2020クリスマスケーキの食品ロスは?コンビニ・スーパー134店舗、大学生が調査

2020年12月25日20時、閉店3時間前、西友のケーキ売場(大田美月さん撮影)

2019年10月に食品ロス削減推進法が施行され、恵方巻きなど、その日しか売ることのできない季節商品の食品ロスに注目が集まっている。はたして2020年12月のクリスマスケーキは、需要に見合った数が販売され、売り切れていたのだろうか。

12月24日のクリスマスイブの夜と12月25日のクリスマスの夜、大学生インターン3名とその友人や関係者10名以上にご協力いただいて、1都1府6県(東京・神奈川・千葉・埼玉・山梨・静岡・京都・大分)のコンビニ・スーパー・デパ地下・ケーキ店など、のべ134店舗の売れ残り(売り切り)調査を行った。筆者はコンビニ・デパ地下・スーパー・ケーキ専門店の合計13店舗を見て廻った。

大学生が中心となって実施した調査の一部(筆者がスクリーンショット)
大学生が中心となって実施した調査の一部(筆者がスクリーンショット)

イブとクリスマス当日の19時以降に残っていたのは合計1,510個

2020年12月24日と25日に調査した、のべ134店舗のうち、19時以降に調査したのが98店舗。それぞれ残っていた数は次のような結果となり、合計1,510個残っていた。

2020年12月24日19時 1,148個 

2020年12月25日19時 362個 

毎年、クリスマスケーキは12月24日と12月25日の両日、販売される。そこで、特に12月25日の売れ残りに着目した。

中でも多かったのがスーパー(西友)で、24日の20時35分と25日の20時の時点で、合計364個が残っていた。

2020年12月24日20時35分の西友(大田美月さん撮影)
2020年12月24日20時35分の西友(大田美月さん撮影)

この中にはショートケーキ2個セットも多く含まれるので、厳密にはこれ以上の個数が残っていたことになる。

2020年12月24日20時35分の西友(大田美月さん撮影)
2020年12月24日20時35分の西友(大田美月さん撮影)

クリスマスイブやクリスマスの当日20時というと、まだ働いている人もいるものの、夕食をすでに済ませている人もいる時間帯だ。特に今年はコロナ禍で在宅勤務の人もいる。もう少し少なめの発注でもよかったのではないだろうか。

2020年12月25日20時、西友のケーキ売り場(大田美月さん撮影)
2020年12月25日20時、西友のケーキ売り場(大田美月さん撮影)

売り切ることを目指しているというより、余る前提での発注のようにも見えた。

2020年12月24日、ライフ(平井亜由美さん撮影)
2020年12月24日、ライフ(平井亜由美さん撮影)

2020年12月25日午後のスーパーの様子(筆者撮影)
2020年12月25日午後のスーパーの様子(筆者撮影)

ホールケーキは予約などで売り切れる一方で、カットケーキが大量に売れ残る傾向も見られた。

2020年12月24日20時過ぎ、閉店55分前、スーパーの中にあるケーキ専門店。ホールは4つのみ、だがカットケーキがまだ大量に(大田美月さん撮影)
2020年12月24日20時過ぎ、閉店55分前、スーパーの中にあるケーキ専門店。ホールは4つのみ、だがカットケーキがまだ大量に(大田美月さん撮影)

スーパーだけでなくコンビニも大量に残っていた

スーパーも3桁の残りがあったが、コンビニでも大量に残っていた。12月24日の21:30以降の時点でも、商品棚に大量のクリスマスケーキが残っていた。ただし、同じ企業で店舗の立地がすぐ近くでも、店舗によって大きな差が見られ、売り切ることを目指している様子が見られる店舗もあった。たとえばファミリーマートで、ある店舗では12月24日夕方に83個残っていて、すぐ近くの別のファミリーマートでは8個と、計画的に発注した様子が見られる店舗もあった。

2020年12月24日21:30、セブンイレブン(長谷拓海さん撮影)
2020年12月24日21:30、セブンイレブン(長谷拓海さん撮影)

コンビニは24時間営業なので閉店がないわけだが、21時30分以降の調査でも、かなりの数が残っており、多い店舗で54個、あるいは数えきれないぐらいの数があった。

2020年12月24日21:39、ファミリーマート(長谷拓海さん撮影)
2020年12月24日21:39、ファミリーマート(長谷拓海さん撮影)

コンビニは、全体的に棚に詰める数が多すぎる傾向にあったようだ。

2020年12月24日21:59、ローソン(長谷拓海さん撮影)
2020年12月24日21:59、ローソン(長谷拓海さん撮影)

また、お店の前に立ってお客を呼び込む販売もされていた。たとえばローソンでは、2019年に引き続き、2020年も、サンタクロース姿に扮装した男性と、もう一人の男性が店頭に立って呼び込みをする姿が見られた。

2020年12月25日19時ごろ、ローソンの店の前にテーブルを出して呼び込みをするサンタクロース姿の男性たち(筆者撮影)
2020年12月25日19時ごろ、ローソンの店の前にテーブルを出して呼び込みをするサンタクロース姿の男性たち(筆者撮影)

