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年越し寒波 東北地方は再び大雪と低温に注意

平野貴久気象解説者/気象予報士/防災士/ウェザーマップ所属
12月17日の仙台市内 積雪は10センチに達した(筆者撮影)

 今シーズン一番の強い寒気が流れ込んだ先週、東北地方は、日本海側を中心に大雪となりました。真冬でも何度もないような強い寒気だったため、雪雲は奥羽山脈を越えて太平洋側にも流れ込み、宮城県大崎市の古川では、12月の観測史上1位となる36センチの積雪を観測するなど、12月としては記録的な大雪になりました。仙台でも10センチとまとまった雪になりました。仙台で12月に積雪が10センチに達したのは、2005年以来15年ぶりとなります。

 冬型の気圧配置になると「日本海側は雪、太平洋側は晴れ」とよく言われますが、関東平野ほど高い山に囲まれていない東北地方は、強い冬型になると雪雲をブロックできず、太平洋側でも大雪になることがあります。

年末年始に再び強い寒気

 寒気が最も強かった先週17日、秋田上空5500メートル付近には、-41度の強い寒気が流れ込んでいました。これは、大雪の目安とされる-36度よりもさらに5度くらい低い寒気です。一方で、日本海の海水温は平年よりも高く、この温度差によって雪雲が発達し、日本海側のみならず、太平洋側でも大雪になったところがありました。

 年末30日ごろからは、この時と同じくらい強い寒気が流れ込んでくる見込みで、年明けにかけて、日本海側では再び大雪・ふぶきに見舞われそうです。積雪が一気に増えると、山の斜面などでは、なだれが起きやすくなります。また、宮城県など太平洋側にもたびたび雪雲が流れ込み、まとまった雪になる可能性があるため、注意が必要です。

1月1日(元日) 上空5500m付近の寒気の予想(ウェザーマップ提供)
1月1日(元日) 上空5500m付近の寒気の予想(ウェザーマップ提供)

12月25日17時発表  年末年始の天気(ウェザーマップ提供)
12月25日17時発表 年末年始の天気(ウェザーマップ提供)

極端な低温にも注意

 また、地上の気温と結びつきの強い、上空1500メートル付近の寒気は、先週、最も強かった時で-15度くらい(秋田上空)で、その時の秋田の最低気温は-4.8度でした。

 ただ、今回は、それを上回る強さの寒気が予想され、先週以上の低温に見舞われる可能性があります。太平洋側の地域では、仮に雪はあまり降らなかったとしても、この低温によって、路面は凍結し、スリップ事故や転倒が起こりやすい状態となります。また、水道が凍結して水が出なくなるおそれもあるため、適切なケアをしておく必要があります。

12月25日17時発表  年末年始の予想最低気温(ウェザーマップ提供)
12月25日17時発表 年末年始の予想最低気温(ウェザーマップ提供)

年明け後もしばらく寒さが続く

 きのう24日、気象庁から1か月予報が発表されました。それによると、強弱はあるものの、1月末までは寒気の流れ込みやすい状態が続き、東北地方は気温の低い状態が続く見込みです。それに伴って日本海側の降雪量は多く、積雪はさらに増えていくことが予想されます。

 昨シーズンはこうした寒気の流れ込みがほとんどなく、記録的な暖冬になりましたが、この冬、少なくとも1月末までは、昨シーズンとはがらりと様相が変わることになりそうです。

12月24日発表  1か月予報(気象庁ホームページより)
12月24日発表 1か月予報(気象庁ホームページより)

気象解説者/気象予報士/防災士/ウェザーマップ所属

1980年愛知県生まれ。大学では気象学を専攻。卒業後は番組制作会社でリサーチャーとして活動。メディアを通じて自ら気象情報を発信したいという思いから、2009年に気象予報士の資格を取得。2012年から宮城県の仙台放送にて気象キャスターを務める。現在「仙台放送 Live News it!」出演中。予報はもちろんのこと、これまで宮城県内さまざまな場所を取材した経験から見えてくることなども発信できたらと思います。

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