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「日本の最低な態度にゾッとしたわ」 人種差別発言「#中国人は日本に来るな」米紙報道 【新型肺炎】 

飯塚真紀子在米ジャーナリスト
星をウイルスに変えた中国国旗の風刺画も。写真:uk.news.yahoo.com

 新型肺炎の感染者数や死者数が激増し、ヒトヒト感染も増える中、世界各地で中国人に対するヘイトが高まっている。

 日本も例外ではないようだ。米紙ニューヨーク・タイムズが、日本では、#中国人は日本に来るな(#ChineseDontComeToJapan)というハッシュタグがツイッターのトレンディングになったと伝えている。

 新型コロナウイルスに対して恐怖を感じているのはわかる。日本の安全を守りたい思いから吐いた暴言もあるだろう。しかし、「#中国人は日本に来るな」という言葉はヘイトスピーチ以外の何ものでもない。あからさまな人種差別発言だ。「桜を見る会」の公文書廃棄問題障害者言及問題に続いて、世界にまた日本の恥が晒されてしまった。

顔に唾を吐きかける

 このハッシュタグに対する批判のツイートもあがっている。

「"#中国人は日本に来るな"は中国人に対する不必要な人種差別であり、ヘイトよ。日本の最低な態度にゾッとしたわ。こんなこと言う人には、顔に唾を吐きかけるわ」

「ひどいよ。僕たち人間は、危機の時はお互いに助け合うはずだ。しかし、中には人種差別を拡散せずにはいられない日本人がいる」

「マジか、#中国人は日本に来るながトレンディング??? 中国からのフライト中止を優先することには賛成だけど、それは、キツ過ぎるんじゃない?」

 また、「韓国では、中国人訪問者を禁じるよう抗議が行われている。日本では“#中国人は日本に来るな”がトレンディングだ」という日韓の違いに言及したようなツイートもある。韓国では、中国人の入国禁止を呼びかける嘆願書に54万以上の署名が集まったという。

中国から来たのか? あっちに行け

 中国人に対するヘイトスピーチが起きているのは日本だけではない。アメリカも同様だ。

 アメリカで初めての感染者が確認された米ワシントン州にあるコストコでは、感染予防のためマスクをつけていた8歳の男の子が、試食サービススタンドの女性従業員(試食サービス企業から派遣されていた)から「中国から来たのか? あっちに行け」と罵倒される差別を受け、ニュースになった。ちなみに、男の子の母親は韓国系アメリカ人で、父親は様々な国の血が混じっていたので、その男の子は中国人とは言えなかった。しかし、その女性従業員は、男の子がそのルックスから中国人だと思い、そんなヘイトスピーチに及んだのだろう。

 

 また、アリゾナ州立大学には、咳も簡単にできないと訴えるアジア系の学生もいる。同大学の関係者が新型コロナウイルスに感染していることが確認されたことから、アジア系の学生は咳をしただけで、教室にいる学生たちから変な目で見られてしまうことがあるというのだ。

 アジア系のビジネス経営者も差別に晒されている。カリフォルニア州サンディエゴのアジアン・コミュニティーのメンバーたちは「私たちは人種差別のターゲットになっている」と訴えている。

 フランスでは、地方紙「クーリエ・ピカール」が、新型肺炎に関する記事に「イエロー・アラート」という見出しをつけて掲載し、批判された。「黄色人種に気をつけろ」と言わんばかりのこの見出しは、19世紀に流布した「イエロー・ペリル(黄禍論)」という人種差別的な言葉を想起させるからだ。「イエロー・ペリル(黄禍論)」とは、欧米諸国で起きた黄色人種脅威論。当時、欧米諸国は日本や中国などアジア地域の近代化と国力増強が彼らにとって脅威になると考えていた。

アジア人が差別される

 結局のところ、欧米人は、中国人、韓国人、日本人などアジアの黄色人種の人々を見分けられない。そのため、欧米では、反中感情がアジア人全般に対する差別に繋がるという状況が起きていると言える。日本人も差別の対象になりうるのだ。

 「#中国人は日本に来るな」というハッシュタグやそれに類似したハッシュタグでヘイトスピーチをしている人々も、欧米に行けば、ヘイトのターゲットになる可能性がある。結局、ヘイトには、ヘイトしか返ってこない。ヘイトは連鎖して行くだけだ。何より、ヘイトはSNSで拡散していく。

 世界で反中感情が高まっている今、ヘイトや偏見、人種差別を生み出す言動を止めてほしいと強く訴えたい。

在米ジャーナリスト

大分県生まれ。早稲田大学卒業。出版社にて編集記者を務めた後、渡米。ロサンゼルスを拠点に、政治、経済、社会、トレンドなどをテーマに、様々なメディアに寄稿している。ノーム・チョムスキー、ロバート・シラー、ジェームズ・ワトソン、ジャレド・ダイアモンド、エズラ・ヴォーゲル、ジム・ロジャーズなど多数の知識人にインタビュー。著書に『9・11の標的をつくった男 天才と差別ー建築家ミノル・ヤマサキの生涯』(講談社刊)、『そしてぼくは銃口を向けた」』、『銃弾の向こう側』、『ある日本人ゲイの告白』(草思社刊)、訳書に『封印された「放射能」の恐怖 フクシマ事故で何人がガンになるのか』(講談社 )がある。

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