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普通のクルマでも使える! 春のアウトドアで車中泊や外遊びに便利な注目グッズ3選

平塚直樹自動車ライター
普通のクルマでも外遊びで便利なグッズを紹介(筆者撮影)

キャンピングカーでなくても取り付け可能な最新グッズ

昨今のアウトドア・ブームにより、車中泊やキャンプなどに便利なキャンピングカーにも注目が集まっています。ただし、中には、本格的なキャンピングカーに興味はあるけれど、高価だったり、大きさが気になり運転することに自信がないなどで、ミニバンやSUVなど普通のクルマで出かける層も多いようです。

そんなノーマル車でキャンプなどに出かけるユーザーでも、アウトドアでの利便性が高く、快適に外遊びや車中泊が楽しめるグッズもあります。最新キャンピングカーや関連用品の一大展示会「ジャパンキャンピングカーショー2022」(2022年2月10日〜2月13日・千葉県・幕張メッセ)では、そんな数多くの製品が出展されていました。ここでは、それらの中でも、特に注目のグッズをピックアップしてご紹介しましょう。

野外から屋内まで気軽に使えるポータブル電源

まずは、ポータブル電源。一般的にキャンピングカーには、メインのバッテリーのほかに、キャンプ場などでエンジンを停止中でも、車内で冷蔵庫や電子レンジなどの家庭用電気製品(以下、家電)が使えるサブバッテリーを搭載しています。

一方、普通のクルマには、そうした装備はありません。従来からあるガソリンエンジンを搭載したポータブル発電機を使えば、クルマにも積載でき、出先で電源を使うことは可能です。ただし、夜間にキャンプ場などで使用する場合はエンジン音が迷惑になることも。また、排ガスが出るため車内では使えません。

SABUMA(サブマ)・S2200。フル充電でスマートフォン190回、168L冷蔵庫59時間、電子レンジが連続2.8時間、炊飯器なら154時間の連続保温が可能など、多様な家電が長時間使える(筆者撮影)
SABUMA(サブマ)・S2200。フル充電でスマートフォン190回、168L冷蔵庫59時間、電子レンジが連続2.8時間、炊飯器なら154時間の連続保温が可能など、多様な家電が長時間使える(筆者撮影)

そこで、最近注目を集めているのが、家庭用コンセントなどで充電できるバッテリーを搭載し、排ガスも出ないためエコ、持ち運びも可能なポータブル電源です。今回の展示会では、その最新モデル「SABUMA(サブマ)・S2200」が出展されていました。

中国のメーカー「Shenzhen Wooyuan Technology Co.,Ltd.」が製造し、正規代理店「アピロス」が輸入販売するのがこのモデル。大きな特徴は、2258Whの大容量バッテリーを採用しながらも、コンパクトなサイズで場所を選ばず使えることです。

サイズは、幅200mm×奥行き430mm×高さ300mmですから、クルマの荷室などに積載しても邪魔になりません。しかも、瞬間最大出力4000W(定格出力2000W)を誇るため、スマートフォンから冷蔵庫、炊飯器や電子レンジ、IHコンロなど、ほぼすべての家電が利用できます。

加えて、重量も20kgと軽量ですから、持ち運びしやすいこともメリット。キャンプ場で電気調理器具を使用する際、車中泊時に車内で電気ブランケットなどの電源として使えるなど、さまざまな用途に便利です。

また、レジャー以外でも、例えば、DIY用の電動工具や洗車用の高圧洗浄機などの電源にも使えるなど、いろんなところで、いろんなものに対応します。

災害時の電源としても使用可能

さらに、大容量かつ軽量といった特徴により、停電や災害の時に、家のなかでも家電が使え、ライフラインを確保することも可能です。近年、ポータブル電源が注目されている背景には、レジャーだけでなく、こうした「まさかの時の備え」としても使えることが大きな要因といえるでしょう。

充電は、付属の電源ケーブルを家庭用100Vコンセントに繋ぐだけ。大きなAC/DCアダプターは不要です。また、独自のデュアルコンバーター技術により、フル充電まで2.5時間という短時間での急速充電が可能。車載シガーソケットやソーラーパネルからも充電可能なため、出先で残量がなくなっても安心です。

サブマ・S2200にはオプションでソーラーパネルも用意(筆者撮影)
サブマ・S2200にはオプションでソーラーパネルも用意(筆者撮影)

