つけ麺の横綱の呑める家系ラーメン店! 一流ラーメン職人が“我流”横浜家系ラーメンにこだわる理由
横浜家系ラーメンがここに来てまた面白い。
1974年創業の「吉村家」(当時は新杉田駅近く)を総本山とし、その直系店や弟子、孫弟子の出店で広がってきたが、近年は大手外食系企業によって運営される「資本系」の家系ラーメン店が増殖し、全国的に一大ブームとなった。さらには、この数年で一流のラーメン職人が新ブランドとして“我流”の家系ラーメン店をオープンする流れが広がってきている。
以前ご紹介した二店に引き続き、今回は濃厚煮干つけ麺の名店がオープンした新店を紹介したい。
2023年3月、東京の江東区東砂に一軒の横浜家系ラーメン店がオープンした。その名も「宮元製麺」。東京メトロ東西線・南砂町駅から1.2kmあり、徒歩17分という決して便利ではない場所。清洲橋通り沿いのロードサイド店だ。
このお店は大田区西蒲田にある「煮干しつけ麺 宮元」の新ブランド。極濃の煮干しつけ麺で一世を風靡した2015年オープンの大人気店だ。
別ブランドとしては、2017年にオープンした二郎系の「ラーメン宮郎」に続き2店舗目。二郎系に続き、横浜家系ラーメンというチョイスはわかりやすくて強いが、その分、店舗数も多いので戦いも熾烈だ。勝算はあったのか? 店主の宮元達宏さんに話を聞いた。
「個人的に横浜家系ラーメンが好きなんですよね。以前から家系ラーメンの作り方に興味があり、2年前から年に数回限定で『宮元家流』を提供し始めたのですが、その評判が良く、もっとこの味を追求したいと思ってこの店を作りました」(宮元さん)
宮元さんにとっての家系ラーメンの魅力とは?
「家系ラーメンは店主の個性や想いが伝わりやすく、凄くワクワクする存在です。基本的に豚骨を炊きっぱなしで作るので、同じお店でも時間帯によって味が違い、いろいろな顔が見られるのが楽しいです」(宮元さん)
豚骨の生きたスープに最大の魅力があり、それぞれの店主のこだわりにより、醤油が立っているお店、豚骨の厚みの強いお店などいろいろな家系ラーメンが存在するのが面白い。
その中でも「宮元製麺」ならではのこだわりを聞いてみた。
「スープはもちろんですが、醤油は数種類ブレンドし、生揚げ醤油も使っています。そして、通常の豚骨醤油ラーメンだけではなく、塩ラーメン、つけ麺、油そばもあり、いろいろ楽しめるのも特徴です。
塩ラーメンの塩は乾物などを使用し、つけ麺は特にたくさんの材料を入れています。麺は濃厚なスープに合わせて自家製麺を採用しました」(宮元さん)
超濃厚でパワフルな豚骨スープに強めの醤油ダレを合わせていて、「これぞ宮元」と感じるパワーのあるスープに納得。トッピングで注文できる「小林農園直送茹でキャベツ」が最高に合うのと、ほうれん草ではなく生の小松菜を採用しているのが個性的で、そのシャキシャキ感が良いアクセントになっている。
自家製麺もモチッとした食感でとても美味しい。
さらに、卓上に“山椒”が置いてあるのが家系ラーメン店にしては珍しく、これが合う。パワー系のスープだからこそ合う感じで、それがいい個性になっている。
“呑める”家系ラーメン店にした理由
家系ラーメンのお店といえばカウンターのみのお店も多いが、「宮元製麺」はロードサイド店らしくゆったりしていて大きめなお店である。カウンター13席に加え、テーブル席18席の計31席。ファミリーも歓迎で、ゆっくりお酒を楽しむこともできる。
「『ファミリーでも気軽に食べに来られる本気のラーメン屋』がコンセプトなので、家族で来ていただき、ゆっくり飲みながら楽しんでもらえたらなと思っています。蒲田にある2店舗ともカウンターのみなので、ゆったりお酒が飲めるお店は前から作りたいなと思っていました」(宮元さん)
ファミリーも意識した地元密着のお店を目指して、本気の“我流”家系ラーメンを模索し続ける。「宮元」ならではのパワフルな一杯に魅了されること間違いなしだ。
宮元製麺
東京都江東区東砂5-1-11 ジェイズクレイドル1F
050-5600-6407
※写真はすべて筆者による撮影