百貨店では閉店30分前で65個

百貨店では、12月24日、20時閉店の30分前に65個残っている店舗があった(樋口彩加さん調査による)。

一方、20時閉店前でロスがゼロという店舗もあった(中西真理子さん調査による)。20時閉店の20分前に21個、23分前に27個残っている店舗もあった(藤本理玖さん調査による)。

筆者も閉店30分前のデパ地下を調査したが、2019年と比べると、行列の人数が少なめだった。

2020年12月25日19時ごろ、閉店30分前のデパ地下に並ぶ人たち(筆者撮影)
2020年12月25日19時ごろ、閉店30分前のデパ地下に並ぶ人たち(筆者撮影)

2019年と比較して

2019年には31店舗の調査を実施した。当時と比較すると、まずデパ地下の人手は少なくなった。より「密」を避ける傾向にあったようだ。スーパー・コンビニとも、多く発注する店舗は相変わらず目立つが、店舗によっては抑え目にしているところも見られた。洋菓子店は、予約制にすることにより、ほぼ売れ残りをなくしているところもあった。ファミリーマートは「完全予約制」をうたっているが、店頭では多くの在庫を残している店舗もあった。ローソンは、余剰のクリスマスケーキをこども食堂や福祉施設に寄付する取り組みを実施しており、このような取り組みは他企業にも導入してほしい。

個人的に、12月26日と27日にもコンビニのケーキ売り場を廻ってみたところ、消費期限が残っているクリスマスケーキを売っている店舗もあった。食べられる限り売り尽くそうという姿勢が感じられ、好印象だった。2020年2月に完売店舗が多かった恵方巻きに比べると、クリスマスケーキの場合、12月25日夜21時以降にも余っている店舗が多く、完売店舗は少なかった。

調査にあたった大学生の感想

インターンの一橋大学経済学部3年の長谷拓海さんは、12月24日から25日の調査を経て、次のように語った。

主にコンビニを中心にさまざまな店を回りました。

特にコンビニに関して、加盟店によって取り扱うケーキの種類や個数が全く異なり興味深かったです。ケーキをほとんど置いていない店や種類の少ない店、様々な種類を少しずつ置いている店と、立地などの要因もあると思いますが、加盟店のオーナーや店長の方針も関係しているように感じました。

もともと廃棄費用は加盟店負担になるため、加盟店に廃棄を出すメリットはありません。そこに加えて、昨年(2019)頃から食品ロスについての社会的な関心の高まりもあり、本部が強い仕入れ要請を以前よりも控えるようになったとの話も聞きました。

発注を加盟店に任せているコンビニの仕組み上、本部の強い仕入れ要請さえなければ、廃棄費用を加盟店が負担することはむしろ廃棄削減に対してプラスに働くのではないでしょうか。

同じくインターンをしている法政大学人間環境学部3年 樋口彩加(さやか)さんは、次のように話した。

徒歩圏内にコンビニが何店舗もある中で、同じメーカーのクリスマスケーキが販売されておりそれらの売れていない商品の個数を合計するとかなりの数になると思いました。

調査途中で、夜にクリスマスケーキを見ている方もいましたが、特に買っている方の姿は見られず、余剰は少なくてもメリットの方が多いのではとも考えました。

また、商品の値下げは見栄えが悪いなど良くないイメージがありますが、食品ロスの関心が高まる中で値下げすると、値段の理由だけではなく廃棄を少なくしたいという理由で、逆に買いたくなるような人々の消費行動も出てきているのではと感じました。

今後も消費者の意識と経営層の仕組みづくりの両方から食品ロスを無くしていく必要があると思いました。

調査にご協力いただいたみなさま

阿部芹華さん

久保田日和さん

宮澤文香さん

小林真理子さん

富田大貴さん

松尾隼太郎さん

阿部順之亮さん

西脇光咲さん

平井亜由美さん

その他関係者の方々

ありがとうございました。

インターン生は下記3名

大田美月さん

長谷拓海さん

樋口彩加さん

参考情報

食品ロスで騒がれる2019年、クリスマスケーキの廃棄は減ったのか?31店舗の実態を調査した(井出留美、2020.12.28)

奈良女子大学食物学科卒、博士(栄養学/女子栄養大学大学院)、修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。ライオン、青年海外協力隊を経て日本ケロッグ広報室長等歴任。3.11食料支援で廃棄に衝撃を受け誕生日を冠した(株)office3.11設立。食品ロス削減推進法成立に協力した。Champions12.3メンバー。著書に『食料危機』『あるものでまかなう生活』『賞味期限のウソ』『捨てられる食べものたち』他。食品ロスを全国的に注目されるレベルまで引き上げたとして第二回食生活ジャーナリスト大賞食文化部門/Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2018/第一回食品ロス削減推進大賞消費者庁長官賞受賞。

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気候変動が深刻化し、SDGs(持続可能な開発目標)が注目されていますが、対応に悩む企業も多いです。著者は企業広報に14年半、NPO広報に3年従事の後、執筆や講演を通して食品ロス問題を全国に広め、数々の賞を受賞しました。SDGsが掲げる17目標のうち、貧困や飢餓、水・衛生、生産・消費など、多くの課題に関わる食品ロスの視点から、国内外の事例を紹介し、コスト削減や働き方改革も見据え、何から取り組むべきか考えます。

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