加えて、電気自動車にも採用されているBMS(バッテリーマネジメントシステム)用ICチップを採用。バッテリーを常に安全な状態で使用できるように監視・制御することで、過充電や過放電などのバッテリー劣化を防ぐとともに、発火や感電なども防ぎます。

ちなみに、このモデルは、クラウドファンディングのMakuake(マクアケ)で2022年2月27日まで先行予約受付のキャンペーンを実施。目標金額1000万円に対し、5481万4859円と大幅アップの達成金額を実現しています。

キャンペーンでは、元々の希望小売価格(税込)26万9500円に対し、数量限定ではあるものの28%オフなどのディスカウントを実施。比較的安く購入できたことも成功の要因でしょうが、目標額の5倍以上を達成したことを考えると、製品の注目度が高かったことも大きいのでしょう。一般販売に関する正式アナウンスはまだありませんが、アウトドア派にはちょっと気になるアイテムのひとつだといえます。

こうしたポータブル電源では、ほかにも米国のメーカー「Jackery(ジャクリ)」製も有名。今回の展示会でも、キャンピングカーながら、やはり災害時にも対応するということで、サブバッテリーの代わりに搭載しているキャンピングカーメーカーも幾つかありました。

普通のクルマからキャンピングカーにも使えることで、ポータブル電源は、今後、ちょっとしたトレンドになりそうな予感がします。

キャンピングカーメーカー「マリナRV」では、スズキの軽ワンボックスカー「エブリイワゴン」をベースにした車中泊仕様「キャビンⅡミニ」にJackery製ポータブル電源を搭載(筆者撮影)
キャンピングカーメーカー「マリナRV」では、スズキの軽ワンボックスカー「エブリイワゴン」をベースにした車中泊仕様「キャビンⅡミニ」にJackery製ポータブル電源を搭載(筆者撮影)

マリナRVのキャビンⅡミニに搭載されたJackery製ポータブル電源。持ち運べるため、レジャーだけでなく、災害時にも役立つ(筆者撮影)
マリナRVのキャビンⅡミニに搭載されたJackery製ポータブル電源。持ち運べるため、レジャーだけでなく、災害時にも役立つ(筆者撮影)

自分で組み立て可能なベッド

近年流行している1人キャンプ、いわゆるソロキャンプなどに使うクルマとして、バンタイプの軽自動車にも注目が集まっています。主にスズキの「エブリイ」やダイハツ「アトレー」、ホンダの「N-VAN」などが代表格です。

なかでも、N-VANは、2列目シートだけでなく、助手席も背もたれを前に倒すと広々とした荷室となるため、車中泊仕様としても使い勝手が満点。また、その高いユーティリティ性の高さにより、キャンピングカーのベース車両としても人気で、今回の展示会でも、さまざまなメーカーが、N-VANのデモカーを出展していました。

そんなN-VAN向けに、車体を加工することなく、手軽にDIYで取り付けできるベッドキットが「N-VANイージーコンフォート・ベッドキット」。出展したのは、香川県を拠点とするキャンピングカーメーカー「岡モータース」です。

N-VANイージーコンフォート・ベッドキットを装備した岡モータースのデモカー(筆者撮影)
N-VANイージーコンフォート・ベッドキットを装備した岡モータースのデモカー(筆者撮影)

このベッドキットには、長さ1830mm×幅595mm、クッション厚45mmのマットを使用。傷に強く、汚れが付着しにくいエンボスブラックレザーの生地を使っています。

特徴は、3段階の高さ調整ができること。フロアからベッド下までの高さを645mmに設置できるローポジション、815mmの高さになるハイポジション、915mmの高さになるスーパーハイポジションを設定します。

ローポジションは天井にゆとりを持たせる設定。ハイポジションにすれば、ベッド下にたくさんの荷物を積載できます。スーパーハイポジションの場合、天井との間に余裕がないため就寝はできませんが、ベッドマットに荷物などを置いて、ベッド下をくつろぎの空間にすることができます。

クッション厚45mmのベッドマットで快適な就寝が可能(筆者撮影)
クッション厚45mmのベッドマットで快適な就寝が可能(筆者撮影)

取り付けに必要な工具は、ドライバーだけ。専用ステーを車体後部に元々ある穴にネジ止めするときに使います。あとはすべて手作業ででき、特殊な工具はもちろん、加工も一切不要です。

