地震、その時に。電気・ガス・水道が止まっても開けてすぐ飲食でき食品ロスが少ない3つの食品に注目

(写真:アフロ)

2018年6月18日午前7時58分、大阪府北部で震度6弱の地震が発生した。筆者は、ちょうど1週間前の6月10日から11日にかけて、大阪府枚方(まいかた、ではなく、ひらかた)市での食品ロスに関する講演のため、今回の被災地域に出張していた。宿泊したのは大阪府寝屋川市。6月10日朝に新幹線で移動する時は、新幹線内での殺傷事件が起こってからまだ半日も経っていない時だった。事件・事故や自然災害とは隣り合わせで、いつ自分に降りかかっても不思議ではないことを痛感する。被災された方に心よりお見舞い申し上げたい。

JR大阪駅から行列して歩く通勤客の方々の映像を報道で見た。2011年3月11日、東日本大震災の時のようだった。筆者は3月11日当日17時30分過ぎごろ、東京都のJR品川駅からJR新橋駅まで歩き、その後、知人に自転車を借りて自転車に乗り、途中で運転再開した電車に乗り換えて帰宅した。

悲しいことに、今回の震災で亡くなった方が4名いらっしゃった(6月19日午前7時34分現在)。大阪府高槻市で建築基準法に適合していないブロック塀の下敷きになって亡くなった女児のケースは、震災がきっかけとは言え「人災」の要素がある。

被災地域のスーパーやコンビニでは買い占めにより品切れが起こっている。余震もある。6月17日には関東地方でも地震が起こった。地震の時、できる限り食品ロスを発生させないためにはどうしたらいいのだろう。また、どのような食品を備蓄しておくのがよいのだろう。

ライフライン(電気・ガス・水道)が止まっても飲食できるものを用意しておく

3つ挙げるとすれば、1つは缶詰だ。

1、缶詰

缶詰は、製造から約3年間の賞味期間がある。理論的には半永久的に保存でき、食品ロスになりづらい。電気・ガス・水道などのライフラインが止まっていても、手で開けられるような方式の缶詰であれば、あるいは缶切りさえあれば、開けてすぐに食べることができる。

京都の株式会社カンブライトは、魚介類をはじめとした缶詰を提供している。筆者は缶詰作り体験で、タコ飯の缶詰を製造した。

京都・株式会社カンブライトで作ったタコ飯(筆者撮影)
京都・株式会社カンブライトで作ったタコ飯(筆者撮影)

地震が発生すると、製パン会社やスーパー・コンビニなどから、菓子パンやおにぎりの寄付が多くある。とはいえ、発災(震災の発生)直後に受け取ることはできない。カップ麺は、お湯がないと調理できない。そのまま食べられるのがパンの缶詰だ。乾パンは備蓄食品としてよく知られている。咀嚼(そしゃく)力、つまり噛む力がある人なら食べられるが、年配の方などは噛むことのできない場合がある。パンの缶詰は、柔らかい。開けてすぐ食べることができるし、賞味期間が約3年間ある。

栃木県のパン・アキモトが製造する備蓄用パンの缶詰は、賞味期間が37ヶ月ある。筆者は製造して2年以上経つパンの缶詰を試食したが、香りがよく、食感も柔らかくて食べやすかった。

パン・アキモトのパンの缶詰は37ヶ月間の賞味期間がある(写真:パン・アキモト提供)
パン・アキモトのパンの缶詰は37ヶ月間の賞味期間がある(写真:パン・アキモト提供)

震災時の寄付食品は、炭水化物を多く含む食品が多くなる。前述のような、おにぎりや菓子パン、カップ麺など。発災直後はエネルギー供給のために炭水化物は必要だが、1週間近くそれが続くと、口内炎や皮膚炎など、体に不調が出てくる。ビタミンやミネラルなどの微量栄養素が不足するためだ。

また、たんぱく質も不足しがちだ。実際、東日本大震災の時、宮城県石巻市で避難していた知り合いの大学学長は、タンパク質の摂取が不足し、かつ、運動量が少なかったため、大学の階段を上がる時に筋肉の衰えを実感したという。

そんな時、役に立つのが、魚の缶詰や豆類の缶詰だ。タンパク質が摂取でき、かつ、ビタミン・ミネラルを(一部だが)含んでいる。

シロップに浸かっている桃などの果物の缶詰も助かる。生の果物は食べられないことが多いからだ。適度に糖分を摂取することができる。

フランスのフードバンクに寄付された魚の缶詰。JSPS科研費15K07627「食品ロスの測定を通じた食料需給システムの効率性と環境負荷に関する国際比較」(代表 小林富雄)に参加し、筆者撮影
フランスのフードバンクに寄付された魚の缶詰。JSPS科研費15K07627「食品ロスの測定を通じた食料需給システムの効率性と環境負荷に関する国際比較」(代表 小林富雄)に参加し、筆者撮影

