びに選ばれた商品を店頭に並べ、都心から離れている羽村市で繁盛店なのだ。そして何といっても、店舗内で販売されている惣菜は、店舗内にある素材、調味料を使って作り上げている。つまり惣菜を食べることで店舗内の厳選された食材、調味料をも顧客に認識してもらえる。という訳で有料の「TASTING」となる。この他、野菜など形が悪いというだけで捨ててしまうような野菜を加工し、それを店舗で販売している。

さて秋葉原を降り立ち、がつく方向音痴であることから、自慢にもならないがグーグルマップを見ても場所がわからない。そこで本社にあつかましくお電話することにした。

「秋葉原UDXに入っております、駅からすぐのところです。万が一、それでもわからない場合もあるので店舗の電話番号をお教えしますね」

丁寧な応対に感心しつつ、教えてもらったお陰でおおよその見当がつき到着。

坪数170弱 そして売り場面積は80坪と小型店舗にもかかわらず、店舗内は回遊しやすく、ゆったりとしている。

一つ一つの商品を見つつ歩いているとお米の生産者の方に呼び止められた。

「新潟のお米、試食いかが?このお米は、惣菜売り場のあそこのおにぎり、弁当に使っているの」

勿論、その米のこだわりを丁寧に説明してくださった。実際、作り手が商品説明するため、顧客にその米へのこだわりが伝わりやすい。

さて今回、幸運にも篠崎晃店長にお話を伺うことが出来た。

池田「今、オーガニックが注目されていますが、御社もそれに注力されているのでしょうか」

篠崎店長「あくまで良い食材、調味料を全国各地のものを選び、並べており、オーガニックは良い食材のなかに含まれていることになります」

池田「主たる顧客層は」

篠崎店長「店舗がありますUDXはOL、サラリーマンがおられますので、その方々に利用してもらっております」

この他、惣菜はバックヤードは8人体制で作り上げているとのこと。

すこーし高めの価格設定

惣菜売り場は、入口から左の壁面に沿って陳列され、スイーツ、ベーカリー、そして弁当と言った順番となっている。

中央ゴンドラには、天ぷら、コロッケなどの揚げ物が陳列されている。

その先に寿司売り場があり、握りセットはあまり置かれず、むしろ助六などが陳列。あくまで600円までを意識しての陳列なのか、上手だなあという印象を受けた。そこで幾つかの商品を購入し、持ち帰った。

価格設定600円まで、上手な設定価格

さて比較しやすい弁当ではスーパーと比較すると約100円ほど高め設定となっており、500円から600円。

今回、購入した弁当はこれ、さつまハーブ鶏、焼鳥丼 580円

さつまハーブ鶏、焼鳥丼 580円(本体価格)
さつまハーブ鶏、焼鳥丼 580円(本体価格)

鶏そのものが匂いがなく、出来るだけ味付けをシンプルにすることで素材が生きる。

やはりラベルを見てもわかるように、表示されている調味料数が非常に少ないのである。

さておにぎりは150円130gである。

無添加焼きたらこの入ったおにぎり150円
無添加焼きたらこの入ったおにぎり150円

おにぎりには天外天塩を使用されているとのこと。おにぎりの開発をしばらく手掛けていたことがあり、おにぎりの塩はしっかりとした尖がった塩味でないとなかなか米と融合しにくい。このおにぎりは、口に含んだ瞬間に米本来の味がわかり、騒がしくない程度に塩加減がなされている。そして何といっても圧がかかっていない握り方で「これだと握り数8回以下かも・・・」と思えるほど米粒が壊れていないのである。

六本木では一日600個売れるそうであるが、おにぎりというのは売れれば売れるだけアツアツの状況で顧客が手に取ってくれ、好循環が生まれるのだ。

さて次に純正ケーキの表示の配合を見ると、やはりここでもシンプルな配合でこれほどまでに自然でしかも柔らく仕上ったスポンジとクリームは専門店で頂くのと遜色がないというより、むしろ巷にある専門店より商品力は高い。

純正ケーキ 150円
純正ケーキ 150円

香りが大切と改めて

持ち帰って弁当の蓋をあけ、まず思ったことは「香り」である。余分なものが一切、入っていないため、蓋を開けた瞬間、よくある嫌なにおいがなく、むしろ心地よい香りなのである。通常、どうしても日持ち、衛生などを考えてしまい、開発する時、短くても2日は持たせたくなり、レシピ設計する。しかし賞味期間をみると1日となっているため、この香りに納得した。

コンビニとは違うコンセプト、エッジ商品

さてコンビニアイテムは食品以外も含めて約3000アイテムと言われている。最近でいうと、例えばローソンでは2950から3500まで増加させている。そしてコンビニの多くは商品が年間7割は入れ替わるのである。当然のことであるがそれに伴い開発にかかる時間、人件費が連動して増える。

さて福島屋は食品のみで同じ3000アイテムとなって構成されており、惣菜については厳選した素材と調味料を使用しているため、きわめてシンプルな味付けにすることで、むしろ素材、調味料の良さが伝わり、顧客は飽きないのである。そのため開発にかかるコストも少なくすむ。勿論、余分なものが入っていないため1日しか持たない。しかしむしろそのことを顧客が認識し、その上、美味しければ頻繁に購入し来店頻度が増すのだ。

都市部でのミニスーパー、ドラッグストアのスーパー化 競争激化

今、都市部では人口流入もあり、ドラッグストアも弁当を並べだし、それもあってコンビニではめまぐるしく変化している。昨年からファミリーマートはおかずを刷新しており、売り場ががらりと激変し、あまりのスピードの速さに驚きを禁じえない。そして3月10日にセブンーイレブンは生鮮を陳列すると発表した。

セブン&アイ・ホールディングスはグループ共通のプライベートブランド(PB)「セブンプレミアム」を刷新する。新たに生鮮品を加えるなどし、約600品目を上積み。2020年2月期に17年2月期見込みを3割を上回る1兆5000億円の売上高を目指す。目玉は生鮮品のPB「セブンプレミアム フレッシュ」。生産地を絞り、製法を管理したバナナや豚肉、サーモンなど第1弾の約30品目を9日から順次、売り出す。イトーヨーカ堂やヨークベニマルなどスーパーが主に扱い、一部はコンビニでも販売する。20年2月期に500億円の売上高を目指す。

出典:日本経済新聞3月10日

既にコンビニの売り上げの90%は大手3社が占めており、今後、より寡占化し、2社になるとさえ言われている。加えて、先述したようにドラッグストアも参入している今、戦いはますます厳しくなっていくであろう。今回、福島屋の惣菜を見ると味付けがシンプルで賞味期間も短く、正直、いろいろなリスクを考えてしまった。しかし福島屋を調べるにつれ、川上から川下までよくよく考え抜いていること、惣菜も勿論、リスクも踏まえた提案であること、そして何といっても徹底しぶれないコンセプトで成り立っていることを知った。大手に立ち向かい、生き残るには、各社、違いはあるにせよ、尖がった真逆の提案をし続けることが大切であることを改めて痛感した。