豚骨の超重要エリア! 佐賀県基山町の豚骨ラーメンのツートップがタッグを組んだ理由
豚骨ラーメン発祥の地として知られる福岡県久留米市。
「南京千両」(1937年創業)、「三九」(1947年創業)などを源流とし、九州各地のラーメンに影響を与えた。九州といえば豚骨というイメージを作ったきっかけともいえる。
久留米ラーメンには数多くの人気店があるが、その一つとして“国道系”というものがある。
国道3号線沿いのロードサイドに店を構え、24時間営業のお店が多く(コロナ禍で現在は短縮営業中)、昼夜問わず客足が絶えない。特に有名なのが「丸星中華そばセンター」(久留米市)と「丸幸ラーメンセンター」(基山町)だ。
佐賀県にあるが久留米ラーメンの横綱「丸幸ラーメンセンター」
1965年創業の「丸幸ラーメンセンター」は久留米市の14キロほど北に位置する佐賀県三養基郡基山町にある。基山町は福岡の筑紫野市と鳥栖市の間に挟まれた地域で、地理的には佐賀県となる。
佐賀には「佐賀ラーメン」がまた別に存在するが、「丸幸ラーメンセンター」は国道系の久留米ラーメンのお店となる。久留米市ではないので見落としがちだが、基山町は豚骨ラーメンの重要なエリアなのである。
広い駐車場は100台まで停められる。以前は24時間営業だったが、現在は短くなっている模様。
圧力をかけて一気に炊き出す豚骨100%のスープは、乳化しているが濃厚すぎずじわじわ旨味が広がる。表面は意外とオイリーでパンチも十分だ。まっすぐな一杯でこれぞ本場の味というラーメンである。
インスタント豚骨ラーメンに命をかけるサンポー食品
基山町が豚骨の重要なエリアである理由はもう一つある。豚骨ラーメンに命をかける食品加工品会社・サンポー食品の本社と工場があるのだ。前身となる米穀卸大石商店の創業(1921年)からは100年を超える老舗企業だ。
サンポー食品は1965年に地元の豚骨ラーメンを袋麺で再現した「サンポー軒」を発売。偶然にも「丸幸ラーメンセンター」の創業と同じ年である。
その後、1978年に豚骨のカップ麺「焼豚ラーメン」を発売し、大ヒット。九州では豚骨のインスタントラーメンといえばサンポー食品の「焼豚ラーメン」という代名詞的な存在となる。
基山町の豚骨ツートップである「丸幸ラーメンセンター」と「サンポー食品」が2017年、ついにタッグを組むことになる。「焼豚ラーメン×丸幸ラーメンセンター」が開発されることになったのだ。
基山の名店の味を基山のメーカーから全国へ。長きにわたり豚骨にこだわり抜いた両社が本気でぶつかり合った。
「丸幸ラーメンセンター」独特のしっかり乳化しながらさっぱりとしたスープの再現には特にこだわった。
「通常の『焼豚ラーメン』に比べ、ポークエキスは2倍に増量しています。白湯系の豚骨エキスをたっぷり配合することで、乳化した白濁感を追求しました。濃い味が続くと味に飽きてしまうため、香辛料や紅しょうがで口の中をリセットできるような商品構成にしています」(開発担当者・奥川翔吾氏)
麺には福岡県産のラーメン用小麦「ラー麦」を100%使用している。元ダレには椎茸エキスを配合し、可能な限り再現度を高めている。
「同じ基山町内でのコラボのため、とても思い入れのある商品です」(取締役・大石梨恵子さん)
博多、久留米、熊本など豚骨ラーメンの有名なエリアが多い中で、基山は知名度こそあまりないものの、「丸幸ラーメンセンター」と「サンポー食品」が50年以上地元を盛り上げている。
豚骨ラーメンファンなら絶対に外せないエリア。基山の名店の味を基山のメーカーが着実に全国に広げている。