取り付けは、まず、車体に元々あるネジ穴を利用し、専用ステーをネジ止めして固定する(筆者撮影)
取り付けは、まず、車体に元々あるネジ穴を利用し、専用ステーをネジ止めして固定する(筆者撮影)

価格(税込)は、ベッドマット1つのシングルタイプが13万7500円、ベッドマット2つのツインタイプ(幅595mm×2)が26万4000円。このベッドキットなら、不要なときには取り外して、普段の買い物や仕事など、車中泊以外の用途にもクルマを使うことが可能ですし、価格も比較的リーズナブルでいいですね。

なお、岡モータースでは、このキットを現在、特許出願中だそうです。

オプションのベッド補助脚(税込2万2000円)を装着した例(筆者撮影)
オプションのベッド補助脚(税込2万2000円)を装着した例(筆者撮影)

さまざまなオプションを用意し、多用なアレンジが可能(筆者撮影)
さまざまなオプションを用意し、多用なアレンジが可能(筆者撮影)

屋根に設置するだけのルーフテント

クルマの屋根に積載することで、停車中などに就寝スペースとなる「ルーフテント」も、近年注目のアイテム。クルマの屋根にルーフキャリアなどのベースマウントを取り付け、その上に固定するだけで、車体に大きな加工などを施さなくても、手軽に装着できることが人気の秘密です。

オートホームを扱うジファージャパンのブース(筆者撮影)
オートホームを扱うジファージャパンのブース(筆者撮影)

しかも、折りたためば、ルーフボックスのような形のケース内へ収納することが可能。走行中に風などで倒れるなどの心配も不要で、スタイル的にもオフロード感を加味することができることも魅力です。

そんなルーフテントは、現在、国内外のメーカーからさまざまなモデルが発売されていますが、今回の展示会では、イタリアのメーカー「オートホーム」の製品を、日本総代理店「ジファージャパン」が展示していました。

オートホームのエアトップ(筆者撮影)
オートホームのエアトップ(筆者撮影)

オートホームは、1958年に、世界で初めてルーフテントを開発したといわれる老舗中の老舗メーカー。その製品群は、世界中の冒険家や探検家、旅人などから、野外泊に欠かせない道具として60年以上に渡り支持されています。

なかでも、今回注目だったのは、テント上部にシェル部(上蓋)を装備した「エアトップ」。同社には、展開するとロッジ型テントになるタイプなど数多くの種類がありますが、このモデルの場合は、上方へ垂直展開することで、広大な室内空間を確保できるのが特徴です。

しかも、テントを開く際には、ガス圧ダンパーを使うため、スピーディなテント設営が可能。収納時も、シェル部を押し下げてロックするだけですから、とっても楽に片付けられます。

高い剛性を誇るFRP製のシェルは、すべてベテラン職人による手作りで、とってもスタイリッシュなことも魅力。また、洗浄もクルマのボディに使用するカーシャンプ、ワックスが使え、特別な洗剤などは一切不要。断熱性にも優れるため、夏の暑さや冬の寒さからテント内を守る効果があるなど、いいことずくめです。

また、テント生地には、ドイツの「バイエル」社が製造する素材ドラロンを使用。撥水性、防風性に優れていながら、通気性も兼ね備えることで、夏から冬までテント内で快適にすごすことができます。

エアトップのテント内(筆者撮影)
エアトップのテント内(筆者撮影)

加えて、取り付けシステムには、独自の「ユニバーサル・マウントシステム」を採用。市販のシステムキャリア(ベースキャリア)が使えるので汎用性が高く、車体への加工も不要です。取り付け位置も、70cm〜140cmの間(テント型は70cm〜90cm)であれば、好きな場所に固定でき、小型車からステーションワゴン、ワンボックスカーやピックアップトラックなど、幅広い車種に対応します。

ラインナップと価格(税込)は、大人2名が就寝できる「カップル」サイズが44万円、大人2名と子ども1名が就寝可能な「ミディアム」サイズが47万8500円です。

2022年3月7日一部修正

2022年3月12日一部修正

自動車ライター

自動車系出版社3社を渡り歩き、自動車、バイクなどの専門雑誌やウェブメディアの編集者を経てフリーランスとなる。自動運転や自動車部品、ITなどのテクノロジー分野から、クルマやバイクにまつわる身近な話題、キャンピングカーや福祉車両など、幅広い分野の記事を手掛ける。一般人目線の「分かりやすい文章」を信条に日々奮闘中。

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