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日本一ラーメンを食べる市は?20年近く環境問題に取組み月3〜5万の経費節減と離職率減に繋げた天下一品

井出留美食品ロス問題ジャーナリスト・博士(栄養学)
長野県で食べた醤油ラーメン(筆者撮影)

ラーメンといえば、外食でも家で食べるのでも人気の食べ物だ。全国どこにでもラーメン店はあるし、日本全国どこでも中華麺やカップ麺は購入できる。はたしてどの都市が最も購入金額や購入量が多いのだろう。総務省統計局の家計調査(*)を調べてみた。

  • 総務省統計局の家計調査(二人以上の世帯)品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市(※)ランキング(平成27年(2015年)~29年(2017年)平均)※ 2010年4月1日現在で政令指定都市であった都道府県庁所在市以外の都市(川崎市,相模原市,浜松市,堺市及び北九州市)

中華麺を最も購入しているのは岩手県盛岡市、金額・量ともに全国トップ

まず、中華麺を購入する金額の上位10都市を見てみる。

1、盛岡市 5,561円

2、青森市 5,179円

3、山形市 4,847円

4、秋田市 4,738円

5、静岡市 4,602円

6、仙台市 4,497円

7、甲府市 4,466円

8、名古屋市4,369円

9、川崎市 4,314円

10、相模原市4,307円

(全国平均 3,937円)

1位は岩手県盛岡市。盛岡といえば、わんこそばや冷麺のイメージ。麺類に馴染みがあるようだ。

JR盛岡駅構内に展示されたキャラクター(筆者撮影)
JR盛岡駅構内に展示されたキャラクター(筆者撮影)

これを数量(g:グラム)で見てみると、次のようになっている。

1、盛岡市 11,513g

2、青森市 10,688g

3、山形市 10,366g

4、那覇市  9,954g

5、札幌市  9,414g

6、和歌山市 9,400g

7、富山市  9,330g

8、相模原市 9,322g

9、名古屋市 9,300g

10、川崎市  9,267g

(全国平均 8,605g)

金額のランキングには入っていなかった那覇市、札幌市、和歌山市、富山市が入ってきている。上位3位は変わりなしで、1位が盛岡、2位が青森、3位が山形。

カップ麺では金額・量ともに青森市が1位

ランキング表は割愛するが、カップ麺で見てみると、中華麺で2位だった青森市が、金額・量ともに1位になる。

青森市の講演会場にあった展示(筆者撮影)
青森市の講演会場にあった展示(筆者撮影)

外食「中華そば」のトップは山形市

では外食の「中華そば」ではどうか?

1、山形市 16,318円

2、新潟市 11,707円

3、福島市 11,188円

4、宇都宮市11,150円

5、盛岡市 10,549円

6、福井市  9,881円

7、仙台市 9,262円

8、秋田市 8,878円

9、甲府市 8,548円

10、水戸市 8,507円

(全国平均 6,039円)

1位は山形市となった。先ほど中華麺の消費金額・量では、山形市は3位。

家庭用の中華麺と外食の中華そば、どちらのランキングでも、比較的上位にいるのは東北地方や北陸地方の都市が多い傾向にあるようだ。

福島市・土湯温泉のキャラクター「きぼっこちゃん」(筆者撮影)
福島市・土湯温泉のキャラクター「きぼっこちゃん」(筆者撮影)

ラーメン店厨房で行う節水・省エネと排水量の軽減

家庭用中華麺でも、外食の中華そばでもランクインしているのが、宮城県仙台市。

ここでラーメン店「天下一品」を3店舗運営しているのが株式会社こむらさきだ。

こむらさきは、2002年から、厨房に油と水とを分離する設備を導入し、ラーメンのスープの脂分を取り除いて、排水に油が出るのを防ぐ取り組みを20年近く続けている。

株式会社こむらさきの節水・省エネと排水量軽減(株式会社こむらさきHPより)
株式会社こむらさきの節水・省エネと排水量軽減(株式会社こむらさきHPより)

月3〜5万円の経費節減とスタッフの離職率減を達成した

こむらさきの取組みは、主に次の3つのメリットがある。

1、30%の節水と洗剤量50%削減

大都技研製のエコシンクを使うことで、衛生的かつ排水の汚れが少なくなる。効率的に洗えることで30%の節水(排水量30%削減)と、洗剤の使用量50%削減、スタッフの手荒れが軽減した。

2、油分を年間5.5トン回収しリサイクル、月3〜5万円の経費節減

大都技研製の「グリスエコ」を設置することで、油分を軽減し、業者による「グリーストラップ」汲み取りや高圧洗浄を減らすことができた。これにより、月に3万円から5万円の経費削減になった。

また、残飯やスープの残りから油分を年間5.5トン回収し、リサイクル資源に替えた。

3、使用水量11%削減・ガス使用量19%減

ホシザキ製の「省エネ型食器洗浄機」を取り入れることで、使う水量を11%減らし、ガスも19%減らした。また、食洗機で使う洗剤量も50%減らすことができた。

以上、多くのメリットが生まれた。

株式会社こむらさきのこの取組みは、平成26年度の農林水産省補助事業 食品ロス削減等総合対策事業である「第二回食品産業もったいない大賞」の審査委員会委員長賞を受賞している。

筆者も開催された授賞式に出席し、株式会社こむらさきの代表取締役、千田洋子様が発表なさったプレゼンテーションを聴いていた。

後列、右から2番目が、株式会社こむらさきの代表取締役、千田洋子様(筆者撮影)
後列、右から2番目が、株式会社こむらさきの代表取締役、千田洋子様(筆者撮影)

東北・北陸地方など寒冷地でラーメン店を営む方はぜひ参考に

東北や北陸地方では気温が低いため、ラーメンのスープに含まれる油分は固まりやすい。それが、排水管の詰まりや下水道管の閉塞に繋がってしまう。

環境問題に負荷をかけるのはもちろん、清掃の負担は店舗経営のコストや離職率の増加にもなり得る。

前述の、外食「中華そば」ランキングでは、東北地方や北陸地方の都市が10位中、7都市入っていた。

寒い地域でラーメン店を営む方は、株式会社こむらさきの取り組みを、ぜひ参考にして頂ければと思う。

食品ロス問題ジャーナリスト・博士(栄養学)

奈良女子大学食物学科卒、博士(栄養学/女子栄養大学大学院)、修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。ライオン、青年海外協力隊を経て日本ケロッグ広報室長等歴任。3.11食料支援で廃棄に衝撃を受け、誕生日を冠した(株)office3.11設立。食品ロス削減推進法成立に協力した。著書に『食料危機』『あるものでまかなう生活』『賞味期限のウソ』『捨てないパン屋の挑戦』他。食品ロスを全国的に注目させたとして食生活ジャーナリスト大賞食文化部門/Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2018/食品ロス削減推進大賞消費者庁長官賞受賞。https://iderumi.theletter.jp/about

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