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3月26日 主要な気象台でも目視観測終了へ 仙台は約100年の歴史に幕

平野貴久気象解説者/気象予報士/防災士/ウェザーマップ所属
仙台管区気象台屋上から目視で確認できた蔵王連峰(筆者撮影)

 3月26日、全国の主要な9つの気象台(札幌、仙台、新潟、名古屋、広島、高松、福岡、鹿児島、沖縄)で、晴れや曇りなどの天気を人が目で見て判断する「目視観測」が終了し、自動化されることになりました(東京と大阪は継続)。

 こんな話をすると、「まだ目視でやっていたのか」「とっくに機械化されていると思っていた」という反応が少なからず返ってきます。今はいろいろな分野でAIが活躍する時代ですから、そう思うのも無理はありません。しかしながら、気象の世界では、目視でないと観測できないもの、目視の方が精度がいいものが、まだまだあるのが現状かと思います。

「快晴」「薄曇」は なくなる

 その一つが「快晴」や「薄曇」。ほとんど雲がなく晴れ渡っていれば「快晴」、日差しは届くけども、上層の薄雲が広がっている場合は「薄曇」です。これは目視なら一発でわかりますが、機械での判別は難しく、今後は観測されなくなります。晴れか曇りかの二者択一になるのは、表現の幅が狭まったようで、いささか寂しい気もします。その他、雲量や雲形、あられ、ひょうなどの観測も、目視でなければできないため、観測が終わってしまいます。

雨・雪・みぞれの判別は可能だが…

 一方で、雨・雪・みぞれの判別は可能とされています。感雨器(降水を感知する機械)で降水の有無を判断し、その降水が雨か雪かみぞれかは、気温と湿度の観測値から判別するというものです。すでに地方気象台では、この方法が取られています。ただ、これもあくまで計算で割り出された結果なので、実際の現象とは微妙にズレることもあるでしょう。目視の方が正確な情報を得られる場合もある現象の一つかと思います。

降水を感知する「感雨器」(仙台管区気象台にて筆者撮影)
降水を感知する「感雨器」(仙台管区気象台にて筆者撮影)

仙台では約100年の歴史

 私がいる仙台には、東北全体を所管する「仙台管区気象台」があります。1926年(大正15年)10月1日に「宮城県立石巻測候所仙台出張所」として発足し、その時から100年近くにわたって目視観測が続けられてきました。それが今回終わってしまうということで、大きな転換点となることは間違いありません。

 先日、その観測の様子を見せていただく機会がありました。職員が屋上に出て目視観測を行った後、すぐに部屋に戻って記録をする。この作業を、1日7回、3時間ごとに、夜中でも、どんな天気の時も行ってるわけです。今と昔で観測時刻や方法は多少違うと思いますが、これを100年近くも続けてきたというのは、頭が下がるばかりです。

 観測は同じように続けることに意味があり、その蓄積されたデータによって、天気の傾向なども掴むことができるでしょう。こうして長く続けられてきた観測を終えてしまうというのは、確かに惜しく、もったいない気がします。

 ただ、逆に言えば、科学技術の発展がしっかりしてきたと捉えることもできます。また、人員の確保だったり、業務の比重の問題もあることでしょう。

 先にもお話ししましたが、現状、まだまだ目視の方が精度がいいもの、目視でないと観測できないものがあるのは事実かと思います。今後、目視と機械がほぼ同等で遜色ないレベルになる日が来るのか、注目していきたいところです。その際には、今回観測が終わってしまう「快晴」「薄曇」なども、復活することを願ってやみません。

気象解説者/気象予報士/防災士/ウェザーマップ所属

1980年愛知県生まれ。大学では気象学を専攻。卒業後は番組制作会社でリサーチャーとして活動。メディアを通じて自ら気象情報を発信したいという思いから、2009年に気象予報士の資格を取得。2012年から宮城県の仙台放送にて気象キャスターを務める。現在「仙台放送 Live News it!」出演中。予報はもちろんのこと、これまで宮城県内さまざまな場所を取材した経験から見えてくることなども発信できたらと思います。

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