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福島・宮城で震度6強 15日(月)は大雨・暴風による土砂災害に注意を

平野貴久気象解説者/気象予報士/防災士/ウェザーマップ所属
2月13日午後11時07分に発生した地震の震度分布(気象庁ホームページより)

 2月13日午後11時07分、福島県沖を震源とするマグニチュード7.3の地震が発生しました。この地震によって、福島県と宮城県では最大震度6強を観測し、家屋が倒壊したり、土砂崩れが発生するなどの被害が相次ぎました。まず、今回の地震で被害に遭われた方々に、心よりお見舞い申し上げます。

東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)の余震とみられる

 気象庁によると、今回の地震は、10年前の2011年3月11日に発生した「東日本大震災」(東北地方太平洋沖地震)の余震とみられています。東日本大震災は、マグニチュード9.0という、世界でも稀な超巨大地震でした。そのため、余震活動も長期に及び、10年経った今でも、余震が起き続けている状況です。

 今回の地震では、最大震度6強を観測していますが、東北地方で震度6強を観測したのは、震災発生直後の2011年4月7日以来となります。私は震災発生1年後の2012年4月から宮城県に住んでいますが、その9年間の中では、今回の地震は、間違いなく一番揺れの大きい地震でした。

太平洋プレート内で起きた地震

 今回の地震は、マグニチュード7.3という規模の大きな地震でしたが、津波の警報などは発表されませんでした(若干の海面変動の可能性あり)。これは、震源の深さが55kmと深かったことと、プレート境界ではなく、沈み込む太平洋プレート内で起きた地震であったことが理由とみられています。

土砂災害警戒情報の発表基準引き下げ

 ここまでは地震の概要でしたが、ここからは気象に関係する話です。

 今回の地震を受けて、気象庁は、福島県、宮城県、栃木県の揺れの大きかった地域を対象に、土砂災害警戒情報の発表基準を、通常の7割~8割に引き下げる措置を取りました。地震によって、至る所で土砂崩れが発生していることからもわかるように、地盤が緩くなっているためです。これは、通常より少ない雨量でも、土砂災害が発生するおそれが高まることを意味しています。また、大雨警報・注意報に関しても、同様の措置が取られています。(気象庁ホームページ「令和3年2月13日23時08分頃の福島県沖の地震に伴う土砂災害警戒情報発表基準の暫定的な運用について」)

15日(月)は大雨・暴風のおそれ 土砂災害に注意

 タイミングが悪く、15日(月)は、東北地方の太平洋側を中心に、大雨のおそれがあります。原因は、急速に発達しながら三陸沖を北上していく低気圧です。この影響で、広い範囲で雨が降り、低気圧が最も接近する15日午後は、雨が強まる見込みです。局地的には1時間に30ミリの激しい雨が降り、24時間の雨量は80ミリ前後に達する可能性があります。極端な大雨というわけではないものの、地震の影響で崩れやすくなっている斜面などでは、土砂災害の危険が普段より高まることが予想されます。また、山沿いでも雪ではなく雨が降るため、雪解けが進んで、なだれの危険も高まります。

 さらに、風も強まり、瞬間的には30メートル前後の暴風が吹き荒れるおそれがあります。これも、脆くなった斜面に影響する可能性があります。

 土砂災害の危険がある区域には、むやみに近づかないよう、お願いします。

15日(月)午前9時の予想天気図(ウェザーマップ提供)
15日(月)午前9時の予想天気図(ウェザーマップ提供)

16日(火)午前9時の予想天気図(ウェザーマップ提供)
16日(火)午前9時の予想天気図(ウェザーマップ提供)

15日(月)午後4時の雨と風の予想(ウェザーマップ提供)
15日(月)午後4時の雨と風の予想(ウェザーマップ提供)

15日(月)午後6時の雨と風の予想(ウェザーマップ提供)
15日(月)午後6時の雨と風の予想(ウェザーマップ提供)

気象解説者/気象予報士/防災士/ウェザーマップ所属

1980年愛知県生まれ。大学では気象学を専攻。卒業後は番組制作会社でリサーチャーとして活動。メディアを通じて自ら気象情報を発信したいという思いから、2009年に気象予報士の資格を取得。2012年から宮城県の仙台放送にて気象キャスターを務める。現在「仙台放送 Live News it!」出演中。予報はもちろんのこと、これまで宮城県内さまざまな場所を取材した経験から見えてくることなども発信できたらと思います。

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