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新型コロナ、生きるか死ぬか 結果からみる致死率18%超の衝撃

飯塚真紀子在米ジャーナリスト
感染者数世界最多のアメリカでは、レジ周りに透明なシートを設置する店も出現。(写真:ロイター/アフロ)

 新型コロナウイルスの世界の感染者数が72万人を超えた。昨日、60万人を超えたことが報道されたばかりだ。このペースで増加し続ければ、100万人に達するのも時間の問題である。

 また、本日3月29日(米国時間)、アメリカの感染者数は14万人を突破、米新型コロナタスクフォースのキーパーソンである国立アレルギー感染症研究所(NIAID)所長のアンソニー・ファウチ博士はCNNのインタビューで「アメリカでは10万人〜20万人が死亡するかもしれない。感染者は数百万人」と警告した。

 筆者が住むロサンゼルスでも、警戒態勢が日増しに高まっている。ビーチやハイキング・トレイルは完全に閉鎖され、昨日から、サンタモニカ市内では「公園は閉鎖されています」と警告するアナウンスが響き渡っている。外出禁止令下、市民が身体を動かしに出かけていた公園もついに閉鎖されてしまった。地元のニュースは、海からあがってきたサーファーが1000ドルの罰金のチケットをもらったと報じている。ロサンゼルスは、同地を“第2のニューヨーク”にしまいと必死だ。

世界の致死率は上昇

 ところで、今、多くの人が、ジョンズ・ホプキンス大学の集計を参考にしていることと思う。

 筆者も毎日この集計を見て致死率を計算しているが、感染者数の増加とともに、世界の致死率は増加している。3月10日段階で約3.5%だった世界の致死率は、じょじょに上昇していき、ここのところ4.5%台だったが、3月28日(米国時間)は4.6%台に上昇、3月29日(米国時間)には4.7%台となった。

 日本における致死率も、3月10日時の約1.4%から約2.9%に上昇している。

 致死率にはいろいろな算出法があるが、筆者は死者数/感染者数という計算で割り出していた。

 しかし、この算出法では、現在治療中の感染者が結果的にどうなるのか、つまり、治療により完治して生還するのか、あるいは重篤化して死亡することになるのかは計算に入れられていない。感染者の中でこれから亡くなる人の数は計算には入れられていないわけである。結果的な致死率はわからないことになる。

 久留米大学商学部の塚崎公義教授も、

「2~3%の致死率というのは、残りの大多数の人が全員治癒すると仮定した場合の致死率なので、本当にそれで良いのか、心配です。結論の出た人(すでに死んだ人と治癒した人の合計)に占める死者の比率は結構高いので、結論の出ていない人が同じ確率で死亡するとすれば、大ごとです」

と説明している。

結果からみる世界の致死率は18%超

 実際、現時点で、結果的に死亡した人と完治し生還できた人の合計から、新型コロナの致死率を算出すると、非常に高い。

 ジョンズ・ホプキンス大学が集計にあたって参考にしているデータの一つに、世界の感染状況をリアルタイムにトラッキングしているWORLDOMETERがあるが、このデータ中の“CLOSED CASES”に注目してほしい。“CLOSED CASES”には、結果的に、生還できたか死亡したか、つまり、結果が出た感染者の数が記載されている。それをみると、致死率の高さに驚かされる。

 グリニッジ標準時3月29日18時12分現在、結果が出た人々、つまり、生還できた人の数と死亡した人の数を合わせた総数は18万4,284人。うち、死亡した人の数は3万3,550人。生還できた人の数は15万734人。結果が出た人の数だけにフォーカスすれば、致死率は18%を超えているのだ。つまり、結果的には、10人に2人近くが死亡したということになる。

左のActive Casesは現在感染している人の数。右のClosed Casesは結果が出た感染者の数。完治し生還した人は世界15万734人、死亡した人は3万3,550人となっている。出典:worldometers.info
左のActive Casesは現在感染している人の数。右のClosed Casesは結果が出た感染者の数。完治し生還した人は世界15万734人、死亡した人は3万3,550人となっている。出典:worldometers.info

 このデータでは国別の数字も見ることができる。医療崩壊したイタリアの場合、結果からみた致死率は、米国時間3月29日現在約45%、スペインでは約31%となっている。イタリアでは約半数近く、スペインでは約3人に1人が結果的に亡くなっていることになる。

 また、イギリスの場合、結果が出ている感染者の数が現時点ではまだ少数だからだろう、結果から見る致死率は約90%と非常に高い。

 一方、結果が出ている感染者の数が大多数の中国では、結果から見る致死率は約4%となっている。

3月7日を境に上昇

 結果が出ている感染者数が増えるほど、結果からみる致死率は下がるのだろうが、気になるのは、結果からみる世界の致死率が、3月7日以降、上昇し続けていることだ。

 以下のグラフが示すように、3月7日までは、結果からみる世界の致死率は低下し続けたものの、3月7日の5.62%を底に上昇に転じており、現在は、前述したように18%を超えている。逆に、生還できた人の割合は、3月7日を境に低下し続けている。

結果的に、完治し生還できた人の割合(グリーン)は、3月7日を境に、減少する一方、死亡した人の割合(オレンジ)は上昇している。出典:worldometers.info
結果的に、完治し生還できた人の割合(グリーン)は、3月7日を境に、減少する一方、死亡した人の割合(オレンジ)は上昇している。出典:worldometers.info

 WHO(世界保健機関)は3月3日、致死率を3.4%に上昇させたが、結果からみる最終的な致死率がどうなるのか気になる。

 ちなみに、WHOは、2003年、SARSが拡大中の時、致死率は4%だと発表していたが、最終的な致死率は9.6%となったことも明記しておきたい。

在米ジャーナリスト

大分県生まれ。早稲田大学卒業。出版社にて編集記者を務めた後、渡米。ロサンゼルスを拠点に、政治、経済、社会、トレンドなどをテーマに、様々なメディアに寄稿している。ノーム・チョムスキー、ロバート・シラー、ジェームズ・ワトソン、ジャレド・ダイアモンド、エズラ・ヴォーゲル、ジム・ロジャーズなど多数の知識人にインタビュー。著書に『9・11の標的をつくった男 天才と差別ー建築家ミノル・ヤマサキの生涯』(講談社刊)、『そしてぼくは銃口を向けた」』、『銃弾の向こう側』、『ある日本人ゲイの告白』(草思社刊)、訳書に『封印された「放射能」の恐怖 フクシマ事故で何人がガンになるのか』(講談社 )がある。

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