2、シリアル

2番目がグラノラやコーンフレークなどのシリアルだ。シリアルは、基本的に賞味期間が1年間ある。ドライフルーツの入ったものは10ヶ月などと、比較的長い。筆者はシリアルの製造会社に勤めていた2004年、新潟県中越沖地震の被災地にシリアルを寄付した。のちに被災者の方からお礼の電話を頂いた。「電気もガスも水道も止まっていた時、開けてすぐ食べられて、栄養バランスも取れているのですごく助かった。今後は災害食として売るといいと思う」とのことだった。

シリアルの中でも、食物繊維を含むブラン(小麦ふすまを使ったもの)を取り入れるとなおよい。避難時にはビタミン・ミネラルに加えて食物繊維の摂取も不足しがちだからだ。

バータイプになっているものを選んでもよい。が、固めて成型するためには、必ず油類を使っているので、案外、脂質の含有量が多い。あまりに摂取し過ぎると、脂質の過剰摂取に繋がる可能性もある。

JSPS科研費15K07627 イギリスのカンパニーショップで販売されているシリアル。「食品ロスの測定を通じた食料需給システムの効率性と環境負荷に関する国際比較」(代表 小林富雄)に参加し、筆者撮影
JSPS科研費15K07627 イギリスのカンパニーショップで販売されているシリアル。「食品ロスの測定を通じた食料需給システムの効率性と環境負荷に関する国際比較」(代表 小林富雄)に参加し、筆者撮影

3、飲料水や野菜ジュース

3番目が飲料水と野菜ジュースだ。災害時は前述の通り、どうしてもビタミン・ミネラルや食物繊維が不足する。野菜そのものを食べられれば理想だが、そうはいかないケースも多い。そんな時、常温で保存できる野菜ジュースは便利だ。

前述の通り、魚の缶詰はお勧めだが、製品によっては塩分が多いものもある。味噌煮よりは水煮の方が塩分が少なめだ。身体の中の余分な塩分を排出するには、野菜(特にきゅうりなどのウリ類)に含まれるカリウムを摂取するとよい。

限られた資源を食品ロスにしないために

災害時は食品の不足が起こる。限られた食べ物を食品ロスにしないために、どのようなことに気をつければいいか。

1、暑い時期は傷みやすいものを避ける

1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災や、2011年3月11日に発生した東日本大震災、2016年4月14日及び16日に発生した熊本地方の地震は、いずれも梅雨や夏の時期ではなかった。だが、今回は、すでに梅雨入りしている。気温が高いだけでなく、湿度も高く、食中毒が発生しやすい時期だ。

先日、おにぎりを手で握った方がよいのか悪いのかの議論があった。手で握ったおにぎりは、いうまでもなく傷みやすい。生ものはもちろん、水分を多く含んでいる食品は要注意だ。被災している時は免疫力も落ちやすく、食中毒になりやすい。火が使えるなら加熱することで殺菌することができるが、そうでない場合は、傷みやすいものの提供や摂食は、安全性が担保できない場合、できる限り避けたい。免疫力の低い小さなお子さんや年配の方は特に配慮してあげたい。

弁当やおにぎり、惣菜などは日持ちしないので要注意。保管する時には高温多湿の場所を避ける(筆者撮影)
弁当やおにぎり、惣菜などは日持ちしないので要注意。保管する時には高温多湿の場所を避ける(筆者撮影)

2、個人レベルで寄付を募って被災地に送ることは避ける

熊本地震の時、個人レベルで「食品を寄付してください」と集め、送った時にはすでに被災地が復興していた・・・というケースがあった。津波の被害を受け広範囲が被災した東日本大震災と比較し、熊本では津波の大きな被害がなかったためだ。食品が余ってしまうと、賞味期間が短ければ短いほど、それはロスになる。需要と供給のバランスが崩れ、のちに熊本では支援物資がだぶついて困ったということを関係者(行政)から聞いている。東日本大震災の時も、被災地から筆者の勤めていたフードバンク宛に「これ、要らないんですけど使いますか」と食品が送られてきたことがあった。災害時には政府と食品企業がすぐに動き、大規模な食品支援が行われる。

個人からの支援物資の仕分けをする筆者(2011年4月、知人撮影)
個人からの支援物資の仕分けをする筆者(2011年4月、知人撮影)

3、支援物資の配布は臨機応変に

東日本大震災の時は、持ってきた支援物資の数が避難所の人数に若干足りないため、「平等でないから配らない」ことがあり、後日、それが傷んでダメになってしまったことがあった。小さなお子さんや年配の方など、食の細い人もいるので、杓子定規に「平等」に配る必要はない。受け取る側も、緊急時だからこそ神経が苛立つかもしれないが、大変な業務を司る行政の方のご苦労も察してあげたい。

宮城県石巻市の石巻専修大学で勤務先から支援物資を運び降ろす筆者(2011年4月、知人撮影)
宮城県石巻市の石巻専修大学で勤務先から支援物資を運び降ろす筆者(2011年4月、知人撮影)

以上、これから備蓄するには

1、缶詰

2、シリアル

3、飲料水や野菜ジュース

を準備しておくとよいと思う。

つたない内容だが、新たな自然災害の発生に備えて、少しでも役に立てばと願っている。