Yahoo!ニュース

10連勝で大阪場所を盛り上げた翠富士「体重増やして押し相撲で強く、三役に上がりたい」

飯塚さきスポーツライター
翠富士が大阪場所での活躍を振り返る(写真:筆者撮影)

本日ついに5月場所の番付発表。先の大阪場所で10連勝の大活躍を見せた伊勢ヶ濱部屋の翠富士は、三役目前にまで番付を上げた。一躍注目を浴びた関取にインタビューし、先場所の振り返りと今後の目標について伺った。

うれしさよりも悔しさ残る場所

――大活躍の大阪場所でした。場所前と序盤戦の調子はいかがでしたか。

「場所前はいつも通りであまり変わらず、普通でした。霧馬山関が出稽古に来てくれたけど、それ以外あまり変わったこともなく。初日から勝てていたことは、気分的にはいいですけど、そんなにですね」

――印象的な一番はどれですか。

「碧山関に勝って、ストレートで勝ち越しを決めたのはうれしかったです。“ワンチャン”あるんじゃないかなって、ちょっとだけ思ったりもしました。ただ、みんなからは後半動きが固いとか前に出られていないっていう指導をしてもらいました。自分でも取組を見返してみたら本当にそうで、体は反応しているけど前に出られていないなと思いました」

――それでも初日から10連勝。素晴らしかったですね。

「初めてだったので、またしたいですね。終盤は5敗してしまいましたが。相手の皆さんは強いですけど、勝ったことない相手はいなかったので、自分の力不足だったと思います」

――どんな課題を感じていますか。

「緊張して体が動いていなかっただけだと思います。自分では緊張していないつもりでしたけど、やっぱりしていたのかなって思いますね。ただ、若隆景関にがっつり中に入られて、あそこで持っていかれてもおかしくなかったけど、うまく逃げてもう一度チャンスを作る相撲を取れていたので、そういう部分はよかったかなと思いました」

――10日目の翔猿関戦では、割り出しという珍しい決まり手も出ました。

「はい、意識はしていないですけど、対応して動いたらそうなったっていう。本当に偶然ですね。決まり手は聞いていなかったので、後から『珍しい決まり手でしたね』って言われて『そうなんですか、割り出し?割り出しってなんだ?』と思いました(笑)」

――15日間をあらためて総括して、いかがですか。

「普段だったら10番勝っていい成績だったなって思うんですけど、10連勝していたので、うれしさよりも悔しさのほうが大きかったです。しかも、千秋楽勝っていたら三賞も取れていたので、やっぱり悔しいですね。この悔しさをバネに、次頑張れるとは思います」

秘訣は入念な作戦と強い気持ちをもつこと

――小さな体ながら、すばしっこいというよりも、堂々としていて「強い!」という印象の関取。どうしてそんなに強いんですか。

「そんなに強いって感じでもないんですけど、正直、体の力だけだったら勝てない人のほうが多いので、作戦はめちゃくちゃ考えていますね。立ち合いが勝負の7、8割を占めると思っているので、立ち合いだけすごく考えて、あとは自分の体を信じる感じです。相手がこう立ち合ってくるだろうっていう想定を間違えると、やっぱりだいぶ苦しくなるっすね。今回の場所は、思っていたのと違ったなっていうことがあんまりなかったんです」

――相手の研究をしているんですね。

「はい、自分の型をもっているわけじゃないので、相手の嫌な形をやる意識をしています。(協会公式)アプリで何年分かの取組を何回も見るんですが、特に小さい相手とやっている相撲をよく見ています」

――体幹の力もすごいなと思って見ているんですが。

「あんまり体幹トレーニングはやっていないんですけど、横綱も『腹とか腰の力が強いな』って褒めてくださって。特に何もしていないんで、なんでかなって、もともと強いのかなあと思っています。ただ、最近は稽古があまりできていない分、基礎運動は最低限やろうと決めています」

――いつも堂々と自信に満ちていますが、気持ちを強くもっていられる秘訣はなんですか。

「なんなんですかね。昔から心は強かったんじゃないですかね。うわ、だめだーって思ったらどんな人にでも負けちゃうと思うんで、気持ちが強ければ変われると思います」

――あこがれの人や真似したい人はいますか。

「安治川親方(元関脇・安美錦)の相撲が素晴らしいなと思います。(独立して)さみしいのはさみしいんですけど、ちょくちょく電話したりご飯に行ったり、いまでもかわいがってもらっていますね。自分はいじられキャラなんで、何聞いてもダメですけど、20回くらい真面目に聞いたら1回くらいは真面目に返してくれるので(笑)」

――お二人のやり取りが目に浮かぶようです(笑)。今後はどんなことを目指していきたいですか。

「基本的に自分は、体重が増えたら増えた分強くなっているので、もっと増やしたいなと思っています。いま115キロくらいなので、140とかいってみたいです。いったら押し相撲で強くなれる気はしています。全部シャミチ(電車道。立ち合いから一気に押し出す、または寄り切ること)!みたいな。来場所もしっかり勝ち越して、三役に上がりたいなっていうのが願いです。来場所で決めたいですね」

スポーツライター

1989(平成元)年生まれ、さいたま市出身。早稲田大学国際教養学部卒業。ベースボール・マガジン社に勤務後、2018年に独立。フリーのスポーツライターとして『相撲』(同社)、『大相撲ジャーナル』(アプリスタイル)などで執筆中。2019年ラグビーワールドカップでは、アメリカ代表チーム通訳として1カ月間帯同した。著書『日本で力士になるということ 外国出身力士の魂』、構成・インタビューを担当した横綱・照ノ富士の著書『奈落の底から見上げた明日』が発売中。

飯塚さきの最近の記事