イタリアでは生卵に砂糖を入れて食べる習慣がある!?

(ペイレスイメージズ/アフロ)

2018年10月1日から11日までイタリアを取材して、記事「ビュッフェの残りをなぜ寄付できるか イタリア食品ロス削減の最前線」を書いた。

取材の際、トリノ発祥のスーパーマーケットであるイータリーを訪問したところ、卵が販売されていた。

イタリアのイータリーで販売されていた卵(筆者撮影)
イタリアのイータリーで販売されていた卵(筆者撮影)

取材に同行してくれた、ERICA社の女性職員、Giada Fenocchio(ジャーダ)さんに、「日本では卵を生で食べることがあります」と話したところ、「イタリアでも生で食べる風習があるんですよ」と言われた。

左がGiada Fenocchio(ジャーダ)さん、右が筆者。イタリア・パルマのバリラ社にて、カメラマンFrancesca Nota氏撮影
左がGiada Fenocchio(ジャーダ)さん、右が筆者。イタリア・パルマのバリラ社にて、カメラマンFrancesca Nota氏撮影

滋養をとる目的で子どもが砂糖やココアを混ぜて食べる

「どんなふうにして食べるのですか?」と聞くと、小さい子どもが滋養をとる(身体の栄養になるものを摂取する)目的で、砂糖やココアを混ぜて食べるのだという。

え?甘くするんですか?と驚いた。

取材に同行してくれていたもう一人の女性スタッフ、Giulia Tesio(ジュリア)さんも、横から「そうそう」と会話に加わる。

Giulia Tesio(ジュリア)さん(右手前から3人目)。イタリア・ボローニャ大学で、カメラマンFrancesca Nota氏撮影
Giulia Tesio(ジュリア)さん(右手前から3人目)。イタリア・ボローニャ大学で、カメラマンFrancesca Nota氏撮影

ただし、大人は食べない、という。「子どもの時に食べたよねー」と、ジャーダさんとジュリアさんが意気投合していた。

小学生以上の子どもが砂糖や牛乳を入れて食べる

帰国してから、日本語の話せるイタリア人女性、RITA(リタ)さんに、再度、確認してみた。

彼女も小さい頃、生卵をかき混ぜて、砂糖や牛乳を加えたものを食べたという。

「でも、生のものって、免疫力の弱い子どもが食べても大丈夫なんですか?」と聞いたところ、乳児などの小さい子どもではなく、小学生以上の子どもが食べる、とのこと。

イタリア・トリノで売られていた卵の売り場。「BIO(平飼い)」という表記が読める(筆者撮影)
イタリア・トリノで売られていた卵の売り場。「BIO(平飼い)」という表記が読める(筆者撮影)

イタリアの最大手食品企業バリラ社では鶏(にわとり)に負担をかけない飼い方を重視

イタリアの最大手食品企業であるバリラ社では、鶏舎(にわとり小屋)ではなく、開放的な農場で飼っている鶏(にわとり)の卵を主に使っている。その割合は、卵全体の使用量のうち、実に94%を占める。このことは、バリラ社の公式サイトで公開している。

日本の食品関連企業の公式サイトでは、「安全性に留意している」という対策は見るが、卵を産み出す鶏(にわとり)への負担を少なくする対策を目にすることは、まだ少ない。

イタリア最大手食品企業、バリラ社の公式サイトでは、開放的な飼い方をしている鶏(にわとり)から生まれた卵を使っている割合が94%、とうたっている(バリラ社の公式サイトより、筆者撮影)
イタリア最大手食品企業、バリラ社の公式サイトでは、開放的な飼い方をしている鶏(にわとり)から生まれた卵を使っている割合が94%、とうたっている(バリラ社の公式サイトより、筆者撮影)

イタリア・ミラノのCOOPでは鶏(にわとり)の飼い方についてもポスターで紹介

鶏(にわとり)に負担をかけないことを重視しているのは食品メーカーだけではない。小売店である、イタリア・ミラノのCOOPでも、薬品などを使わずに鶏(にわとり)を飼っていることを広報する目的のポスターが掲示されていた。

イタリア・ミラノのCOOPの店内に貼られていたポスター。鶏(にわとり)の飼い方について広報している(筆者撮影)
イタリア・ミラノのCOOPの店内に貼られていたポスター。鶏(にわとり)の飼い方について広報している(筆者撮影)

鶏(にわとり)が24時間以上かけて産み出した卵

日本では、レストランなど法人向けに販売する卵の場合、夏は16日以内、冬は58日以内などと、季節によって賞味期限を変えている。

しかし、われわれ一般人がスーパーやコンビニなどで購入する卵は、賞味期限は一律2週間だ。産卵から7日以内にパックされ、パックされた日から2週間と決まっている。しかしこれは、「夏場に生で食べられるのが2週間」という、最も過酷な条件に合わせて設定されたものだ。火を通せば十分に食べられるにもかかわらず、かなり前の日付で賞味期限が設定されている、ということになる。

夏と冬で生で食べられる期間を青い棒グラフで示した(日本卵業協会の情報より)。産卵から7日以内にパックされ(黒線)そこから2週間(赤線)で賞味期限が設定されている。しかし、実際は、茹でたり焼いたり、火を通せば十分食べられる(日本卵業協会の情報を元に筆者作成)
夏と冬で生で食べられる期間を青い棒グラフで示した(日本卵業協会の情報より)。産卵から7日以内にパックされ(黒線)そこから2週間(赤線)で賞味期限が設定されている。しかし、実際は、茹でたり焼いたり、火を通せば十分食べられる(日本卵業協会の情報を元に筆者作成)

市販されている卵のパックの表示を見ると、「賞味期限が過ぎたらすぐ捨てなさい」とは書いていない。「加熱調理するなどしてお早めにお召し上がりください」と書いてあるはずだ。

実際には、このことを知らずに廃棄され、多くの卵が食品ロス(フードロス)になっているのではないかと推察される。

イタリアでは20日以上の賞味期間が設定されていた

イタリアで流通する卵の表示を解読するサイトによれば、2018年10月5日にイータリーで販売されていた、筆者が目にした卵の賞味期限は10月24日。この時点でもまだ、20日間の賞味期間がある。

イタリア・イータリーで販売されていた卵(筆者撮影)
イタリア・イータリーで販売されていた卵(筆者撮影)

鶏(にわとり)は、24時間以上かけて、1個の卵を生み出す。無理に、でなくて構わないので、最後まで、ちゃんと食べてあげたい。